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【正論10月号】安倍氏三選の意義 これをやらずに何をやる スパイ防止法は世界の常識 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦

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自民党総裁選で連続3選を決め、記者会見する安倍晋三首相=20日、東京・永田町の党本部
自民党総裁選で連続3選を決め、記者会見する安倍晋三首相=20日、東京・永田町の党本部

※この記事は、月刊「正論10月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 自民党は、外国の諜報員に諸外国なみの厳罰を科すことなどを可能とする「スパイ防止法」の制定を急ぐべきである。昭和60年に自民党議員らが議員立法で提出したが、当時は野党の強い反対で廃案となってしまった。あれから33年。わが国を狙った外国スパイの脅威は減少するどころか形を変えて高まっており、与党は「国益を守る」という責務に正面から向き合うべき時を迎えている。

諜報に「素人」を使う中国

 日本において社会が安定し、かつ、国民の基本的人権が守られていることは論を俟たないが、それは全て、長年をかけて確立されたルールとシステムの後ろ盾があってのことである。その根幹部分を敵国に攻撃されたり、奪われたら最後、日本社会の安定と国民の人権は根底から簡単に崩されてしまうだろう。

 欧米ではジェームズ・ボンドのようなプロを敵国に送り込んで、機密情報を盗ませることが今も諜報活動の主流だが、最近は敵国に入らずして、サイバー空間を使って盗むケースも増えている。プロに対する警戒を継続すべきことは言うまでもないが、インターネット社会になった現代では、後者の脅威が高まっていくことは間違いない。

 また、サイバー空間の利用とともに、「欧米型とは違う諜報」として近年注目されているのが摘発の難しい「素人」を「人海戦術」で繰り出す中国のケースである。

 彼らは例えば、米国の学校で学ぶ中国人留学生や、米国企業で働く中国系米国人に「祖国(中国)のご家族が病気なんだって? 治療費を出してあげるから研究室(もしくは職場)に置いてある資料を何でもいいから持ち出してきてよ」などと囁き、家族愛が強い同胞を言葉巧みに勧誘する。その数や2万~3万人にも及ぶとされ、彼ら一人一人に「小石」「ダイヤ」を問わずあらゆる情報を盗んでこさせるのである。

 彼らが入手してくる一つ一つの情報は断片的であり、単独で意味をなすものは少ないが、ジグソーパズルと同様、空白部分をプロが補うことによって機密が判明することもある。実に手間のかかる作業だが、中国はそれを苦にしない。

 日本は今後、多くの外国人労働者が入国する時代を迎えるため、人海戦術が展開しやすい社会へと変貌することは間違いない。摘発対象をプロに限定している従来のスパイ防止法では、こうした新たなスタイルの諜報活動に対応することは難しく、サイバー対策はもちろん、一般人が関与している可能性をも視野に入れながら法制化を検討すべきである。

 例えば中国人の人権に配慮しつつ、「バックグラウンドチェック」を強化することも重要になると思うが、彼らはそもそもスパイとは無縁の民間人として日本へ入国してくるため、その効果は限定的であることが悩ましい。

スパイ以外は心配無用

 私は日本国憲法がスパイ防止法の制定を禁じているとは見ない。だからこそ、冷戦期の日本の国会議員は成立を目指したのである。とはいえ、野党は昭和60年当時、「基本的人権や表現の自由が侵されてしまう」としてスパイ防止法に反対した記憶があり、自民党が改めて提案することになれば、33年前と同様の論法で抵抗してくる可能性が高い。

 このため、提案者は「スパイ防止法を作ることが実は日本人の人権を守ることに寄与するのだ」などと、国民に対する説明の仕方を工夫する必要があるだろう。冷戦期のスパイ防止法をめぐる自民党の議論が機密を守ることに重きを置きすぎ、人権擁護の観点を軽視したことは教訓とすべきである。

 人権擁護を強調したとしても、野党や左派マスコミが「反自民」の観点でスパイ防止法を批判してくるであろうことは、特定秘密保護法や安全保障法制の国会審議を振り返れば容易に想像がつく。しかし、よくよく考えればスパイ行為と縁のない大半の国民にとっては痛くも痒くもない法律である。

 つまり、非合法的な手段で「奪われるべきではない情報」を盗んだ犯人をあぶり出すのがこの法の趣旨であり、普通に生活をしている国民が影響を受けることは一切ないことを提案者はしっかりと強調すべきである。

 ※続きは月刊「正論10月号」でお読みください。ご購入はこちらへ。

 ■宮家邦彦氏 昭和28年生まれ。東京大学法学部卒。53年外務省入省。日米安保条約課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。

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【大特集三選の意義】

★安倍さん、さあ憲法改正でしょ 弁護士 橋下徹

★安倍首相のスピーチライター 怒りの告白 モリカケ批判には堪忍袋の緒が切れた 内閣官房参与 谷口智彦

★安倍総理 戦後最大の戦い 連載特別版 産経新聞論説委員・政治部編集委員 阿比留瑠比

★内閣総理大臣安倍晋三 憲法改正案 提出宣言 新聞が報じきれなかった、その“全て”

★憲法審査会はいつまで議論しているのか 参議院議員 山田宏

★安倍首相よ、「西側」の結束を守れ 防衛大学校名誉教授 佐瀬昌盛

【憲法改正だけじゃない! これをやらずに何をやる】

★旧宮家復活なくして日本の存続なし 作家 竹田恒泰

★敵地攻撃能力 当たり前の“自衛”がなぜできない 軍事評論家 古是三春

★「国旗損壊罪」で日の丸を守れ 元総務大臣・衆議院議員 高市早苗

★防衛費倍増でも足りない 軍事アナリスト 北村淳

★スパイ防止法は世界の常識 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹 宮家邦彦

★ミスター懐刀・菅義偉の官僚操縦術 産経新聞政治部記者 田北真樹子

★安倍政権の経済政策を徹底討論! アベノミクスで就職率100% 嘉悦大学教授 高橋洋一VS産経新聞特別記者 田村秀男

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★スクープ[告発!]韓国政府がつくった“戦犯”日本企業273社実名リスト 麗澤大学客員教授 西岡力

★絞首刑は宣告できない… 東京裁判判決に反対した判事の日記 産経新聞パリ支局長 三井美奈

【特集日本の領土】

★タニタ社長はなぜ小笠原に行った? 本誌編集部

★[対談]気象予報士 半井小絵 ×東海大学教授 山田吉彦 日本で北方領土の天気予報を ロシア化を止めるために

★北海道の“中国”化が進む… 産経新聞編集委員 宮本雅史

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★“拉致”解決への教訓…捕虜を見捨てたアメリカ 青山学院大学教授 福井義高

★翁長知事は本当に「反基地の闘士」だったか 連載 対中最前線 八重山日報編集長 仲新城誠

★南シナ海に鉄のカーテンが降ろされる 国家基本問題研究所主任研究員 湯浅博

★尖閣諸島は日本と中国の“火薬庫” 元米海兵隊大佐 グラント・F・ニューシャム

★トランプ「保護主義」「孤立主義」のウソ 株式会社武者リサーチ代表 武者陵司

★元イラク大使が直言 なぜ国連精神に反する9条を守るのか 元駐イラク特命全権大使 長谷川晋

★評論家 西尾幹二×月刊Hanada編集長 花田紀凱 左翼リベラル文藝春秋の「自滅」

【追悼特集】

★津川雅彦 国家観を持った名優 内閣総理大臣 安倍晋三

★津川雅彦“名文”再掲載 職業に貴賤はなくとも働く人間の志に貴賤はある 我が友、浅利慶太よ 作家 石原慎太郎

★浅利慶太が奏でた挽歌 コラムニスト・元産経新聞論説委員 石井英夫

★中曽根康弘元首相から追悼コメント

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★裏切った日弁連 後見人制度 ジャーナリスト 長谷川学

★巻頭カラー漫画 業田良家  それ行け! 天安悶

★真ん中グラビア 西原理恵子  ぬるま湯 正論

★シリーズ対談 日本が好き! 反権力という権力をイジるのも反権力でしょ 落語家 桂春蝶/ジャーナリスト 井上和彦

《注目の連載》

★読売テレビ・チーフプロデューサー 結城豊弘 シネマ異聞 そこまで言う?!

★明治偉人列伝 女流講談師 神田蘭の見てきたようなウソをつき

★ジャーナリスト 有本香 食いものにされる日本 第2回 イイとこ取り移民政策の愚

★ネットバスターズ ITジャーナリスト 宮脇睦

★産経新聞外信部次長 矢板明夫 私が中国を批判する理由

★SEIRON時評 習近平のプロパガンダに乗せられる「バカの壁」 評論家 江崎道朗

★よしなしこと サンミュージックプロダクション社長 相澤正久

★メディア裏通信簿  迷走LGBT論争

【リーディング】

★折節の記 高山正之

★フロント・アベニュー LGBT法整備「暴走」を危惧する 麗澤大学教授 八木秀次

★アメリカの深層 セキュリティ・クリアランス 福井県立大学教授 島田洋一

★朝鮮半島藪睨み 「同盟より民族」か 産経新聞編集局編集委員 久保田るり子

★近代以後 私の「生活哲学」と… 筑波大学教授 古田博司

★君は日本を誇れるか 皇室行事の「簡略化」を憂う 作家 竹田恒泰

【グラビア】

★Eye Love Japan  海に整列する電柱 大西正純

★文人論客 壺中之天  正岡子規「根岸 笹乃雪」/取材・構成 将口泰浩

★皇室歳時記

★不肖・宮嶋の現場 皇国の四方を守るべし

★阿蒙列車 大竹直樹

★秋山庄太郎〈女優の肖像〉 森口博子 /文 内海陽子

【好評連載】

★主婦の眼・ママの声

★マスコミ走査線  石川水穂

★セイコの「朝ナマ」を見た朝は

★映画ナナメ読み 山根聡

★読書の時間

★読者のプロムナード

★編集者へ・編集者から

★操舵室から  

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