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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】開幕4番の「ベストアンサー」は…

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宜野座キャンプの紅白戦で適時2塁打を放つ白組4番の大山悠輔(撮影・松永渉平)
宜野座キャンプの紅白戦で適時2塁打を放つ白組4番の大山悠輔(撮影・松永渉平)

 開幕4番はサード大山!? いずれにせよ和製4番こそチーム&マルテ成功のベストアンサーかもしれません。阪神の沖縄・宜野座春季キャンプは第3クールに突入。第2クールの7日には初の紅白戦が行われ、紅白の4番には中谷と大山が入りました。これは紅白戦ならでは…の打順? いやいや日本人の4番実現こそチームの流れに沿い、ジェフリー・マルテ内野手(27)を日本で成功させるための最善策…と球団の内部からは和製4番待望論が漏れ伝わります。3・29開幕(ヤクルト戦=京セラD大阪)の4番打者は大山悠輔内野手(24)なのかもしれません。

初紅白戦の4番は…

 阪神の1軍が沖縄・宜野座に春季キャンプを移したのが2003年でした。当時、星野仙一監督が「気候が暖かく、投手陣の調整に最適。それに他球団も沖縄でキャンプを張っているところが多く、練習試合などを簡単に組める」と話して高知・安芸タイガータウンから沖縄に移したのです。その初年度に18年ぶりのリーグ優勝を飾り、2年後の05年にも岡田阪神でリーグ優勝しました。沖縄・宜野座はすっかり阪神の春季キャンプ地として定着したわけです。もうあれから17年目…。時が過ぎ去るのは早いものです。

 そして、今年の春季キャンプは早くも9日から第3クールに突入しています。第2クールの最終日の7日には初の紅白戦が行われました。乱打戦の末、10-7で紅軍が勝ちましたが、注目は紅白の4番打者です。紅軍が中谷将大外野手(26)、白軍が大山悠輔内野手(24)でした。中谷は二回表、左翼への本塁打を含む4打数2安打。大山も4打数2安打と負けていませんでしたね。

 「(カウントが)追い込まれた中で、いろいろと対応しようとした結果、しっかりと打てたのでよかった」と中谷が話せば、大山は「きょうは悔しいというのが率直な感想ですね。ヒットは出ているけど、まだレベルが低いというか。結果は出ているというのはプラスに考えていいが、それよりも課題が多い」と話していました。

 2人とも同じポジションにライバルが多く、紅白戦で4番に座ったからといってレギュラーを保証されている立場でもない…。そんな危機感もある中での実戦初戦で結果を出したことに、両者とも一応、うなずいてはいましたね。

周囲を納得させる打者を

 猛虎の4番-。では実際に3月29日・開幕戦のヤクルト戦(京セラD大阪)で誰がその座にいるのでしょうか。矢野監督は理想の4番についてこう話しましたね。

 「03年は2、3番ね。2番赤星で、3番が金本(前)監督というのはすごい相手にとってはね(嫌だったと思う)。4番は(03年は)代わったからね。俺は三振しても『コイツやったらいいかな』と思えるやつを使いたいのよ。4番だから打ってほしい、ホームランも打点も挙げてほしいけど、『コイツが打たれへんねんやったらしようがない』と思えるヤツ」

 ここでオフの戦力補強からの流れを改めて眺めてみると、現場や球団が4番を想定して獲得したのはジェフリー・マルテ内野手(27)でした。初の紅白戦は欠場し、まだまだエンジンをふかすのは先でしょうが、年俸約56万ドル(6100万円=金額は推定)で獲得したマルテが最有力候補なのは現時点でも変わりないはずですね。ただ、矢野監督のコメントを聞くと、理想の4番については『コイツやったらいいかな』と話しています。監督の4番像=マルテとはなかなか想像しにくいのも事実です。なぜなら来日初年度で日本球界において全く実績のないマルテを『コイツやったらいい』と新監督はとても思えないと考えるからです。

 実は球団内部からも開幕4番は日本人。マルテは6番か7番に…という声が漏れ伝わっているのです。4番を想定して獲得したはずなのになぜか? 和製4番でマルテ6~7番構想こそ、マルテが日本球界で成功するためのベストアンサーだと思っているからですね。

 「外国人投手はまだしも外国人打者は日本球界にすぐに順応するのは難しい。投げてくるボールの質も違うし、日本の投手は制球力がいいからね。どうしても慣れるのに時間がかかるんだ。だから、マルテにしてもどれだけ我慢して使ってもらえるかどうか…が成功の鍵やと思う。すぐに打席から外されたらもうアカンやろ」

 これが球団内部の声です。そして、この声がすなわちマルテの6~7番を推す理由です。もし、マルテを開幕4番に置いたら、すぐに結果を問われます。マルテが打つから勝った、沈黙したから負けた…。これは昨季のロサリオと同じパターンになります。そして、打てないと首脳陣も我慢できずにベンチに下げますね。昨季のロサリオは戦前の期待感が膨らみ過ぎていたため、シーズンでの打撃不振が痛く、17年ぶりの最下位の大戦犯として批判を浴びました。

ノーモア・ロサリオのためには

 ロサリオの失敗に懲りたのか、マルテに対する打撃面のアドバイスもノーモア・ロサリオです。春季キャンプ初日の打撃練習から一貫して続けているのがセンターを中心に打ち返す打撃。投球のコースに応じて左右に打ち分けるコンパクトなスイングを心がけていますね。柵越えを連発して大騒ぎになった昨季のロサリオとは大きく違います。

 「ホームランを追う必要はないんだ。ヒットの延長がホームランでいいんだ。それはナバーロからも伝えてもらっているんだ。粘り強く打ち返していけばいい…と」とは球団内部の声ですね。

 打撃スタイルもロサリオとは真逆…。そして、打順もチームの勝敗の矢面に立たない場所へ…。開幕当初は6~7番でまず日本の投手に対して慣れる、順応することを第一に考えさせたい…という球団の考えが見えてきます。なので、矢野新監督が『コイツやったらいいかな』と和製4番を想定させる言葉を漏らしたのは球団にとっても願ったりかなったり…というわけです。

 田淵、掛布、岡田、金本…とビッグネームが座った猛虎の4番。最終的に3月29日の開幕カード以降、栄えある4番に座るのは大山か、中谷ら若手なのか。それとも実績のあるベテランの福留や糸井なのか。最後の決め手は矢野監督が『コイツが打たれへんねんやったらしようがない』と思わせる打者なのでしょう。若手への切り替えが大きなテーマとなっている現状の阪神を考えれば誰なのか。「4番・サード大山」がチームにとっても、マルテにとってもベストアンサーなのかもしれません。これが春季キャンプ第3クールを迎えた矢野阪神の4番事情なのです。

     

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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