PR

【世界を読む】韓国外交部で「ジャパンスクール」の凋落か…政権交代の余波かぶる

PR

韓国主催の観艦式で掲揚された李舜臣将軍を象徴する旗。手前は韓国の文在寅大統領=10月11日、済州島(聯合=共同)
韓国主催の観艦式で掲揚された李舜臣将軍を象徴する旗。手前は韓国の文在寅大統領=10月11日、済州島(聯合=共同)

 韓国外交部(省に相当)が東京の駐日韓国大使館に赴任する外交官を募集したところ、志願者がゼロだったことに波紋が広がっている。日本専門家グループは「ジャパンスクール」と呼ばれ、公館ランクが最上級の駐日大使館は人気勤務先だった。ところが慰安婦問題をめぐる2015年12月の日韓合意に関与した外交官らが苦労したにもかかわらず社会的な非難の対象となり、現政権に交代してからは人事で報われないケースも。メディアは「対日外交に意欲があるならともかく、単にキャリアを積む赴任先として日本の魅力は薄れている」と指摘する。

 再告知で選抜

 韓国紙・朝鮮日報(電子版)によると、韓国外交部がこのほど、来年初めに駐日韓国大使館に赴任する書記官級外交官3人を募集したが、志願者がなく、募集を再告知して人員を選抜しているところだという。外交部は「現在は志願者が複数いる」と話しているが、一部には「これが『ジャパンスクール』の現実だ」という話も飛び交う。

 中央日報(同)は、消息筋の話として「過去に北東アジアの国々に勤務するなど日本関連の経験がある者は全く関心を示さず、入ったばかりの新人や日本と全く関係がない職員を強制的に派遣しなければならない状況」と紹介する。

 さらに同紙は「このような状況は極めて異例だ。外交官の間ではこれまで『ジャパンスクール』という言葉があるほど、日本は先を争って行こうとする代表的な人気勤務先の一つだった」と指摘し、東日本大震災直後にも日本が忌避地域のようにみなされることはなかったとしている。

 出世コース

 こうして韓国メディアが「異例の事態」と驚きをもって報じるのは、外交官にとってジャパンスクールが出世の登竜門ともいうべきコースだったからだ。

 聯合ニュース(同)によると、中国の重要度が急激に増した2000年代以前には、日本で研修を受け在日大使館で勤務経験がある「ジャパンスクール」の外交官が「ワシントンスクール」と並び外交部内の双璧をなしており、北米局長と並ぶ同部の上級ポストに挙げられるアジア太平洋局長(現在は北東アジア局長)に就くには、在日大使館での勤務経歴が必要だというのが通説だったという。

 その後、中国の存在感が増すとともにチャイナスクールも台頭し、2013年の東亜日報(同)では「出世コースの『ワシントンスクール』『チャイナスクール』『ジャパンスクール』に編入されれば、出世する確率が高まる。同様の経路で主要公館の長になったり要職にいる先輩外交官が引っ張ってくれるからだ」と説明されている。

 政権が変われば180度方針が変わるのに…

 なぜ韓国の外交官の間でジャパンスクールの人気が凋落したのか。

 中央日報(同)は、30代~40代前半の書記官級外交官には「日本勤務は敏感な外交懸案が多く、苦労は強いられるのに、政権交代などによっていつ責任を追及されるかもしれない、つまらなくて危険な職務」という認識が強いという外交部の事情通の話を紹介。

 特に外交部内で「ジャパンスクールの花」と呼ばれてきた北東アジア局長出身幹部が日韓合意の交渉に参加したり、日韓が安全保障分野の機密情報の共有を可能にする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を担当したりしたという理由で相次いで人事上の不利益を受けたことを目の当たりにして、このような傾向が一層強まった。

 確かに、韓国は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した日韓合意の「事実上の形骸化」を進め、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が合意に基づき設立された「和解・癒やし財団」の解散を示唆しており、前政権の外交を否定する動きが目立つ。

 さらに、韓国が主催観艦式で自衛隊旗「日章旗」の掲揚自粛を求め、日本が参加を見送ったにもかかわらず、韓国は観艦式当日、自粛要請に矛盾する形で、文大統領が乗る艦艇に抗日の象徴として英雄視される李氏朝鮮の李舜臣(イ・スンシン)将軍の旗を掲揚するなど、日本を刺激する行動を続けている。竹島(島根県隠岐の島町)の領土問題や元徴用工をめぐる訴訟などの難題も山積している。

 聯合ニュース(同)によると、日韓合意以降、韓国国内で合意に対する批判が巻き起こるなかで、外交部の対日外交担当職員の一部がカウンセリングを受けなければならないほど極度のストレスを訴えていたとされる。

 こうした事情を踏まえ、中央日報(同)は、外交部元幹部のこうしたコメントを掲載した。

 「慰安婦合意の事例で分かるように、政権が変われば外交方向が180度変わる状況で、若い外交官が危険を好むはずがないだろう」

この記事を共有する

おすすめ情報