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【「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記】来季の4番はどうするの

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丸佳浩のFA移籍が決定し囲み取材に答える原辰徳監督=東京都千代田区(撮影・今野顕)
丸佳浩のFA移籍が決定し囲み取材に答える原辰徳監督=東京都千代田区(撮影・今野顕)

 もはや最強の4番助っ人を獲得する以外に打倒・巨人は果たせません。阪神のライバル、原巨人は大補強を敢行。フリーエージェント(FA)で丸佳浩外野手(29)と炭谷銀仁朗捕手(31)を獲得。新外国人選手は今季メジャー20発のクリスチャン・ビヤヌエバ内野手(27)で、オリックスを自由契約となった中島宏之内野手(36)まで獲りました。対する矢野阪神の補強はFAでの西勇輝投手(28)の獲得だけですね。今季の巨人戦の対戦成績は8勝16敗1分けで7年連続負け越し中。球団内部には「巨人と拮抗(きっこう)するには最強の助っ人を獲るしかない」という悲壮感が漂っているのです。

球団内部に早くも悲鳴

 どう考えても劣勢でしょう。まだ来季の答えが出ているわけではありません。勝負事は何が起こるかわかりません。それはそうでも、今オフの補強の状況を考えれば対巨人での“劣勢ムード”は動かしようがありませんね。早くも阪神球団の内部からは悲鳴にも似た声が漏れ伝わってきます。

 「来季の巨人は強い。それに勝つためには相当なことが必要や」

 これが球団内部からの声なのです。

 まあ、ライバルの原巨人の補強はすさまじい限りですね。4年連続のV逸で高橋前監督が退任。球団史上初めての3度目の監督復帰となる原監督は戦力編成面でも陣頭指揮を執っています。原GM監督の補強はまさにオフの主役となりました。

 広島からFAした2年連続のリーグMVPの丸が11月30日、古巣の広島と獲得に乗り出していたロッテに断りの連絡を入れて巨人入りを表明しましたね。5年契約で総額30億円ともいわれる巨額条件が巨人入りの決め手です。

 さらにFA補強では炭谷捕手も獲得。そして、新外国人選手として現役大リーガーのビヤヌエバ内野手を獲得しました。さらにオリックスから自由契約になった中島まで獲りました。ここまででもすごいのに、今後はリリーフ投手の獲得など、まだ補強の手を緩める気配はないのですから、来季5年ぶりのリーグ優勝への意気込みには圧倒されるばかりです。

 丸は今季125試合に出場して打率3割6厘、本塁打39本、打点97。ビヤヌエバはパドレスで110試合に出場し、打率2割3分6厘、本塁打20本、打点46。マギーは退団しましたが、坂本や今季30本塁打を超えた急成長の岡本、昨季の本塁打王ゲレーロ、これに長野や亀井、若手の吉川尚らが並ぶ打線は破壊力抜群でしょう。しかも敵地の東京ドームの狭さを考えると、どう見ても阪神の旗色は悪いですね。

西獲得で大幅戦力アップとなるか

 阪神も休んでいるわけではありません。FA補強ではオリックスから手を挙げた西勇輝投手を獲得に向かいました。残留を求めるオリックスとソフトバンクとの争いでしたね。西は最終結論を12月上旬に出す方向です。西の関係者らの話を総合すると、最初から好感触を示していた阪神が獲得合戦に勝利することが濃厚のようです。

 「まだ何が起きるか、最後の最後まで分からない。ちゃんとした答えが来るまで安心できない」

 球団内部からは慎重な声が聞こえてきますが、仮に西が獲得できれば投手陣にとっては大きな戦力アップです。今季は25試合に登板して10勝13敗です。防御率3・60と安定した投球を見せ、投げたイニング数も162回1/3です。今季の阪神投手陣で2ケタ勝利をマークしたのはメッセンジャーだけ。秋山も小野も藤浪も「来季は2ケタ」と言い切れない状況だけに、『トラの西』が決まれば大朗報です。

 さらに新外国人投手として先発でもリリーフでもできるピアース・ジョンソン投手(27)=SFジャイアンツ=の獲得も決めました。今季はメジャーで37試合に登板して3勝2敗、防御率5・56でした。谷本副社長は「どちらでも行けると思いますが、基本はやっぱりリリーフ」と話していて、試合中盤のマウンドを任せる方向ですね。

 しかし、投手陣には一方で不安な材料も出てきました。昨季は37セーブで最多セーブのタイトルを初獲得し、今季も32セーブを記録したラファエル・ドリス投手(30)との残留交渉が難航。11月30日提出期限の保有者名簿から外れることになったからです。自由契約となるわけで、他球団から狙われれば流失の危機ですね。ドリスを失うことが虎の誇る勝利の方程式にどう影響するのか。矢野新監督も頭の痛い話でしょう。

 今季の阪神と巨人の対戦成績は阪神の8勝16敗1分けです。完膚なきまでにやられた印象ですね。これで7年連続の負け越しとなってしまいました。東の巨人、西の阪神というライバル同士…という認識も巨人からすれば笑止千万でしょう。そして、オフの補強策の差…。本当なら最下位に沈んだ阪神がオフの主役になるぐらいの活発な補強をしなければならないはずなのに、現状は逆です。

 阪神球団の内部からは「このままでは来季はもっと巨人にコテンパンにやられるのでは…。何とかしないといけない」という声が聞こえてきますね。そこで出てきたプランが大物助っ人の獲得なのです。

頼みは4番を打てる大砲

 すでに国内のFA補強策は終了し、阪神は野手を一人も獲りませんでしたね。現状の戦力を見ると、いまだに4番を打てる一塁手が不在です。打線の中心となって、チームを牽引(けんいん)する4番打者をどうするのか。このままでは得点力不足に泣いた今季の再現を見るだけでしょう。

 「ネームバリューのある大物外国人選手を獲得すべきや。幸い、球団にはお金はある。ロサリオの年俸3億4000万円は浮いたし、ドリスやマテオ、それに西岡らの年俸も浮くんやから。それらを全部足したお金で大物助っ人を獲ればいい」

 球団の周辺から漏れ伝わる声です。

 あくまでも年俸の差し引きで考えれば、年俸5億円以上の助っ人は獲得できるのです。あくまでも机上の計算ですが…。

 まだ米国メジャーリーグではFA資格者ら大物選手の去就が全て決まっているわけではありません。つい最近までメジャーでレギュラーだった選手がかなりの数で宙に浮いている状況です。存在感抜群で力を持った大物助っ人の獲得に成功すれば、対巨人における現状の劣勢ムードは大きく変わるでしょう。

 阪神のテーマは若手野手の育成ではあります。金本前監督が育てようとした大山、高山や糸原、中谷、梅野らがスクスクと育って、巨大戦力の巨人を打ち破ってくれればこんなにうれしい話はありません。しかし、夢と現実は違います。まず巨人と拮抗した戦力を保持し、そうした状況の中から若手野手が伸びてくる、というのが理想ですね。もちろん、敵は巨人だけではなく、来季にV4を目指す広島、そしてDeNA、ヤクルト、中日にも競り勝たなければなりません。

 オフは球団フロントの戦場でもあります。球界を驚かすようなビッグネームの最強助っ人を獲得することを強く望みましょう。そうでないと矢野新監督に代えた意味も薄れるばかりですね。

     

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) 1990(平成2)年入社。サンケイスポーツ記者として阪神担当一筋。運動部長、局次長、編集局長、サンスポ特別記者、サンスポ代表補佐を経て産経新聞特別記者。阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。ラジオ大阪(OBC)の金曜日、午後10時から「NEWS TONIGHT いいおとな」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/iiotona/caster.html )の『今日のトラコーナー』や土曜日午後6時45分からの「まさとと越後屋のスポーツ捕物帖」( http://www.obc1314.co.jp/bangumi/okini/ )に出演中。「サンスポ・コースNAVI!」( http://www.sanspo.com/golf/tokushu/golf-t24944.html )ではゴルフ場紹介を掲載、デジタルでも好評配信中。

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