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【厳選・医療ニュース】どうなる子宮頸がんワクチン 疫学調査は接種再開へつながるか

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どうなる子宮頸がんワクチン 疫学調査は接種再開へつながるか

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 接種後に体の痛みや記憶障害などの健康被害が報告されたとして、国が子宮頸(けい)がんワクチン(HPVワクチン)の積極的な勧奨を中止してから3年半。厚生労働省研究班は昨年末、「非接種者にも痛みやしびれなどの同様の症状を訴える人が一定数いた」とする疫学調査の結果を発表した。ワクチンをめぐっては接種後の不調に悩む患者が国などを訴えているが、調査結果は接種再開に向けた議論の「材料」となるのか、専門家の判断が注目される。(社会部 道丸摩耶)

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積極勧奨中止の事態に

 「ワクチン接種後の副反応である多様な症状を調査する設計になっていない。接種していない人に同様の症状が出ていると結論づけることはできない」

 厚労省研究班の調査結果が発表された昨年12月26日、HPVワクチン薬害訴訟弁護団は会見を開き、そう訴えた。研究班は同日の厚労省部会で全国の病院の小児科や神経内科など約1万8千科を対象に行った疫学調査で、痛みや運動障害などの症状が3カ月以上持続し、通学などに支障が出ている12~18歳の患者が110人いたと発表していた。

 HPVワクチンは平成22年11月から基金事業として小学6年~高校1年までの女子が無料で受けられるようになり、25年度からは予防接種法に基づく定期接種となった。ところが、接種後のしびれや痛みなど、副反応として知られていない症状が報告されたとしてわずか2カ月後、積極的な接種勧奨が中止された。

弁護団、異論唱える

 しびれで歩けなくなったり記憶に障害が起きたりする症状に苦しむ少女たちの存在が注目を浴びたが、こうした症状をめぐっては、複数の医師が「接種が始まる前から同様の症状を訴える患者はいた」と話す一方で、「診たことがない」とする医師もいるなど、専門家の間でも見解が分かれていた。

 調査結果を受け、厚労省は「接種歴のない人にも同様の症状があると分かったことが大きなポイントだ」と話す。一方の弁護団は、「被害者が訴える症状は幅広く、一人の患者が多数の症状を持つのが特徴だ」とする。「調査では認知機能障害、知覚過敏など接種者に多い訴えは非接種者に少なかった」として、調査結果は被害者の症状と異なると訴える。

 研究班代表の祖父江友孝大阪大教授は「医療機関の医師がカルテを元に調査に答えた」としており、確かに非接種者の症状がどのようなものか、患者に直接調査を行ったわけではない。非接種者と接種者で症状が出る頻度がどのくらい違うかについても「もともと健康状態が悪い人は接種しない、積極勧奨中止により非接種者は若年者に偏っている、接種者は接種後の症状として知られる症状について強く訴えやすい、などさまざまなバイアスがあり、比較できない」とする。

厚労省は慎重姿勢

 結局、昨年12月の部会では、調査データをさらに細かく分析することを決め、接種再開の議論は始まっていない。HPVワクチンは現在も対象年齢の女子が無料で受けることができるが、接種を呼びかける通知を出していないため、接種者はほとんどいない。

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