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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】1985年の再現か…OB大予言の根拠に納得

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2019年開幕戦を見事サヨナラ勝ちで飾った阪神。中央は矢野燿大監督=京セラドーム大阪(門井聡撮影)
2019年開幕戦を見事サヨナラ勝ちで飾った阪神。中央は矢野燿大監督=京セラドーム大阪(門井聡撮影)
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 恐ろしい!? いや虎党が随喜の涙を流して喜ぶ大予言は果たして当たるでしょうか。矢野阪神は29日の開幕・ヤクルト戦(京セラD大阪)を延長十一回、2-1で劇的サヨナラ勝利。幸先の良いスタートを切りましたが、なんとネット裏では1985(昭和60)年の21年ぶりのリーグ制覇、球団創設初の日本一をよく知る球団OBの一人が「今年の矢野阪神は昭和60年のチームによく似ている」と語り、大躍進を予言したのです。どこがどう似ている? 単なる浮かれた話と一笑にふすならそれも結構ですが、まあちょっと聞いてください、その根拠を-。

 ■サヨナラ…感情を抑えきれない矢野監督

 矢野燿大(あきひろ)監督(50)が就任して迎えた初の開幕戦は最高の結果となりました。延長十一回裏、先頭打者として代打で登場した鳥谷が右越えの三塁打を放ち、1死後、ルーキー近本の打席で相手投手・石山の初球がワンバウンドの暴投。三塁走者が小躍りしてホームにかえり、チームは4年ぶり2度目の開幕サヨナラ勝利を飾ったのです。

 「ちょっと騒々しい勝ち方でしたけど何でもいいです。本当に手に汗を握りながら、緊張しながら見ていました。本当に投手陣がまずよく頑張ってくれた。リュウ(梅野)も(一回の)タッチプレーも、リードもすごくさえていた。バッテリーがすごく頑張ってくれた」と試合後の矢野監督も感情を抑えきれない表情で語っていました。

 最高のスタートを切った矢野阪神ですが、まだシーズンはこれからですね。山あり谷ありの厳しい戦いが待っています。一喜一憂はあまりしていられないのですが、そうした状況下である阪神の球団OBは「今年の阪神はいけると思う」と大躍進を予言したのです。その気になる理由とは-。

 ■周囲の低評価…でも、あの年に似ている!

 「今年の阪神は何から何まであの年の阪神とよく似ているんだ。周囲の評価は低かったけれども意外とやると思うぞ。優勝する可能性だって大いにあると思っている」

 阪神OBたちの戦前の評価はあまり芳しいものではありませんでした。いつもなら開幕前の順位予想で関西の野球評論家の1位予想には「阪神」が並ぶのですが、今季はオープン戦も5勝11敗1分けの11位だったこともあってよくて3位。Bクラス予想が大半でした。

 矢野監督は周囲の低評価にも「おもろいやん。自分も(評論家時代には)開幕に予想をしていたけど当たらへんやん」と気にしていないそぶりでしたね。そんな中で「今年は必ずやる」と話した阪神OBの“根拠”こそが「ものすごくあの年と似ている」というものなのです。

 あの年!? そうあの年とは1985(昭和60)年、チームが21年ぶりのリーグ優勝、球団創設初の日本一に輝いた「あの年」だったのです。当時の状況を熟知しているOBは「今のチーム内の雰囲気や戦力事情はそっくりだ」と言い切るのでした。

 何がそんなに似ているのか。まずはチーム内の空気だと指摘します。

 「昭和60年も前年の59年までの監督らの指導体制が厳しく選手を締め付けて、チーム内に閉塞(へいそく)感が漂っていた。それが吉田さんに代わって、自由な雰囲気に変わった。選手が伸び伸びとプレーするようになって、一気に優勝に走った。今年も金本前体制下で厳しく締め付けられていた選手たちが伸び伸びとプレーできる環境に変わった。あの時のチームの雰囲気と今年はすごく似ている」

 ■開放的な雰囲気…ムード転換で大躍進

 思えば1985年は吉田義男監督が2度目の監督復帰を果たした初年度でした。前年までの3シーズンは安藤統男監督だったのですが、島野育夫、柴田猛両コーチを中心とする首脳陣は厳しく選手たちを指導する体制だったようですね。しかし、チームとしては結果が出ませんでした。安藤監督の3シーズンは65勝57敗8分けの3位、62勝63敗5分けの4位、53勝69敗8分けの4位で低迷の責任をとって辞任。吉田監督に交代しています。

 吉田監督は「チーム一丸になって挑戦する」と言い続け、チーム内の空気も開放的に変えましたね。それが功を奏して1985年は74勝49敗7分けでリーグ優勝。日本シリーズでは広岡西武を4勝2敗で下して、球団創設初の日本一にも輝いたのです。つまり締め付けから開放。束縛から自由…というチーム内のムードの転換が大躍進の底辺にあったというわけです。

 今季も金本知憲前監督から矢野新監督に交代した初年度ですが、金本前体制は「若手育成主義」を唱え、厳しく選手を指導してきました。チーム内の関係者からは「恐怖政治だ」という声まで漏れていました。しかし、昨季は62勝79敗2分けで17年ぶりの最下位。シーズン最終戦の試合後に責任をとる形で事実上の解任といえる辞任表明となりました。交代した矢野監督は昨年の秋季キャンプから選手との対話路線に舵を切り、チーム内の空気を大きく変えました。

 「俺のことは監督と呼ばないでいい」と言い、選手を名字ではなく、名前で呼んでいるのも首脳陣と選手間の垣根を取り払うのが目的です。実際にグラウンド内での選手の顔から笑みが漏れるシーンが劇的に多くなりましたね。こうしたチーム内の空気の変化が1984年から85年に移った時とソックリだというのです。

 さらに戦力的な事情も類似点があると言います。それは極端な戦力バランスです。85年になぜリーグ制覇、日本一を成し遂げたのか。それは今さら説明する必要もないでしょう。弱い投手力を圧倒的な打力でカバーして相手をねじ伏せたからです。

 1番真弓が打率3割2分2厘、本塁打34本、打点84。3番バースが打率3割5分、本塁打54本、打点134。4番掛布が打率3割、本塁打40本、打点108。5番岡田が打率3割4分2厘、本塁打35本、打点101。8番の木戸でさえ打率2割4分1厘、本塁打13本、打点32なのですから、「脅威の打線」の一語です。

 ところが、シーズン前の順位予想では阪神はBクラスが大半でした。前年の4位という成績もあります。そして、投手力の弱さがクローズアップされ、評価を下げたのです。では、今季はどうか…といえば、戦力バランスは逆の意味でアンバランスです。ひ弱い打撃力を見ればBクラス予想も納得ですが、投手力を見るならどうでしょうか。

 「打線は弱いけど、投手力はリーグナンバーワンだ。1985年のチームとは投打の評価が全く逆だけどな。矢野監督になって、捕手出身だけに投手を中心としたバッテリーがさらに充実するとみているんだ。だから阪神はいい勝負をするとみている」

 ヤクルトとの開幕戦はまさに予言通りでした。打線は点を取るのに四苦八苦でしたが、メッセンジャーからジョンソン、ドリス、能見、桑原とつないだ投手リレーは強力ヤクルト打線を1点に封じました。阪神投手陣が粘って、粘って少ない援護を守りきる野球が継続できるなら、今季は1985年の再現!?となるかもしれません。

 まだ開幕したばかりなのに「1985年の再現だ」などとは、少々浮かれている…とご批判を受けるかもしれませんね。ただ、もし阪神OBの大予言がズバリ的中なら、これほどの幸せもないでしょう。ぜひとも、大予言を的中させる大躍進を期待しております。

 【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html)の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帳」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/)に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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