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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】「フーテンの寅」ならぬ「不振の虎」は激痛だらけ

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巨人戦のベンチでさえない表情の阪神・矢野監督=東京ドーム
巨人戦のベンチでさえない表情の阪神・矢野監督=東京ドーム

 藤浪開幕2軍に続く高山2軍降格。そして梅野骨折&新外国人・マルテの現状は…。これだけ激痛だらけでは勝てませんよ!! 矢野阪神は開幕2連勝の後、巨人に3連敗を喫するなどチームは苦境に陥っています。6試合終了時点で2勝4敗の最下位。チーム打率1割8分3厘、得点11、失点28はいずれもリーグワーストです。藤浪晋太郎投手(24)が開幕ローテーションから外れ2軍行きの誤算、4日には高山俊外野手(25)が打撃不振で2軍落ち。梅野骨折のアクシデントの上にマルテはどこにいるんだ? フーテンの寅さんならぬフーシン(不振)の虎に阪神ファンのため息は深くなるばかりですね。

心細さ募る先行き…数字はリーグワーストばかり

 国民栄誉賞にも輝いた名優・渥美清が演じる松竹映画『男はつらいよフーテンの寅』で寅さんの名セリフ!?は「オイちゃん、それを言ったらおしまいよ」でしたね。それをなぞらえて今の『ファンはつらいよフーシン(不振)の虎』で表現するなら「矢野ちゃん、それをやったらおしまいよ」ではないですか…。

 わずか開幕6試合、まだまだペナントレースはこれからなのに、なんだか先行きへの心細さばかりが募る阪神の戦いぶりです。ヤクルトとの開幕カードでは幸先良く2連勝を飾ったものの、3戦目を落とすと、敵地・東京ドームでは3連敗。阪神の巨人戦同一カード3連敗は2018年7月16~18日(甲子園球場)以来で、東京ドームでは15年8月18日~20日以来。シーズン最初の巨人3連戦に限ると、1991年4月9~11日(甲子園球場)以来28年ぶりです。

 6試合終了時点でのチーム成績は2勝4敗。得点11、失点28、本塁打2本、チーム打率1割8分3厘はいずれもリーグワースト。チーム防御率4・58は5位(6位はDeNAの4・64)ですね。極度の貧打に加え、投手陣も崩れては勝てる要素を探す方が難しいでしょう。そして、冒頭のノンフィクション劇場・フーシン(不振)の虎!?の迷セリフ「矢野ちゃん、それをやったらおしまいよ」はこれから説明しましょう。

藤浪再生へ…胸を刺すOBの言葉

 このコラム(3月17日アップ)では「藤浪の開幕2軍は激痛!! 再生なければ各方面に悪影響及ぶ」と書きました。阪神入団後3シーズンは連続2ケタ勝利。2015年には14勝(7敗)をマークした右腕は16年以降低迷し、今季はプロ入り後初めて開幕ローテーションから外れました。春季キャンプやオープン戦で藤浪再生に努力を重ねたとは思いますが、処方箋を見いだすことはできず、特効薬を授けることもできずに開幕時の戦力には加えられませんでしたね。

 しかし、藤浪は2軍に落とせば再生への道筋を見つけることができるのでしょうか。「藤浪は絶対に1軍に置いておかなければならない投手だ。1軍でリリーフでもいいから投げさせないといけない。1軍で成功体験を重ねてこそ復活する。2軍でいくら成功しても本当の自信にはつながらず、同じことの繰り返しになるだけ」という阪神OBの言葉が胸を刺します。この阪神OBは藤浪の2軍落ちという人事こそ「現在の1軍首脳陣の責任逃れ。何が何でも藤浪を再生する、という覚悟が全くない」と糾弾しているのです。

 さらに激痛が次々と襲います。4日には高山が打撃不振で2軍落ちしました。高山は16年ドラフト1位でいきなり新人王にも輝きました。東京六大学時代は安打製造機と呼ばれ、チームにとっては将来の主軸を任せる逸材だったはずです。ところが昨季の成績は打率1割7分2厘、本塁打1本、打点14でした。そして今季はルーキーの近本にレギュラー争いで敗れ、代打での出場が続いていました。これまで4打席で3打数無安打2三振。まるで精彩を欠く内容でしたね。

 「もともと、ミートポイントは捕手寄りで体に近いんだ。それでも新人の頃はセンターから左に打っていたから投球がさばけたんだ。しかし、金本前監督が『右方向に引っ張れ』と指導してからおかしくなった。ミートポイントが近い上に引っ張りの意識が強く、右腰の開きが早いから打撃が根底から崩れてしまった」とは阪神OBの言葉です。

 チーム内では高山の悪癖を指摘する声は多く、当然ながら1軍首脳陣の耳にも届いていたはずです。しかし、春季キャンプからオープン戦と浜中、平野両打撃コーチは高山の打撃を矯正しているようには見えず、結局は開幕5試合で2軍落ち…という悲報なのです。

 藤浪に高山という投打の軸となるべき選手がそろって2軍。これは矢野監督ら首脳陣の痛手というだけではなく阪神タイガースとしての将来構想を崩壊させる激痛です。

まだまだある激痛の種…問題意識はあるか

 さらに今季は開幕からスタメン捕手の座を守っていた梅野が2日の巨人戦(東京D)での走塁で左足の指を負傷。翌日、緊急帰阪して検査した結果「左足薬指の骨折」と診断されました。

 「今までやってきたことをムダにしたくない気持ちもあります。チームの中でやらないといけない立場。甘えていられない」という梅野は痛みに耐えながら、5日からの広島戦(マツダ)でチームに再合流しました。しかし、フットワークに支障が出る可能性が高く、攻守に不安感が漂いますね。アクシデントとはいえ、これもチームにとっては激痛です。

 そして、“激痛の種”と言えそうなのが新外国人ジェフリー・マルテ内野手(27)の現状です。開幕前の3月16日に右ふくらはぎの張りを訴えた新外国人はその後、1軍から外れて開幕戦力にもなりませんでした。ロサリオに代わる新戦力として一時は4番も期待された大砲は今現在、どうしているか…といえば2軍本隊からも離れて別メニューの調整を続けているのです。今週からやっと打撃練習を再開するようですが、ウエスタン・リーグへの出場時期さえ見当がつかない状況です。

 「右ふくらはぎの張り…といっても骨折でもなく、肉離れでもない。挫傷でもなく、原因すら分からない。放っておいたらこのままシーズンが終わるまで2軍にいるかもしれない。高いお金を払って連れてきた外国人をこんな状態で遊ばせておくなんて球団の気がしれない」とは阪神OBの指摘です。

 矢野監督は和製4番を作るべく開幕から大山に期待していますが、開幕6試合終了の時点で打率0割9分5厘(21打数2安打)ですね。もし、マルテが1軍にいれば選択肢は広がったはずです。これはどういうことでしょうか? 金本前監督時代から新外国人はヘイグやキャンベル、ロサリオと大外ればかりです。そして、マルテに至っては2軍戦力にすらなっていない現状があります。球団として問題意識がなければ経営者の能力を問われますよ。

 まさに激痛の連鎖…をきたしている矢野阪神の内幕。最良の薬は試合に勝って、こうした声の数々を「たかが雑音」と一笑にふす環境にすることしかありません。勝負の世界は超結果主義、超現実主義です。

 そういえばフーテンの寅さんの各作品のパターンは寅次郎が旅先で出会うマドンナにほれてしまい、何かと世話を焼くうちに親しい仲になるのですが、最後は失恋する…というものです。阪神ファンもまた毎年のように虎を応援して、最後は裏切られて“失恋”するパターンですよね。でも、今季は最初から“盛り上がれない”のでは楽しみも何もあったものじゃありません。今は一刻も早く「阪神ファンはつらいよフーシン(不振)の虎さん」からの脱出を願っております。なんだか締らないオチですなぁ…。

     

 【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html)の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帳」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/)に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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