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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】ついに事情聴取開始…Xデーを乗り切れるか

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キャンプを訪れた藤原崇起オーナーと握手する阪神・矢野燿大監督。まだ半年もたってませんが…=かりゆしホテルズボールパーク宜野座(撮影・山田喜貴)
キャンプを訪れた藤原崇起オーナーと握手する阪神・矢野燿大監督。まだ半年もたってませんが…=かりゆしホテルズボールパーク宜野座(撮影・山田喜貴)
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 「一体どないなっとるんや!!」-。ついに阪神電鉄本社首脳が球団幹部にチーム低迷の原因を事情聴取し始めました。矢野阪神は19試合消化時点で7勝11敗1分けの5位。チーム打率2割4分、本塁打16本はリーグ5位。チーム防御率4・58はリーグワーストです。投では新外国人ガルシアが3戦連続KOで2軍落ち。藤浪の復調のメドも立たず、藤川球児は2軍。打では新外国人マルテが出遅れていて矢野燿大(あきひろ)新監督(50)の苦悩は深まるばかりです。やっと!?腰を上げ始めた電鉄本社首脳ですが、背景には6月開催の阪急阪神ホールディングス(HD)の定時株主総会の影が…。株主から再び激しくつるし上げられるまで後、約1カ月半ですね。

行く先々で「どないなってますの?」

 ついに!?と言うか、やっと…と言うべきか、いやいや阪神ファンの気持ちを考えれば今さらと言うべきなのか…。阪神球団の内部で“異変”が起こり始めました。ここに来て阪神電鉄本社の首脳が球団幹部に対して「一体、(チームは)どないなっているんや?」と問いただし始めているのです。

 「本社の首脳陣もアチコチの会合に出たり、ファンと接したりするだろう。そうすると『阪神タイガースはどないなってますの?』と行く先々で聞かれるんやわ。当然ながら批判されるケースだってあるやろ。チームの成績不振が人ごと!?ではなくなってくるんや。行く先々で肩身が狭い思いをするからね。だから球団幹部を責めることになるんやろ」とは電鉄本社に籍を置く関係者の言葉です。

 しかし、今さらチームの不成績を問いただされても、球団幹部にも答えようがないでしょう。シーズン開幕前には激励会などで「今年こそ優勝を目指す」とぶち上げ、矢野新監督の下で2005年以来、14年ぶりのリーグ優勝を目指すと言い切っていたわけです。ジョークでも、コントでもありません。現有戦力や指導体制にそれだけの自信がなければ「今年こそ優勝だ」などとは虚勢でも言えないはずです。本音と建前は違う…というならそれはファンに対する重大な背信行為ですね。

刻々と近づくXデー

 開幕前の勢いある言葉の数々を開幕わずか20試合前後で「少し甘く見てました」と言えるはずもなく、「まだまだシーズンは始まったばかりですよ。これから巻き返しますのでどうかご心配なく…」などと言うのが精いっぱいではないでしょうか。

 さあ、そんな言葉が本社首脳の精神安定剤になりますかね…。

 チームは19試合消化時点で7勝11敗1分けの5位です。まだまだ慌てる時期ではないようにも見えますが、ここに来て阪神電鉄本社首脳が球団幹部を事情聴取し始めた背景は容易に察することができます。今から恐怖におびえる?Xデーが刻々と近づいているからではないでしょうか。そう阪急阪神HDの定時株主総会が今年も約1カ月半後の6月10日過ぎに開催されるのです。その日までには何とかチームを浮上させておきたい、という焦りが出てくるのは仕方ないことですね。

 昨年の6月13日。阪急阪神HDの定時株主総会で一部株主からタイガースへの手厳しい質問が約1時間半も続きました。阪神タイガースに興味のない?株主からは「ここは阪急阪神HDの株主総会。タイガース関連の質問は別の場所でやってくれ!!」と抗議されたほど会場はヒートアップしたのです。

強烈な突き上げのオンパレード

 その時の様子を再現すると-。

 「投手が頑張っているのに、打てないから成績が良くない。若い選手が出てきたから喜んでいても、次の年には打たなくなる。高いお金を出して外国人を連れてきても打てない。これが何年も続いている。2年前の株主総会でコーチの指導力について質問したときから同じ。2年間、何をやってきたんだ」

 「フロントの方は、コーチが大事だということをわからないんですか。若手、若手といって連続で出場している者を代打で使って。外国人も打てない、守れない。良いコーチを採用できてない」

 「タイガースは2005年から優勝していない。期待してもシーズンが終わったときには落胆している」

 こうした株主、いや阪神ファンの強烈な突き上げを阪神電鉄本社首脳は黙って聞かざるを得なかったのです。そして阪急阪神HDの総帥、角和夫会長は「結果を出していかなきゃあしょうがない」とまるで阪神電鉄本社首脳をとがめるようにその場を収めたのです。

 あれから1年…。昨年の株主の数々の指摘はまるで今季のタイガースに向けられた言葉のようですね。なんら問題点は改善されていません。1年前、怒る株主に対して「しっかりとやっていきます」と誓ったのはその後、昨年オフに坂井信也前オーナーと交代してオーナーに就任した藤原祟起阪神電鉄会長でした。HDの角会長の前で誓った言葉は重いはずです。それが現状では改善どころか、ある意味では改悪に近いありさまです。

 シーズン前に期待していた投手陣は新外国人ガルシアが3戦連続KOで防御率は天文学的数字。藤浪は2軍のブルペン調整をやっと“卒業”して23日からのウエスタン・リーグのソフトバンク3連戦(鳴尾浜)で復帰登板しますが、まだまだ1軍戦力になる日は遠いでしょう。藤川球児も不調で2軍。加えて開幕投手を務めたメッセンジャーも19日の巨人戦(甲子園)で五回途中6失点KO。球速が明らかに減退しており、今後に不安を残しました。

 打撃陣でも新外国人マルテが3月中旬に右ふくらはぎの張りを訴え、戦線離脱し、やっと23日からのウエスタン・リーグのソフトバンク3連戦でDHで戦列復帰します。しかし、調整不足は明らかで1軍戦力になるのはゴールデンウイークの10連休明けかもしれません。自身も大型連休中でしたが、どう見ても1軍戦力になるのは令和(れいわ)の時代ですね。

 チーム打率も本塁打数もリーグ5位。防御率4・58はリーグワースト(19試合消化時点)。こうした状況を目の前にして阪神電鉄首脳の頭に浮かぶ光景は昨年の6月13日の定時株主総会でしょう。あれから1年…。監督を金本前監督から矢野新監督に代えただけで一気にチームの状況が好転すると考えたのなら、あまりにも甘い算段です。

 今の阪神タイガースの経営形態は以前とは大きく違います。かつては阪神電鉄本社が頂点で、いくらチームが低迷しても上から叱責や業務改善、経営改善を要求されることはあり得ませんでしたね。阪急阪神HDの傘下にある現状では、企業のトップは角会長です。株主が不利益を被る事態が全く改善されないとなれば、タイガースの経営陣でさえ刷新される可能性は大いにあるでしょう。阪神ファンの絶大なる人気にあぐらをかき、手ぬるい球団経営、戦力編成を続けていくことはもはや許されないはずです。

 阪神電鉄本社首脳による球団幹部への事情聴取は、予想できる未来への危機感の表れでもあるでしょう。しかし、あまりにも動作が鈍すぎますね。昨オフからの一連のコーチ人事、戦力整備、補強の手ぬるさが現状を招いているとすれば、これから施せる手段は限られています。あと1カ月半の期間でひとつでも多く勝ち、チームを浮上させるしか株主を沈黙させる方策はないでしょう。とにかくガンバレ…阪神ですね。

    

 【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html)の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帳」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/)に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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