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【ビジネス解読】地銀再編議論に「待った」 ベンチャー、地方創生支援で後押し

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ふくおかフィナンシャルグループが開設したサテライトオフィス=東京都中央区(林修太郎撮影)
ふくおかフィナンシャルグループが開設したサテライトオフィス=東京都中央区(林修太郎撮影)
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 地方銀行の生き残りをかけた競争が激しくなっている。人口減少や地方経済の停滞に伴い、10年後には地銀の約6割で最終損益が赤字になるとの試算がある。日銀や監督官庁の金融庁は、地銀に対して再編を含めた見直しを迫る。そんな中、都心のベンチャーが、地銀業務の原点である「地方創生」を支援するビジネスで後押ししている。

■地銀と成長企業を後押し

 10年間で1000社の中小、ベンチャーの財務コンサルティングなどを行ってきた「The CFO Consulting」(東京都港区)は4月から、ITを駆使したサービスを本格導入した。事業者が売上高や最終利益など計5項目の財務情報をインターネットを通じて入力すれば、約3分で地銀などの金融機関から融資を受けた際の調達可能額や金利などを無料でシミュレーションできる。事業者が希望すれば、顧問契約を結ぶなどして地銀からの資金調達を支援する。

 飲食店や創業間もない個人事業者らにとっては、事業拡大に伴って設備投資しようとしても、融資してくれる金融機関を探すのは難しい。一方、地元での融資先開拓に悩む地銀側にとっては、成長企業の情報はのどから手が出るほど欲しい。

 The CFO Consultingは、平成20年の創業以来、成長が見込まれる企業と顧問契約し、地銀の東京支店からの総額4000億円の融資実行を支援しており、このノウハウを生かしていく。

■クラウドファンディングを活用

 地銀と連携したクラウドファンディング(インターネットを使った資金調達)を運営するのが、「READYFOR」(東京都文京区)だ。同社は、返礼品重視の傾向がある従来のふるさと納税とは異なり、資金の使途を明確に訴え、応援してくれる出資者を募るプログラムを展開している。3月15日に締め切られた、北陸銀行、北日本新聞社とともに実施した富山県に特化した3件のプロジェクトでは、「日本遺産・彫刻のまち井波の廃止された“踊り屋台”を復活させたい」と、「富山県南砺市を美しい果樹の郷に。『新世代ワイナリー』の挑戦! 」の2件が、目標の寄付金額を達成した。

 地銀にとっては、通常の融資案件になじまないものや、創業して間もない事業者に対し、クラウドファンディングの活用を促し、事業成長や販路拡大などを支援できる。個人や事業者にとっても、夢を形にできる、まさにウィンウィンの関係だ。

 このほか、福岡銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(FFG)が、東京・八重洲に地元企業やベンチャー企業向けのサテライトオフィス(出先拠点)を設けた。地元企業が首都圏のベンチャーと提携して新ビジネスを立ち上げたり、ベンチャー企業が有力企業に育って融資先になったりすることを期待した取り組みだ。

■貸し出しで利益出せず

 地銀の経営状況をめぐっては、日銀のマイナス金利政策の導入により、貸し出し業務では利益が出せなくなっている。

 日銀は、4月の金融システムリポートで、「10年後には約6割の地銀の最終損益が赤字になる」との試算を公表した。収益力を向上させるためには、リスクの大きさに見合った貸し出し金利の確保や、手数料ビジネスの収益増加などを挙げた。金融庁も、担保に依存しない融資など、地場産業を育成する役割を求めている。日銀、金融庁ともに、統合、提携や他業態との連携などを選択肢として提言している。

 しかし、地銀側は「次の一手」を出しあぐねている。“優等生”といわれていたスルガ銀行の高収益を支えていた投資用不動産向け融資は、杜撰な審査が発覚して社会問題化した。同様のケースは他行にもあるとみられ、地銀全体が次のビジネスモデルを模索している。

 金融庁は昨年7月、「地域生産性向上支援チーム」を創設し、約10人の職員が全国を飛び回り、地元企業の悩みや金融機関に対する期待を聞いて回り、こうした情報を地銀と共有した。

 地銀が注力するITを使った新サービスは、融資額の増加と業務の効率化を同時に実現できる。The CFO Consultingの鈴木大徳社長は「地銀が都心の成長企業を地元に誘致するようになれば、地方創生につながる」と期待する。東京の有名店を地方都市の駅ビルに出店させれば、活性化につながるというわけだ。

 従来の発想に縛られず、地域と成長企業を結ぶプラットフォームを確立することが、地銀再生の一歩となる。(経済本部 鈴木正行)

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