PR

【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】不動のショートは誕生するか…生存懸ける鳥谷

PR

ショートに再挑戦する阪神・鳥谷敬。競争を生き残れるか=甲子園球場(撮影・門井聡)
ショートに再挑戦する阪神・鳥谷敬。競争を生き残れるか=甲子園球場(撮影・門井聡)

 鳥谷の“最後の戦い”の行方よりも、チームにとっての肝心要はショートの固定です。阪神・鳥谷敬内野手(37)は5年契約が切れる今季、ショートで勝負することを矢野燿大(あきひろ)新監督(50)に直訴。北條、植田海らとの競争に選手生命を懸けます。レギュラーポジション奪回がなるのか否か…。しかし、チームにとっては鳥谷が生き残るのかどうかよりも、生き残った選手が143試合、ショートのポジションを守り抜くことの方が大事です。ショート固定こそが優勝に直結することを昨季も広島や西武が証明しているからです。遊撃戦争の勝者は不動のレギュラーにならなければなりません。

遊撃再挑戦の鳥谷は生き残れるか

 もう1月中旬ですね。春季キャンプへの足音が徐々に聞こえてくるような気がします。矢野監督が就任して初めて迎える沖縄・宜野座での春季キャンプ。大きな見どころのひとつが今季で5年契約が切れる鳥谷の動向です。

 「もう一度、ショートで勝負させていただきたい」

 鳥谷は矢野監督に古巣のショートでレギュラーポジションを奪回したい、という考えを伝えました。そして、新監督も鳥谷の考えを尊重してショートでの競争を容認したのです。

 2005年から15年までほとんど全ての試合でショートを守っていた鳥谷ですが、金本前監督が就任した16年、攻守でさえを失い、遊撃手では118試合の出場にとどまりました。そして、三塁のポジションにまわった17年はショートでの出場はゼロ試合。昨季もわずか2試合でしたね。

 もし、鳥谷が3月29日の開幕・ヤクルト戦(京セラD大阪)でスタメン・ショートならば、3年ぶりのこととなります。それは春季キャンプ、オープン戦でライバルとなる北條や植田海らとの競争に勝ってこそ実現するわけで、まさに生き残りを懸けた戦いのスタートが2月1日の春季キャンプ初日なのです。

 かつては不動のショートだった鳥谷ですが、6月26日で38歳を迎える今季、往年の動きを取り戻して若手たちに競り勝てるのか…。春季キャンプでの大きな見どころになるはずです。

不動のショートがチームを浮上させる

 しかし、鳥谷には失礼な表現になるかもしれませんが、チームにとっての肝心要は「鳥谷が生き残る」ことではありませんね。もちろん、鳥谷が生き残れればそれはそれで感動ものですが、大事なポイントは勝ち残った選手が虎の不動のショートになることです。鳥谷でも北條でも、植田海でも…誰であっても春季キャンプ、オープン戦で結果を残して勝ち残った選手が143試合、ショートを守ることが阪神にとって一番、大事なことなのです。

 「昨年の優勝したチームを見たらよく分かる。広島は田中、西武は源田だろ。ショートがツギハギのチームは優勝に届かない。阪神は昨季、最下位だったけど北條がショートで56試合か…。やっぱり固定できなかったからな。今年も誰かひとりに固定できないと安定した守備にはならないし、安定した戦いもできないだろう」

 阪神OBの言葉です。確かに「ショート固定=チームのV」はデータ的に極めて分かりやすい構図です。広島のショート田中広輔内野手(29)は2016年から3シーズン連続で143試合、全試合をショートで出場しています。昨季も143試合でショートを守り、守備率・989。田中のショート固定と同時に広島はリーグ3連覇でしたね。

 昨季、パ・リーグを制した西武もプロ2年目の源田壮亮内野手(25)が143試合、全試合をショートで出場して守備率・986でした。526の補殺は史上最高の数字でしたね。ゴールデングラブ賞とベストナインに輝いています。打ち勝って優勝したイメージの強い西武ですが、源田を中心とする内野の守備力が安定していて、投手陣を支えたのです。自らも現役時代、名二塁手として活躍した辻監督は内野陣の安定を優先項目に掲げていました。中でも源田のショート固定が“西武特急”を走らせた大きな要因だったのです。

 逆に日本シリーズで広島を破り、日本一に輝いたソフトバンクですが、リーグ優勝できなかった理由のひとつがショートの不安感でした。不動のレギュラーだった今宮健太内野手(27)が右肘痛で交流戦期間中に出場登録を抹消されました。復帰したのですが、9月17日の西武戦で今度は左太もも裏を痛めて2度目の離脱。16年は137試合、17年は140試合、ショートを守っていたのに昨季は98試合にとどまったのです。これが響いてV逸となったと見る関係者は多いですね。

 これほど分かりやすい因果関係はないでしょうね。ショートの守備範囲が広く、肩も強ければ三遊間や二遊間の打球をさばいて、打者走者を一塁でアウトにできます。安打を凡打に変えてくれるのですから、投手陣にとってはありがたい話です。さらに左中間や右中間を抜けた打球に対してカットに入る仕事や、連係プレーのサインの交換など、ショートの仕事は多岐にわたっています。それだけに野球センスのある、守備能力の高いショートが143試合固定できればチーム力は格段に向上するのです。

北絛、植田海も負けるな

 そして、今季の阪神です。鳥谷のライバルとなる北條史也内野手(24)ですが、昨季は62試合に出場し、打率3割2分2厘、本塁打1本、打点20でした。レギュラーの座をつかみかけたのですが、9月14日のヤクルト戦(甲子園)での守備で左肩亜脱臼し、現時点では高知・安芸の2軍キャンプでスタートする可能性もあります。

 「(チームのショートには)いっぱい選手がいるので、一番の成績を残せるようにしたい」と北條自身は気合いを入れ直しています。幸い、故障の後遺症もなく、鳥谷に簡単にポジションを奪われるつもりはないでしょう。

 昨季は1軍で104試合に出場、19盗塁を記録した植田海内野手(22)も今季は開幕からスタメン出場を狙っているでしょう。走力があるだけに打力の向上(昨季は打率1割9分2厘、打点1)が果たせれば面白い存在ですね。阪神OBのひとりはこう話していました。

 「植田海はスイッチヒッターをやめて、右打ち専門に戻した方がいい。左打席での内容が悪すぎて、打撃自体に自信を失っている感じがする。右での内容は悪くないんだから、右打ちだけで勝負すべきだ」

 さあ、植田海はどんなスタイルで春季キャンプでの打席に入るのでしょうか。

 鳥谷が勝って、開幕スタメン・ショートを奪うのか。それとも北條や植田海なのか? 誰が勝ち残るか…はキャンプ、オープン戦での結果次第ですね。矢野監督も競り勝った選手の名前を3月29日、スタメン表に書き込むでしょう。そして、シーズンを通して勝者がレギュラーとして君臨し続けることができてこそ、激しいレギュラー争いに大きな意味が生まれてくるのです。

 鳥谷の意地か-。若手の気迫か-。勝った者が不動のショートになることを望みます。それが14年ぶりリーグ制覇への大きな条件になると思うからですね。

     

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさと・越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

この記事を共有する

おすすめ情報