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【防衛最前線(106)】国防を陰で支える冬の主役 雪上車「大雪」やモーターグレーダーは今まさに大車輪の活躍

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国防を陰で支える冬の主役 雪上車「大雪」やモーターグレーダーは今まさに大車輪の活躍

防衛最前線(106)更新
雪の中でカムフラージュした90式戦車(陸上自衛隊提供) 1/19枚

 最近、全国各地で雪の被害が相次いでいる。24日には鳥取県内の国道などで一時300台以上もの自動車が立ち往生し、陸上自衛隊が出動した。

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 国防を担う自衛隊が雪なんかで休むことは許されない。特に、札幌市に所在する陸自北部方面総監部の部隊は毎年、厳しい寒波の中で任務を遂行してきた。

 仮に雪の中を敵が襲ってきたとしよう。迎え撃つためには戦車や火砲はもちろんのこと、人員や物資の輸送を担う雪上車や機動性に富んだスノーモービル、スキーやかんじきを履いた隊員らが戦場に向かうことになる。このとき、カムフラージュのため、戦車や車両から隊員1人1人にいたるまで真っ白な格好をしている。

 雪国の部隊ならではの装備といえるのは雪上車だ。雪上車には従来型の「78式」と最新型の「10式」があり、いずれも大型雪上車を略して「大雪(だいせつ)」と呼ばれている。くしくも北海道の最高峰を擁する大雪山系に通じる名前だ。

 78式と10式の違いは大きさにある。78式は全長5・2メートル、幅2・49メートル、高さ2・43メートルで総重量6トンなのに対し、10式は全長約4・7メートル、幅約2・3メートル、高さ約2・4メートルで総重量約5トンと、一回り小さい。

 そのため、最大積載量は約1トンで変わらないものの、乗員は78式の12人に対して10式は10人と少なくなっている。ただ、サイズの小型化によって10式は大型トラックに搭載可能で、トレーラーが必要な78式に比べて運搬しやすい。

 最高時速は78式、10式ともに約45キロまで出すことが可能だ。いずれも大原鉄工所が製造したもので、同社は唯一の国産雪上車メーカーとして、南極観測隊が用いる雪上車も製造している。

 78式に乗ったことがある陸自隊員によると「乗り心地は悪くないが、キャタピラで進むので、それなりに揺れる」という。それでも新雪やアイスバーンでも雪かきせずに進むことができるメリットは大きい。また、10式は暖房が効くので78式に比べて快適さが増している。

 ちなみに夏場は、キャタピラが傷まないように車体部分を浮かせて保管しているという。

 雪上車の他にはスノーモービルもあり、こちらは軽雪上車を略して「軽雪(けいせつ)」と呼ばれる。乗員2人、最大積載量40キロと輸送能力は小さいが、最高時速は75キロで機動性に富んでいるのが特徴。こちらは、ヤマハ発動機が製造している。

 一方、雪との戦いが死活的に重要なのは航空自衛隊も同じだ。滑走路が雪に埋もれては航空機が離着陸できず、いざというときの任務に支障をきたしかねない。

 そこで、空自も降雪に備えた万全の対策を取っている。飛行場は広大なので、さまざまな車両を保有し、その数も多い。例えば北海道千歳市の千歳飛行場は面積が約1059万平方メートルもあり、長さ3千メートルおよび2700メートルの滑走路計2本を持っている。

写真ギャラリー

  • 雪の中でカムフラージュした90式戦車(陸上自衛隊提供)
  • 雪の中でカムフラージュした90式戦車(陸上自衛隊提供)
  • 雪の中でカムフラージュした90式戦車(陸上自衛隊提供)
  • 雪の中でカムフラージュした90式戦車(陸上自衛隊提供)
  • 雪の中でカムフラージュした90式戦車(陸上自衛隊提供)
  • かんじきを履いて進む陸上自衛隊員ら(陸上自衛隊提供)
  • かんじきを履いて進む陸上自衛隊員(陸上自衛隊提供)
  • 雪の中で訓練する陸上自衛隊員ら(陸上自衛隊提供)
  • 雪の中を進む78式雪上車(陸上自衛隊提供)
  • 10式雪上車(陸上自衛隊提供)
  • 78式雪上車の車内(陸上自衛隊提供)
  • 78式雪上車の車内(陸上自衛隊提供)
  • 陸上自衛隊のスノーモービル(陸上自衛隊提供)
  • 陸上自衛隊のスノーモービル(陸上自衛隊提供)
  • 陸上自衛隊のスノーモービル(陸上自衛隊提供)
  • 北海道千歳市の千歳飛行場での除雪作業(航空自衛隊提供)
  • 北海道千歳市の千歳飛行場での除雪作業(航空自衛隊提供)
  • 北海道千歳市の千歳飛行場での除雪作業(航空自衛隊提供)