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【月刊正論5月号】左右狙う「文春砲」 ××新聞「安倍批判路線に転じた理由教えて」の取材断りました 週刊文春編集長 新谷学

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左右狙う「文春砲」 ××新聞「安倍批判路線に転じた理由教えて」の取材断りました 週刊文春編集長 新谷学

月刊正論5月号更新

 次々とスクープを放ち結果的に政治家を辞任させたりすることもある週刊文春は、モサドやCIAみたいだと言われることもありますが、別に私たちは誰かを裁こうなどと思って雑誌を作っているわけではありません。もともと私は大上段に構えて「人々を啓蒙してやろう」などという人間は大嫌いです。子供のころから、そういう先生は嫌いでした。  阿川弘之さんが文を担当された「きかんしゃやえもん」という絵本の名作があります。小学2年生のときに、その読書感想文を書かされました。私は1行だけ、「きかんしゃがしゃべるわけない」と書いて提出して、親が学校に呼び出されました。「やえもんの気持ちって言ったってさあ、機関車じゃん」という違和感があったんです。やはり子供のころからリアリズムというか本音主義というか、学校にありがちな建て前やきれいごとには違和感を覚えていたんでしょう。それは、今の仕事につながっているのかもしれません。みんなが「右だ」と言っているときに一人だけ左を向けるか、というセンスは大事なことですから。  

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 就職するときも、私は最初は日本テレビに入ってバラエティー番組を作りたいと思っていたんです。でも、最終面接で落ちてしまった。入る気満々でしたから他に何もしていなくて、あわてて新潮社と文藝春秋も受験することにしたんです。

 

 で、新潮社の3次面接で「キミ『週刊新潮』読んでる?」と聞かれて「読んでいません」と答えたら「キミはあまりジャーナリスティックな人間じゃないなあ」と言われたものですから、「別に週刊新潮を読んでいるからジャーナリスティックだとは思いませんよ」と答えたら「もう、いい」と言われて落ちた。これはヤバイと思って、背水の陣で文藝春秋の入社試験に臨みました。入社志望書の「よく読む雑誌」の欄にはちゃんと「週間文春」と書いて提出しました。面接で「キミ『週刊文春』読んでるの?」と聞かれたので「もちろん読んでますよ」と答えたのですが、「週刊文春の刊は『間』じゃないぞ」と言われてしまいました…。「本当は読んでませんでした」と白状したのですが「正直でよろしい」と言われました。文藝春秋のおおらかさといいますか、やはり相性が合ったのかと思います。  

 実は最終面接でも結構きわどいことがありました。社長以下、全役員を前に1人で面接を受けるのですが、ある役員から「編集志望と書いてあるけれど、経理とかに行かされたらどうするんだ」と聞かれて、つい「そういう言い方は、経理で働いている方に失礼じゃないですか」と答えてしまいました。そうしたらその役員が「それもそうだな」と納得してくれて。普通なら「何て生意気なことを言う奴なんだ」と落とされるところでしょう。入社3年目でスポーツ誌「Number」編集部にいたときに、自分のプランだったので「俺にデスクをやらせてください」と編集長にかけ合ったことがありましたが、それを受け止めてくれて好き放題やらせてくれる土壌、懐の深さがこの会社にはあったのです。

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  • 『「週刊文春」編集長の仕事術』(ダイヤモンド社)