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【久保田るり子の朝鮮半島ウォッチ】金正恩氏の甘い罠…北は「平昌五輪参加」で一石五鳥を狙っている

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緊迫 朝鮮半島

金正恩氏の甘い罠…北は「平昌五輪参加」で一石五鳥を狙っている

久保田るり子の朝鮮半島ウォッチ更新
2017年9月、ドイツで行われたフィギュアスケートの大会に出場した北朝鮮のリョム・テオク、キム・ジュシク組。平昌五輪への出場枠を獲得している(AP) 1/4枚

 北朝鮮にとって平昌五輪は政治宣伝の道具に過ぎない。金正恩氏は「代表団を派遣の用意がある」のひとことで局面転換に成功した。韓国は「南北同時入場を」などと浮き足だっているが、北の狙いが国際包囲網の弱体化と制裁逃れ、時間稼ぎにあるのは明白だ。9日の南北会談では今後の軍事当局間協議などでも合意したが、南北対話が始まれば、さまざまな形で北朝鮮に韓国資金も流れ込む。北朝鮮の五輪参加は欺瞞すぎず、韓国は北朝鮮に政治利用される可能性が高い。

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金正恩氏の「平和攻勢」

 北朝鮮は平昌五輪に高官代表団、選手団、応援団、芸術団、観戦団、テコンドー団、記者団など韓国に送り込むが、その規模は「400~500人の代表団になるだろう」(李洛淵・韓国首相)という。大規模代表団で五輪の雰囲気を一変させ、南北の祭典のように盛り上げて北朝鮮の平和攻勢の宣伝一色にしようとの目論みだ。応援団や芸術団は有名な“美女軍団”である。彼女たちが平昌に来れば韓国だけでなく世界の注目の的になる。

 選手団としては約20人で、女子アイスホッケーやショートトラックが推薦枠で出場が可能とみられる。韓国の民族意識が高まるのは必至だ。「南北は同族」とのいわば心理的武装解除状態になるだろう。

 さっそく米韓合同軍事演習を延期させたが、狙いは「韓国カード」のさらなる政治利用だ。その主なポイントは5つ。

 (1)すでに文在寅政権は取り込まれた。今後、離散家族再会などの人道問題を北朝鮮が受け入れれば、韓国は米韓合同軍事演習の実施を拒むだろう(2)米国は五輪期間中の軍事演習を見合わせたが、今後も韓国が演習中止を要請すれば米韓同盟関係に亀裂が入る(3)対話ムードは国際社会の対北制裁を鈍らせる(4)南北対話で人の往来が実現すれば韓国の資金が北朝鮮に流れる(5)北朝鮮は南北対話を口実に時間稼ぎが可能になった。

 北朝鮮が核・ミサイル開発の放棄を前提とする対話に出る可能性は限りなくゼロに近い。この時間稼ぎを米国はどこまで許容するのか。日米は懸念を持ちつつ韓国文在寅政権の行動を見守っている。

金正恩氏に借りを作った文在寅大統領

 韓国の文在寅大統領は10日の年頭会見で「条件が適切であればいつでも首脳会談を行うことができる」と南北首脳会談に改めて意欲を示した。文大統領は就任当時から南北首脳会談に意欲をみせていただけに、ますます前のめりである。

写真ギャラリー

  • 北朝鮮の祖国平和統一委員会の李善権委員長(右)と握手する韓国の趙明均統一相。この後、会談で北朝鮮は平昌冬季五輪への参加を正式に表明した=9日、板門店(韓国取材団・共同)
  • 北朝鮮問題は文在寅・韓国大統領の動きにかかっている(聯合=共同)
  • 2018年の「新年の辞」を発表する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信撮影・共同)