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古典舞踊で日印交流 成果の創作舞踊劇を東京で披露へ

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古典舞踊で日印交流 成果の創作舞踊劇を東京で披露へ

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インドで喝采を浴びた日印共同の創作舞踊劇「ラーマーヤナ」(C)One Frame Story 1/2枚

 古典舞踊を通じて日本とインドの相互理解を深めようというユニークなプロジェクトが、2年半越しで進行。総決算ともいうべき公演が、7月に東京で行われる。日印の協同作業の過程をインドまで飛んで見守ってきた舞踊評論家、桜井多佳子さんにプロジェクトの全容を聞いた。

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ワークショップ

 公演は、7月3日に国立劇場(東京都千代田区)で開かれる「印度の魂 日本の心 真夏の宵の競演」で、日本とインドの伝統的な舞踊と音楽が共演する。目玉はインドの叙事詩「ラーマーヤナ」を題材とした創作舞踊劇で、桜井さんによれば「すでに行ったインド公演では観客が総立ちの喝采を送った」という。

 2016年12月にインド・ニューデリーの日本文化センターで行われたワークショップ(国際交流基金主催)が始まりだった。

 ワークショップでは、日本舞踊家集団「五耀會(ごようかい)」の西川箕乃助(みのすけ)さん、花柳寿楽さん、花柳基(もとい)さん、藤間蘭黄(らんこう)さん、山村友五郎さんの5人が、インド古典楽器のシタールやタブラで踊った。さらに、インド伝統舞踊のカタックダンスも加わり、「美しい自然」をテーマに共演した。

 桜井さんによれば、古典舞踊は、それぞれの自然風土に根ざしている。「花」「木々」「雨」などの表現は、日印どちらの舞踊にも存在する。ただ、微妙な差異はある。例えば、インド舞踊の「雨」はそこに「喜び」の意味も加わる。つまり「恵みの雨」だ。共演では、インドの舞踊家が降らせる雨を、日本の舞踊家が笠(かさ)でしのいでみせた。

 「微妙に異なる動きが調和する様は圧巻でした」と桜井さんは振り返る。

ラーマーヤナ

 このワークショップの成功を受け翌17年、インドでの日印共同制作公演が実現の運びとなった。

 桜井さんによると、国際交流基金ニューデリー日本文化センターの夫津木美佐子(ふつき・みさこ)さんが「一方的な日本文化紹介ではなく、双方向性があるコラボレーションを」と提案。五耀會が、インド人なら誰もが知る「ラーマーヤナ」を、邦楽とインド音楽にのせ日本舞踊で描く案を出した。

 蘭黄さんが舞踊台本をまとめ、インドの舞踊家、演奏家と電子メールで何度もやりとりした末に、同年12月、五耀會は、邦楽演奏家を伴って現地に赴いた。

 「ラーマーヤナ」には、自然や動物が神として登場する。5人のうち箕乃助さん、基さん、友五郎さんの3人はそれぞれ魔王の妹や猿の王など、男女か人間かを問わず3役を演じることにした。

 「男女の性差を瞬時に飛び越え、動物にも自然現象にもふんすることができる日本舞踊ならではのキャスティングです」と桜井さんが教えてくれる。

 ただ、衣装を着替える時間がない。そこで着物の上に布地を巻いて、役が変わったことを表現することにした。なんといってもインドは布地の宝庫だ。

 買い出しで蘭黄さんは、「布店の店員が、ラーマのイメージはこれ、とインド人客と相談しながら決めた」ことに驚いた。「ラーマーヤナ」が、インド人にどれだけ身近であるかを知ったという。

写真ギャラリー

  • インド大使館で会見した日本舞踊家「五耀會」のメンバー