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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】ガンバレ藤浪…自力ではい上がれ

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2軍で調整する阪神・藤浪晋太郎=鳴尾浜(撮影・岡田茂)
2軍で調整する阪神・藤浪晋太郎=鳴尾浜(撮影・岡田茂)

 投げない!?投げられない!? 藤浪晋太郎投手(25)の“混乱”は危険水域です。そして、藤浪不振の悪影響は高校生史上最速163キロ右腕取りを直撃します。矢野阪神は24試合消化時点で10勝13敗1分けの5位。巨人戦6連敗が痛恨ですが、他のカードでは10勝7敗1分けと奮闘しています。V戦線浮上の鍵は2軍のブルペンで“調整中”の藤浪が一刻も早く1軍戦力に戻ってくることでしょう。しかし、現状は2軍戦登板も延期の連続。理由は何? 大型右腕の混迷が続けばドラフト戦略にも影響が及びかねません。今こそガンバレ!!藤浪ですね。

ファンも報道陣も殺到

 巨人に本拠地・甲子園球場で3連敗(開幕から同一カード6連敗)を喫し、もうアカンと天を仰いだその直後、大好き?な横浜でDeNAに3連勝。1軍が息を吹き返した4月23日から25日までの3日間、2軍のウエスタン・リーグが行われた鳴尾浜は連日の大盛況でした。スタンドはファンであふれ、報道陣も殺到です。どうしてそんなに注目を集めたのか…は事前に流れた“魅力的”な情報があったからです。

 「このソフトバンク戦の間に藤浪が投げる」

 誰が言い始めたのか、誰がささやいたのか…は分かりません。球団側の正式発表でもありません。ただ、いかにも信憑(しんぴょう)性のありそうな情報が駆け巡り、ファンも報道陣も鳴尾浜球場に集結したのです。

 どうして集結したのか。それはファンも報道陣も藤浪の右腕がよみがえり、2軍戦の好投を経て一刻も早く1軍戦力になってほしい、という強い願望があったからですね。ところが、結果はどうだったのか…。25日のソフトバンク戦では試合中にブルペン入りして投球練習を行いましたが、結局は試合に登板することは一度もなく、全員が肩すかしを食らったわけです。

 「いい感じにきている。(登板については)いろいろ配慮していただいている」とは試合後の藤浪の言葉。平田2軍監督は「タイミングが来たときに。いいパフォーマンスが出るように。今は積み重ねているところ」とだけ話しました。27日からの中日戦(ナゴヤ)には帯同せず、鳴尾浜で残留練習をする見通しで、2軍戦登板は30日からのオリックス戦(シティ信金スタジアム)以降となる見込みといいます。

本人の回復を待つだけ

 藤浪が投げた最後の試合は3月12日のオープン戦・中日戦(ナゴヤD)でした。またまた制球難を露呈して、自ら2軍での再調整を矢野監督に要望したと聞きます。あれから1カ月以上が経過した大型右腕の現状はどのようなものなのか-。

 「球団の関係者、首脳陣にいろいろと聞いたよ。2軍のブルペンでも相当、球が暴れているらしい。だから平田2軍監督もコーチ連中も“試合で投げろよ”とは言えないらしいな。もう、本人が“大丈夫です”と言ってくるのを待つしかない状況のようだね。どうして、そんなことになってしまったのか? どうして…。今はとにかく藤浪自身が自力ではい上がってくるのを待つしかないんやろなぁ…」

 阪神OBのひとりはため息まじりに語りましたね。プロ入り7年目の今季は監督も交代し、心機一転で復活するのでは…と期待されていました。春季キャンプのブルペンでもここ数年とはまるで違う姿勢で投げ込んでいたはずです。しかし、プロ4年目から続く制球難は解消されず、現状では2軍戦登板ですら躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ないほど“重症化”しているのです。まさに藤浪は野球人生の上での“危険水域”に突入してしまったのかもしれません。

 このコラムでは藤浪の開幕2軍落ちについてこう書きました。

 「藤浪2軍は激痛。復調なければ悪影響はさまざまな所に波及する」-。

 当然ながら現状の1軍の戦局にも悪影響が出ています。メッセンジャーが打球を右腕に当てて、現在は登録抹消中。そして期待の新外国人ガルシアも3戦連続KOで2軍落ち。3戦全てで7失点という信じられない不調です。岩貞もピリッとせず、先発ローテーションは青柳や才木、岩田らで回していますが、もし藤浪が「普通の姿」なら、先発ローテの軸で投げているはずです。ならば、巨人戦6連敗も、現状の借金もなかったかもしれません。

育成能力に疑問符の影響も

 そして、グラウンド外への影響は今年のドラフト戦略です。今ドラフトの目玉は高校生史上最速163キロの大船渡(岩手)・佐々木朗希(ろうき)投手(3年)ですね。190センチ、86キロの大型右腕は同じ岩手県出身(花巻東)の大谷翔平投手(現エンゼルス)を超えるかも…といわれています。当然ながら阪神のスカウト陣もドラフト1位候補として徹底マークに入っているのですが、他球団のスカウト陣から冷ややかな視線を投げかけられている、というのです。

 「同じ大型右腕の藤浪をあんな状態にしてしまっているからね。たとえ佐々木を指名できても育てることができるのかな? 佐々木の関係者も当然ながら情報は収集するだろうからね。阪神さんは指名を見送ってほしい、なんて言ってくるかもしれないよ。まあ、昨季のドラフトでも藤浪の母校、大阪桐蔭の野球関係者が“ウチの藤原や根尾は阪神に指名されないでほしい”と言っていたようだしね。ああなるとつらいよな」

 これはパ・リーグの編成担当者の言葉です。実際に同じような言葉を他の球界関係者からも聞きましたね。日本球界が誇る大型右腕をわずか入団7年で“自信喪失”“投球フォーム瓦解(がかい)”に追いやった阪神の育成能力の欠落ぶりは、すべての日本球界関係者の口から指摘されているのです。

 なので、球界内ではこんな声まで…。

 「藤浪の復活? 簡単だよ。阪神がトレードで他球団に出すことさ。空気を変えてあげればきっと復活する。春季キャンプ中から楽天や他球団からオファーがあったそうだからね。例えば楽天なら安楽あたりと交換すれば両球団ともメリットがあるんじゃないか」

 しかし、大阪桐蔭時代に甲子園大会で春夏連覇を果たし、プロ入り3年間で10勝、11勝、14勝をマークした右腕を阪神は絶対に放出できないでしょう。再生できる自信もなければ、指導方法すら暗中模索の現状でも藤浪を手放したときの周囲からの批判を恐れ、トレードには踏み切れないはずです。ならば唯一の解決方法は藤浪が一刻も早く2軍戦で復活登板を果たし、一刻も早く1軍の先発ローテに戻って、1軍で腕を思いっきり振ることしかありません。

 その日は一体、いつのことなのか? あの鳴尾浜の大騒ぎ…はいかに周囲が藤浪を待っているかの証しでもあります。150キロ超の直球連発で原巨人をギャフンと言わせる日がいつか来る。それが近い将来であってほしい、と全ての関係者は願っているのですがね…。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html)の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帳」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/)に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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