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【話の肖像画プレミアム】マーティン・スコセッシ(74)=米映画監督=作品はエネルギー全てを注ぐ 本当にやりたい内容でないと

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マーティン・スコセッシ(74)=米映画監督=作品はエネルギー全てを注ぐ 本当にやりたい内容でないと

話の肖像画プレミアム更新

日本映画にも強い関心

 〈第28回高松宮殿下記念世界文化賞の演劇・映像部門の受賞者。日本映画にも強い関心を持つ〉

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 日本映画には心を癒やしてくれる何かがあります。私の生活に新しい次元を加えてくれました。私は日本映画から多くを学びました。

 〈故郷を舞台に数多くの映画を撮ってきた〉

 今のニューヨークは、いい意味で変わりました。人々は「『タクシードライバー』の頃がニューヨークの最低の時代でしたね」と言いますが、私は言い返します。「いいえ、ニューヨーカーの私にとってはあれが普通です」と。ただ、当時のニューヨークの汚さがあれほどひどいとは、私自身も知らなかった(苦笑)。『タクシードライバー』の音楽、カメラワークにニューヨークの“汚さ”が表れています。危険と暴力の臭い、それに伴う主人公の危険な内面の動き…。これが都市なのです。

 〈『タクシードライバー』主演のロバート・デ・ニーロは、自身の作品に欠かせない名優だ〉

 ブライアン・デ・パルマ監督の紹介でボブ(デ・ニーロ)に会いました。ボブは普段とても静か。でも脚本や動きの分析など、「これでどう?」「うんうん」といった感じで、最後まで言わなくても分かり合えるのです。

 彼は私の家族とも親しく、これほど長く良好な関係を保ち、映画を作れたのは奇跡です。でも私たちはいつも仲良しではありませんよ(笑)。最たる例は『レイジング・ブル』。彼はこの映画を作るよう強要しました。私は嫌でした。しかし、彼は私のことを私以上に知っていた、ということです。

 〈鍛え抜かれた現役時と、引退後の太った姿のボクサー、双方を演じたデ・ニーロの好演が際立つ『レイジング・ブル』は、今もファンの多い不朽の名作だ〉

 私は「神様、彼ともう1本、同じ世界の映画を作らせてください」と願っています。暗黒街の犯罪映画です。実は現在、デ・ニーロにある映画を作ることをせっつかれているのです。

 〈今世紀に入ってからは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などに主演したレオナルド・ディカプリオとのコンビによる作品が多い〉

 ボブが突然、電話をしてきました。「『ボーイズ・ライフ』という映画をやったんだが、この作品に出ている若造がすごい。彼を使った映画を絶対に撮った方がいい」と。デ・ニーロという男は、普段はこんなことはしない。それが急に「会わせたいやつがいる」と電話をしてくるなんて。「年齢は分からないが、多分12~13歳だろう」とも言っていました。それがレオ(ディカプリオ)でした。

 彼は恐れることなく何にでも挑戦し、エネルギーに満ちあふれ、大事なことですが、役者として素晴らしい。『ギャング・オブ・ニューヨーク』の撮影中、私はレオがすごく気に入りました。一番楽しかったのは『アビエイター』でしょうか。もちろん『ディパーテッド』も。『シャッターアイランド』では、最もクレージーで最も深い魂の交流がありました。しかし、彼の役に対する情熱が最大に発揮されたのは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でしょう。彼との映画作りが懐かしいです。

精神性を学んだ少年時代

 幼少時はぜんそくを持っていたので、両親はスポーツや速く走ること、大きな声で笑うことさえ禁じました。代わりにいつも映画館に連れて行かれ、子供の頃から映画愛好者でした。

 〈自身が作品の中で描く故郷の姿は、幼少時の体験で見てきたものが反映されている〉

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