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【久保田るり子の朝鮮半島ウォッチ】金正恩氏の甘い罠…北は「平昌五輪参加」で一石五鳥を狙っている

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緊迫 朝鮮半島

金正恩氏の甘い罠…北は「平昌五輪参加」で一石五鳥を狙っている

久保田るり子の朝鮮半島ウォッチ更新

 韓国は北朝鮮に、五輪開催の盛り上げで「借り」を作った格好だ。平昌五輪をめぐっては、北朝鮮の脅威から五輪参加に留保を付ける国もあったが、南北融和ムードを演出したことで韓国は北朝鮮に主導権を取られた形だ。韓国は今後、北朝鮮に政治的譲歩を迫られるとみられる。

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 平昌五輪に参加する北朝鮮代表団の経費は韓国側が負担する見込みだ。これは国際制裁網のなかで「スポーツだけ例外なのか」という批判も出そうだ。

 また、五輪開会式で南北は合同入場する場合、「国旗」が問題となるだろう。これまで南北が合同入場する際には、2000年のシドニー五輪などで「朝鮮半島旗(統一旗)」を掲げた例があるが、今回は韓国での開催だ。韓国国内では早くも、韓国国旗(太極旗)を使わずに「統一旗」にするのではないかとして、「ホスト国として自国の国旗を揚げないのか」との懸念が取り沙汰されている。

予想される要求項目は…

 南北閣僚級会談では北朝鮮代表である祖国統一委員会の李善権委員長が、韓国側の「非核化に向けた対話再開が必要」との発言に猛反発、「核爆弾など最先端兵器は徹頭徹尾、米国を狙ったもの」と大声をだした。核問題に韓国には口を出させないとの強い意思表示で、南北対話を突破口に「北朝鮮の核問題を平和的に解決しなければならない」(文大統領)との見通しは通用しそうにない。

 北朝鮮はいまのところ、韓国に厳しい要求は突きつけていない。五輪参加で韓国から何が獲得できるか見定めようとしている。

 しかし、今後、予想されるのは米韓合同軍事演習の中止、開城工業団地再開、金剛山観光開発の再開、南北経済交流事業の再開、韓国政府の対北制裁解除などだ。対話が継続すればこうした要求が出て来る可能性があるが、いずれも対北国連制裁に抵触するものだ。

 米国は平昌五輪が終了する3月18日以降に米韓合同軍事演習を実施する予定で、「予定通りに北朝鮮への軍事圧力を強める」(米太平洋軍ハリス司令官)としている。北朝鮮の平和攻勢に文在寅政権はどう対応するのか、現在のところその戦略は全く見えない。(編集委員)

写真ギャラリー

  • 北朝鮮の祖国平和統一委員会の李善権委員長(右)と握手する韓国の趙明均統一相。この後、会談で北朝鮮は平昌冬季五輪への参加を正式に表明した=9日、板門店(韓国取材団・共同)
  • 北朝鮮問題は文在寅・韓国大統領の動きにかかっている(聯合=共同)
  • 2018年の「新年の辞」を発表する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信撮影・共同)