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【ニュースの深層】31歳NHK女性記者はなぜ過労死したのか「要領悪く、時間管理できない」心ない言葉浴びた両親

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31歳NHK女性記者はなぜ過労死したのか「要領悪く、時間管理できない」心ない言葉浴びた両親

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 これがNHK側の勘違いを招いた。NHKの関係者は「記者の仕事は個人事業主のようなもので、休憩も出勤時間も自由にできる」と両親に告げたという。確かに自営業者などであれば労働基準法の規制は及ばないが、記者は労基法で保護される労働者だ。雇用主には労働者の健康確保を図り、適正な労働時間管理を行う責務がある。

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 法要の際にさらに追い打ちをかける場面があった。弔問に訪れたNHKの元同僚に対し、佐戸さんの母親が「未和はわが家のエースでした」と話すと、元同僚は自分の手帳を見せながら「要領が悪く、時間管理ができなくて亡くなる人はエースではない」と返してきたという。

拉致問題の取材に傾注

 佐戸さんが亡くなった後、同僚らがつづった文集がある。そこには佐戸さんの仕事への熱い思いや、優しい人柄があふれていた。

 ある同僚が、東京に異動してから夏休みを利用して鹿児島へ行くという佐戸さんにその理由を尋ねると、「拉致被害者の両親に招かれて、泊まりに行く」と答えた。鹿児島では熱心に北朝鮮の拉致問題について取材していたという。同僚は「両親からの信頼が厚く、実の娘のようにかわいがられていたようだ」と記した。

 首都圏放送センターでも幅広い取材活動に打ち込んだ。留学生の雇用問題のためウズベキスタン出身の学生に密着取材したり、鶏卵が高騰した際には築地の老舗の卵焼き店に突撃取材したりした。茨城県の取手駅前で発生したバス通り魔事件では、乗車していた女性の生々しい証言を取った。

 ある同僚は佐戸さんの死後、がん患者のNPOやダウン症の子供の支援の現場を取材した際、「前、佐戸さんに取材してもらって」と言われ、「佐戸の優しさが取材先にも届いている」と感じたという。

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  • 佐戸未和さん(遺族提供)
  • 佐戸未和さん(遺族提供)
  • 佐戸未和さん(遺族提供)