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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】ガンバレ原口、そして矢野阪神も

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がんを公表した原口文仁。早期復帰が望まれる(撮影・山田喜貴)
がんを公表した原口文仁。早期復帰が望まれる(撮影・山田喜貴)

 ガンバレ原口!! 今週末の2月1日から始まる春季キャンプを前に衝撃的なニュースが流れました。原口文仁捕手(26)が自身のツイッターアカウントを開設し、大腸がんであることを公表したのです。近日中に手術を受け、治療に専念するため春季キャンプは参加できません。しかし、腰痛や骨折など過去にもさまざまな障害を乗り越え、昨季はシーズン代打安打の球団記録「23」に並んだ不屈の男です。きっと完全回復して今季中には元気な姿を1軍の試合で見せてくれるはずです。一方で原口復帰のその時、V戦線にいるための善後策が矢野燿大(あきひろ)監督(50)には求められますね。

ツイッターで大腸がん報告

 さあ、いよいよ春季キャンプへ…。球春の高まりを感じ始めた矢先に驚くようなニュースが飛び込んできました。春季キャンプの1軍メンバーから外れていた原口が自身のツイッターアカウントを開設。大腸がんであることを公表したのです。

 『いつも応援して頂きありがとうございます。皆様にご報告があります。プロ10年目を迎えるにあたり昨年末、人間ドックを受診したところガンと診断されました。病名を聞いたときは、さすがに驚き、動揺したのも事実です。

 しかし、今はプロ野球選手という立場でこの病気になったことを自分の使命だとも思えます。同じガン患者の方々、またそのご家族の方々にとって少しでも夢や希望となれるよう精いっぱい、治療に励みたいと思っています。

 今後の予定としては近日中に手術を受けそのあとリハビリに励んで早期の実戦復帰を目指します。僕には大切な家族や応援してくださるファンの方々、共に闘う仲間がいます。常に前だけを向いて進んでいきます。

 どうか、これからも応援の程宜しく、お願い申し上げます』

 これがツイッターの全文ですが、自身が厳しい局面を迎えたというのに心の動揺を抑え、同じガン患者の方々への気持ちや同僚、ファンへの思いを冷静につづっている内容には驚かされます。一人のプロ野球選手として、というよりも一人の人間、社会人として素晴らしい人格者であることが分かりますね。

試練続きの野球人生乗り越えて

 原口は近日中に手術を受け、治療に専念します。先週のコラムでは予想される捕手3人制の中で梅野、坂本との起用法について書きました。でも、春季キャンプは参加できませんから、戦列の復帰はシーズン途中にずれ込むことになるでしょう。開幕からの捕手構想も大きく練り直されるでしょうね。

 原口はこれまでも試練続きのプロ野球人生でしたね。2010年に帝京高校からドラフト6位で入団しました。強打の捕手として期待されましたが、12年に腰痛を発症してオフに育成契約に。13年にはシート打撃で死球を受け、左手尺骨を骨折しました。それでも歯を食いしばり、地道に努力を続けた結果、16年の4月27日付で3年ぶりに支配下選手登録に復帰。その当日の巨人戦(甲子園球場)の五回裏に代打で1軍公式戦デビューを果たすと、そのまま捕手として守備に就きました。

 チャンスをつかんだ原口はその年のオールスター戦にも出場しました。そして、昨季はシーズン代打安打の球団記録「23」に並ぶ活躍を見せたのです。シーズン通算の得点圏打率は4割5分5厘、57試合で起用された代打での打率は4割4厘。すさまじい数字を残しましたね。

 しかし、球団記録への道程も平坦(へいたん)ではありませんでした。9月14日のヤクルト戦(甲子園球場)で左手骨折。出場選手登録を抹消されてシーズンでの復帰は困難かと思いましたが、10月5日に再登録。同日の中日戦(甲子園球場)で八回裏に代打で登場し、笠原から中前打。これで桧山の持つ球団記録に並びました。

 野球人生を振り返っても数々の障害を乗り越えてきた苦労人であることが分かります。今回のメッセージの中にはガンのステージ(進行度)などの詳細には触れられていません。球団内部の情報を聞くとまだ初期の段階…ということなので術後の経過が良好なら、グラウンドに戻ってくる日も早いかもしれません。焦らず、慎重に復帰への道を歩んでほしいものですね。これまでと同様にきっと苦難を乗り越えて、雄姿をファンの前に見せてくれるはずです。

優勝争いで原口復帰を迎えよう

 そして、一方では原口を最高の形で“迎え入れる”方策を考えなければなりません。今回のガン公表の前日(1月23日)、矢野監督ら首脳陣は春季キャンプの1、2軍メンバーを発表していました。そのメンバー表を見て、首をひねったことを思い出します。原口が1軍メンバーに入っていなかったからですね。でも、その真相は思わぬ形で次の日に公表されました。もともと、昨年末の球団による定期検査で再検査を指示されたことが今回の流れの始まりです。なので、球団側も原口の体調面をずっと心配していたと思われます。

 再検査の結果は芳しくありませんでしたが、今は病気の根治を祈るしかありません。そして、原口がグラウンドに戻ってくるその時、阪神はどんな状態であればいいのか…は言わずもがなでしょう。5月なのか、6月なのか、7月なのか…。原口が1軍復帰を果たすその時、矢野阪神は優勝争いの真っただ中にいるのがベストです。

 ならば、矢野監督ら首脳陣は原口が不在の間の1軍戦力を見直し、優勝争いに加われるチーム力を保たなくてはいけません。まず右の代打の切り札をどうする? 候補とすれば陽川や中谷、江越らの名前が浮かんできます。何しろ昨季、代打で4割4厘をマークした選手ですからね。簡単には代役はいません。それでも戦局を想定すれば、とっておきの右の代打がベンチで控えているのと、いないのとでは雲泥の差ですね。相手バッテリーやベンチに対するプレッシャーが違います。

 さらに捕手です。先週のコラムで1軍出場選手登録が28人から29人に1人増員されたことで、1軍捕手枠は3人制になる…と書きました。メインは梅野、刺激剤が坂本、続くのが原口-と予想しましたが、開幕から3人目の捕手をどうするのか? 2人制だと捕手を試合途中で代えづらく、3人目は必要でしょう。現状では岡崎や長坂、小宮山あたりの競争になるのでしょうね。

 春季キャンプのメンバーを見ると2軍キャンプの捕手は小宮山と新人の片山の2人だけです。もし、どちらかが故障でもすれば手が回らなくなりますね。球団フロントはキャンプの様子を見ながら他球団からのトレードによる捕手獲得も視野に入れておく必要があるでしょう。

 こうして改めてチームを俯瞰(ふかん)してみると、原口の戦力的な重要性を思い知ることになります。1軍のグラウンドに戻ってくるその時、矢野阪神は理想的な状況で迎え入れることができるのかどうか-。チーム全体に課せられた重要テーマだと思いますね。ガンバレ原口!! そして矢野阪神も頑張らねばなりません。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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