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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】人的補償は誰?…球団は4番獲得を

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阪神の入団記者会見でポーズをとる西勇輝投手=14日、大阪市内のホテル
阪神の入団記者会見でポーズをとる西勇輝投手=14日、大阪市内のホテル

 “危険地帯”にいるのは投で岩田、石崎、青柳、打では江越、板山らでしょうか。阪神はオリックスからフリーエージェント(FA)宣言した西勇輝投手(28)の獲得に成功。西は今季年俸1億2千万円(推定)でBランクの選手とみられ、オリックスが望めば人的補償を求められます。西との選手契約締結後、阪神は2週間以内に28人のプロテクトリストをオリックス側に提出する運びで、今週中にも人的補償の選手が確定する可能性もあります。金子や西が流失した相手の台所事情を考えれば、投手を求められる可能性が高いですが、ある程度の犠牲は仕方ない話です。阪神は前を向いて最大の懸案を解消するしかありません。

極めて大きい西の加入

 待望の右腕の獲得に沸いたのが12月7日でしたね。オリックスからFA宣言した西を残留を求めるオリックスや獲得に乗り出したソフトバンク、DeNAとの争奪戦を制し、獲得を決めました。最後はこのコラムで書いた通りに矢野燿大(あきひろ)監督(50)が出馬して「阪神入り表明」につなげましたね。

 「新監督に“負け戦”はさせられない」と話していた球団関係者の言葉通り、矢野出馬は阪神の勝利宣言でしたね。

 「FAというのは(選手が)手を挙げた時は九分九厘決まっている。丸の巨人だって、浅村の楽天だって、ウチの西だって…。事前調査で手応えがなければ争奪戦にうって出ないよ」と阪神OBは話していましたが、まさに事前調査の手応え通りの結果でしたね。

 阪神が出した条件は4年契約で10億~12億円といわれています。ソフトバンクはそれ以上の条件を提示したようですが、西本人も家族も住み慣れた関西に残れる阪神を新天地に選んだのです。地の利も幸いしたようですね。

 阪神にとって西の加入は大きいです。今季の成績は10勝13敗、防御率3・60。25試合に登板して162回1/3を投げています。オリックスで投球規定回数に達したのは西と山岡だけですね。先発すれば大崩れしないタイプです。

 阪神の先発投手陣で今季、2ケタ勝利は11勝のメッセンジャーだけ。岩貞、小野が7勝、才木が6勝で藤浪が5勝ですが、岩貞も才木も勝ち星よりも負け数が多く、安定した投球だったとはいえません。メッセンジャーは来季が38歳で今季の夏場以降は勝てない試合が続きました。藤浪にしても来季に復活する確証はどこにもありません。不安だらけの先発陣に西が加わることは極めて大きいですね。

人的補償で出ていく選手は?

 ただ、喜んでばかりもいられません。西の今季年俸は1億2千万円でオリックスの中では年俸の高い方から4~10位の位置。Bランクの選手とみられています。なのでオリックスは移籍先の球団、すなわち阪神に対して旧年俸の60%の補償金か、人的補償プラス旧年俸の40%の補償金を受け取ることができるのです。そして、人的補償は阪神がプロテクトした28選手以外の選手なら、外国人選手や直近のドラフトで指名した選手以外の誰でも獲得できるわけです。

 阪神は西と選手契約を締結した後、2週間以内にオリックス側にプロテクトリストを提出しますね。7日に即、選手契約を締結しているならば、提出期限は今週の週末となります。すでに先週のうちにプロテクトリストの作成に着手していますが、矢野監督は「28人というのは意外と少ない。(人選に)苦労するよ」と漏らしていました。2年前、同じくオリックスからFA宣言した糸井を獲得した際も、人的補償を求められ、金田を奪われましたね。今回も誰かがオリックスから指名されるでしょう。

 その“誰か”ですが、こちらが勝手にプロテクトリストを予想すると、そこから外れる“危険地帯”にいそうな選手は投手では岩田、石崎、青柳ですかね。打者では江越、板山らの名前が浮かんできます。

 オリックスは西を奪われた直後、阪神に対してこう機先を制しました。

 「ウチは金子も中島も抜けた。小谷野も引退して、ベテラン勢がいないんだ。もし、プロテクトから福留や鳥谷、藤川球児や能見らが抜けていたら容赦なくいかせてもらう」

 これは一種の脅し?とも思えますが、阪神側からすれば鳥谷や球児、能見を外すことも現実的にはできるわけもなく、結局、プロテクトから外すのは伸び悩む中堅クラスになるでしょう。

 「江越や板山らが取られたら痛い…かもしれないが、28人の枠を考えると外さざるを得ないだろうね。でも、オリックスが欲しいのは投手だろうね。金子も日本ハムに移籍したし、西もいない。先発陣が苦しいから、先発のできる投手を第1候補にするはずだ」とは球界関係者の言葉です。

 ならば、青柳や石崎、岩田?あたりが最有力候補になるのでしょうか。

 しかし、阪神側はたとえ誰を指名されても粛々と手続き通りに前に進むしかありません。人的補償を覚悟の上で西獲得を進めたわけで、いわば人的補償は織り込み済みのはずです。そこで痛がっていても仕方のない話でもあります。それよりも大事なことは現時点でも全く解消されていないチームの最重要課題に取り組むことでしょう。

やはり4番を取らないと

 13日には阪神で2シーズン目を終えた糸井が契約更改交渉に現れましたね。来季は4年契約の3年目で年俸は4億円の現状維持でした。今季は119試合に出場して打率3割8厘、本塁打16、打点68、盗塁22でした。さすがの成績ですが、問題は2度(右腓骨=ひこつ=骨折などで)の戦線離脱中のチーム成績です。糸井が欠場した24試合はなんと7勝17敗。大きく負け越しましたね。

 谷本副社長は「君が休んだ試合は大幅に負けたので(来季は)休まんといてください」と伝えたそうですが、糸井は来季で38歳です。休むな…というより、逆にうまく休ませながらシーズンを全うさせる方策を考えるべきですね。そうなると、糸井や来季で42歳の福留が適度に休んでもチーム力が落ちないクリーンアップの充実が不可欠となります。課題を解消する唯一無二の道筋は強力な4番打者の獲得しかありません。

 阪神はFAでの国内大砲取りに背中を向けました。今さら、その「政策」をどうこう言っても仕方ありません。現状でできうる4番補強は大物新外国人選手の補強しかないのですから、そこに期待するしかありません。海の向こうではウインターミーティングが行われ、FAの大物選手の動向がこれから見えてきます。存在感のある現役大リーガーの獲得を期待したいですね。ロサリオやマテオの解雇で獲得資金は本社の金庫に眠っているはずです。

 福留や糸井の負担を軽減し、2人に適度な休養を与えることのできる打線へ…。もちろん、大山や高山、中谷の成長も望みますが、新外国人の4番打者が獲得できれば、阪神は広島や巨人と拮抗(きっこう)する戦力になるかもしれませんね。ファンのためにも、矢野新監督のためにも、阪神球団の奮闘を期待したいものです。

    

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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