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【びっくりサイエンス】流れ星を人工的に降らせてしまえ!? 世界初、日本のベンチャー企業が挑戦

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流れ星を人工的に降らせてしまえ!? 世界初、日本のベンチャー企業が挑戦

びっくりサイエンス更新
人工流れ星の想像図(ALE提供) 1/6枚

 夜空に一瞬、現れる流れ星。見えている間に願い事をするとかなうともいわれるが、いつどこに現れるか正確に予測できない。ところが、そんな流れ星を予定した日時と場所に人工的に降らせてしまおう、という何とも奇想天外な計画がある。日本のベンチャー企業が仕掛けるもので、再来年に広島で世界で初めて挑む。

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 流れ星の正体は、宇宙にある1ミリ~数センチほどの流星物質と呼ばれるちり。これが地球の大気に飛び込み、高温になって気化した成分が光を放つ。流星物質の多くは、彗星(すいせい)が通り道にばらまいていったもの。太陽の周りを公転する地球がそこを通りかかると、多数の流れ星が生じる「流星群」が現れる。

 多数といっても、流星群の流れ星はピーク時でさえ1時間に数個のことも、ざらにある。出現する時期は毎年決まっているが、願い事をしたいなら、夜空をずっと見上げる根気強さが求められるのだ。

 このハードルを一気に下げる「人工流れ星」を計画しているのが、都内のベンチャー企業「ALE」(エール)。直径1センチの流星物質を人工衛星から放出し、自然の流れ星と同様に光らせることで、地上の直径約200キロの範囲で観察できる。しかも、自然の流れ星よりはるかに長い5~10秒程度にわたり見えるという。「21世紀型の花火大会」といった趣になるのだろうか。

 一辺60センチほどの箱形の超小型衛星に300~400個の流星物質を詰め込み、国産小型ロケット「イプシロン」または海外のロケットで来年末にも打ち上げる。高度約500キロを周回し、オーストラリア上空で流星物質を放出。15分後に日本の上空約60キロに到達して発光する。東北大や首都大学東京、神奈川工科大、日本大の研究者が衛星開発などに協力している。

 初めて流れ星を降らせる場所は広島県の瀬戸内地域。晴天率が高い、広島は知名度が世界的に高い、多彩な風景が楽しめるなどの理由で選んだという。何個の流れ星を出すかは未定。衛星が寿命を迎える1年後までに流星物質を使い切る予定だ。

 自然の流れ星は特有の色で光る。流星物質に含まれるさまざまな元素が、種類ごとに異なる色を示す炎色反応を起こすためだ。人工流れ星も同様の効果が期待できるため、多彩な色が出るように物質の成分を工夫するという。

 東京大で天文学を専攻したALEの岡島礼奈社長は、学生時代にしし座流星群を見て感動し、人工流れ星を発案。証券会社勤務などを経て平成23年に同社を設立した。

 「現代はスマートフォンの利用で下を向くことが多い。人工流れ星の日は全ての人が上を向く日にしたい」と語る。お楽しみイベントの印象が強いが、高層大気の分析や自然の流れ星の仕組みの研究など、科学にも役立てたいという。

写真ギャラリー

  • 流れ星になる物質を放出するのに使われる人工衛星の想像図(ALE提供)
  • 人工流れ星について会見するALE(エール)の岡島礼奈社長(左から3人目)と支援企業の幹部ら=平成29年11月7日、東京都渋谷区(草下健夫撮影)
  • 人工流れ星について会見するALE(エール)の岡島礼奈社長=平成29年11月7日、東京都渋谷区(草下健夫撮影)
  • しし座流星群で現れたひときわ明るい流れ星「大火球」=平成10年11月18日、埼玉県大滝村(草下健夫撮影)
  • しし座流星群で現れたひときわ明るい流れ星「大火球」(左上)=平成10年11月18日、埼玉県大滝村(草下健夫撮影)