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【2018平昌五輪】入場券「押し売り」模索、赤字補填は血税…開幕80日切って強まる悲観論

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入場券「押し売り」模索、赤字補填は血税…開幕80日切って強まる悲観論

2018平昌五輪更新
ルージュ、ボブスレーなどが開催されるアルペンシア・スライディングセンターの全景。興行的に赤字が出れば、補填は国民の税金からになり得る。開幕が刻々と迫る中、悲観論はやまない(AP) 1/3枚

 来年2月に開催される平昌五輪。2010、14年の招致に失敗し、3度目の立候補で大願成就を果たした韓国国民の悲願だったはずだ。ところが、開幕80日を切っても五輪ムードは醸成されず、チケット販売は苦戦したままで興行的に赤字が懸念される。五輪組織委員会は地方公共団体などの団体へ入場券の「押し売り」を模索しているという。

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(※12月1日にアップした記事を再掲載しています)

 歴代の五輪開催都市では閉幕後の競技場の運営・管理で財政赤字が深刻な問題となっているが、平昌五輪の開催都市・江原道ではすでに年間101億ウォン(約10億円)の赤字が予想され、政府に法律を改正してまで支援を求める考えが早くも浮上している。もはや五輪開催は“お荷物”と化している。

 以前、韓国メディアが「今からでも平昌五輪を返納できないものだろうか」と題し、国民の五輪への関心の低さや、緊迫化する朝鮮半島情勢によって不参加国が発生する可能性、莫大な負債を生み出す公算が大きいことなどの要因を挙げて、失敗に終わりかねない危険性を紹介した。

 韓国日報は11月12日付で、江原道が議会に提出した資料を基に、同道が五輪終了後に管理する7競技場で年間101億3100万ウォン(約10億1310万円)の赤字が生じると予想され、税金を投入して補填しなければならなくなると報じた。数千億ウォンの税金を投じて建設したうえに、「負の遺産」を抱え込む形になる。

 施設の中には専門の選手でなくては利用が困難な競技場や、建設当時から運営収支の赤字と環境破壊問題が提起されたものの、何らの解決策を見いだせずに建設されてしまった競技場もあるという。自らを黒字化する事業実施を最初から放棄したとしか言いようがない。

 韓国では、国際的なスポーツイベントを招致した自治体が巨額な赤字に苦しむ例が後を絶たない。代表的な例として、2014年9~10月に仁川市で開催されたアジア大会が韓国メディアで多く取り上げられる。最近の国政監査では競技場管理・運営に年間110億ウォン(約11億円)の赤字が生じ、累積赤字は354億ウォン(約35億円)という巨額に達しているという。江原道も同様の赤字構造に陥ると懸念されている。

 この事態を避けるため、江原道は政界と協力して国民体育振興法を改正してもらい、一般の使用が困難な専門体育施設4カ所に関して国に管理してもらう対策を推進中だと韓国日報は報じた。結局、国民の血税に頼る方法しかないようだ。

 ただ、仁川市など大型スポーツイベントを行って財政赤字に苦しむ他の地域との公平性の問題がネックになるとの見方もある。江原道の関係者は民間投資の誘致など多角的な競技場の事後活用法も探しているという。

 その一環として、平昌五輪招致を目的に建設されたアルペンシアリゾートを海外投資グループに売却する計画が推進中と韓国メディアのノーカットニュースが11月15日に伝えた。冬季五輪招致のためには複合的な施設が必要と計画され、2010年7月にオープンした同リゾート。ホテルやスキー場、会員制ゴルフ場、高級ヴィラなどを兼ね備え、平昌五輪ではジャンプ競技などで活用される。

 しかし、分譲収入で公社債を返済しようと計画したが、分譲率を高めるために5回に及ぶ設計変更で事業費がかさみ、総負債額は1兆ウォン(約1000億円)以上に達した。10月現在で8196億ウォン(約820億円)の負債が残っている。江原道と事業主体の江原道開発公社の財政難に拍車を掛けているという。現在のアルペンシアリゾートの帳簿価格は1兆930億ウォン(約1093億円)と報じられている。

写真ギャラリー

  • 平昌五輪でジャンプ競技が行われるアルペンシアリゾート。海外の投資への売却計画が進行していると報じられる(ロイター)
  • 平昌五輪の広報大使を務めるフィギュアスケートの金メダリスト、キム・ヨナさん(左)とマスコットのスホラン。国内の五輪ムードはなかなか盛り上がらない(ロイター)