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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】地の利を生かすには…“苦手”甲子園を払拭へ

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コーチ陣と話す矢野燿大監督=甲子園球場(撮影・松永渉平)
コーチ陣と話す矢野燿大監督=甲子園球場(撮影・松永渉平)

 矢野阪神に告ぐ!! 甲子園球場対策が手ぬるいのではないですか!! 阪神は本格的なオープン戦期間に突入。3月29日の開幕・ヤクルト戦(京セラD大阪)に向けてチームは最終調整に入りました。しかし、かなり気になる…というか心配事があります。3月のオープン戦15試合中、本拠地・甲子園球場での試合はわずか4試合だけ。雨で流れればもっと試合数は減ります。昨季、甲子園球場で21勝39敗2分けの借金18が最下位転落の大きな要因で、しかも今季はマウンドの硬さを変えた初年度です。地元での実戦をもっと増やして本番に備えないと悪夢の再現が…。誰が考えてもそうでしょうよ。

充実キャンプは90点

 矢野燿大(あきひろ)監督(50)が就任した初年度の春季キャンプが終わりました。いよいよ3月29日の開幕・ヤクルト戦(京セラD大阪)に向けて本格的なオープン戦期間に突入しましたね。27日間のキャンプを終えた矢野監督は自ら「90点」と採点。そのココロは…。

 「競争をテーマに、特に野手は高いレベルで競争をしてくれた。楽しみというか、いい悩みがたくさん増えたなっていう。充実したキャンプになりました。どこまでいっても100点はないと思うのでね。あえて点数をつけるなら、90点ぐらいだと思います」

 手応えを感じた部分は二遊間、センターを中心とする野手の激しいポジション争い。逆にマイナス10点は当初の期待通りには若手投手陣が伸びてこなかった点ですね。

 「ピッチャーがもうちょっと出てくるかなと思って。現状、思うようにいっていない部分。(1軍枠や先発ローテの座を)奪い取っていってもらわないと困る。意外にピッチャーの登板機会が少ないんで、一回一回(の登板)が大事になってくる」

 指揮官は不調の続く藤浪や期待する才木、望月や伊藤和、浜地らの奮起を促していました。ここ数年の傾向として、やはり阪神は投手陣を中心とする守りの野球です。特に今季に挑むにあたり、球団の編成部は他のセ・リーグ5球団のキャンプ地を視察し、自軍との戦力比較を行っています。その答えは「やはり投手力は阪神が一番いい。しかし、打力は6球団で一番、下かも…」というものです。なので、最大の武器である投手力をもっともっと磨いて、高めたい…と矢野監督が願い、望むのも当然なのです。

 それには今後のオープン戦で若手投手たちは結果を積み上げ、スキルアップしなければなりません。本番に向けた自信をつけ、監督を含めた首脳陣に少しでも安心材料を提供しなければならないのです。

わずか4試合の不安…苦手意識払拭できるか

 しかし、本番に向けて自信を芽生えさせ、安心材料を増やす…という意味でははなはだ「大丈夫かいな?」と首をひねらざるを得ない現実がオープン戦の日程表に潜んでいます。それは何か?

 阪神が3月に行うオープン戦15試合中、本拠地・甲子園球場での試合はわずか4試合です。今週末(3月9日=日本ハム戦、3月10日=巨人戦)の2試合と、来週末の16日、17日の西武戦だけですね。今季の阪神はオープン戦そのものが17試合しかなくて、試合数が少ないのですが、甲子園球場での試合はMAX4試合。雨で流れればもっと減ります。

 2つの理由で大きな心配を抱きます。

 (1)2018年の阪神は62勝79敗2分けで17年ぶりの最下位。金本前監督は成績不振の責任を負って事実上、解任されましたね。勝てなかった最大の理由は甲子園球場を苦手にしたからです。ホームゲーム27勝42敗2分け。ロード35勝37敗でしたが、甲子園球場では球団史上ワーストの21勝39敗2分けでした。勝率3割5分。

 3連覇した広島はホームで45勝25敗2分け。2位ヤクルトも41勝30敗。ホームで負け越したのは巨人、DeNAと阪神でした。なので原巨人は3月のオープン戦17試合中6試合(MLBプレシーズン2試合含む)を東京ドームで行いますね。昨季の悪いイメージを払拭したい、という意図がうかがえます。

 「甲子園球場は苦手。グラウンドが広すぎる。ラッキーゾーンをまた復活させればいい」なんて声まで球団内部から聞こえてくる状況をどう打破するのか…。阪神も公式戦までに甲子園球場における苦手意識を完全に払拭したいはずですよ。それがわずか4試合の実戦でかなうのでしょうか。あまりにも昨季の反省が生かされていないのではないでしょうか。

ガルシア仕様も日本の若手投手は…

 (2)番目の心配は甲子園球場のマウンド改造への順応です。

 今季から甲子園球場のマウンドが硬くなります。球団側の要望を受けて球場側がマウンドを硬くするからです。コンパクション(土壌の硬度を表す尺度)を19→25に引き上げます。米大リーグのマウンドの土を専門で作っている米国の会社から土を輸入して硬度を変えるのです。沖縄のキャンプ地「かりゆしホテルズボールパーク宜野座」に新設されたブルペンのマウンドも甲子園球場の新たなマウンドの硬度と同じ硬さにしていましたね。

 甲子園球場だけではなく広島の本拠地・マツダスタジアムもマウンドを硬くするのですが、球場側に要望を出した球団関係者はこう説明していました。

 「硬いマウンドは今や世界基準。日本を代表する甲子園球場のマウンドも世界基準にならったということ」

 ただ、裏側には中日から移籍したガルシア対策という意味合いもあるでしょう。昨季、ガルシアは全13勝のうち、ナゴヤドームで10勝、東京ドームで2勝でした。ところが屋外ではマツダで1勝しただけ。甲子園球場では防御率7点台でした。甲子園球場の柔らかめのマウンドが合わなかったと推察されます。今季から本拠地としてドンドン投げてもらわなければならないだけにマウンドもガルシア仕様の硬いマウンドにしたのでは…と言われています。

 ガルシアだけではなく新加入のジョンソンやメッセンジャー、ドリスも硬いマウンドへの変更は大歓迎のようですが、問題は日本の若手投手陣です。冒頭、矢野監督のキャンプ採点で「10点マイナス」は若手投手陣の伸び悩み…と書きました。キャンプのブルペンで取材中、阪神OBはこう指摘しましたね。

 「若い投手が全体的に上半身の力に頼った投げ方をしている。下半身が使えていない。マウンドが硬くなって、踏み出した足が粘れないから、リリースポイントが早くなってしまっている」

 伸び悩みの一因に新しいマウンドの硬度が関係するのであれば、それを克服するしか手はありません。阪神の若手投手陣は少しでも多くの機会、新しいマウンドに立ち、投げないといけないですね。マウンドの硬度に慣れることで自身のリリースポイントを見つける作業が必要です。それがわずか4試合で可能なのでしょうか?

 「オープン戦の試合数や場所は監督ら首脳陣が球団に要望するものなんだよ。今季は監督もコーチ陣も新しい顔ぶれでそこまで気が回らなかったのかもしれない。でも、オープン戦の間隔も空きすぎているし、試合数が少なすぎる」とは阪神OBの言葉です。

 現時点で可能なことは甲子園球場で紅白戦など実戦形式の練習を増やすことしかないでしょう。開幕までに試合のない日は12日…。3月23日からセンバツ大会が開催されますが、なんとか日程を調整して甲子園練習を増やすことを提言します。甲子園球場を地の利にしなければ、結果も昨季と同じになりかねません。

      

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html)の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帳」(http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/)に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」(http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html)ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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