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【防衛最前線・総集編(上)】10式戦車、オスプレイ、水陸両用車、多用途ヘリUH60…陸自の最新装備を一挙公開!

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10式戦車、オスプレイ、水陸両用車、多用途ヘリUH60…陸自の最新装備を一挙公開!

防衛最前線・総集編(上)更新

 ただ、AAV7が米軍に配備されたのは1970年代で、古い装備であることは否めない。潮位によってはサンゴ礁が多い沖縄の離島に上陸できず、水上速度(時速13キロ)も十分ではないため、国会審議では野党議員から「相手は火器を持っている。ぷかぷか浮かんでいたら、的になってしまう」と批判されたこともあった。

 それでも、陸自が調達を検討した水陸両用車の中で水上速度が一番速かったのはAAV7だったという。中国の強引な海洋進出が懸念されるなかで「今そこにある危機」に対処するため、AAV7に乗る水陸機動団は、文字通り背水の陣で修羅場に臨むことになる。

13式空挺傘

 空挺団は航空機から落下傘で降り立ち、領土侵攻を食い止めることを目的とした陸自最精鋭部隊だ。過酷な任務を課されているだけあって、陸自内でもえりすぐりの自衛官がその門をたたくことを許される。

 そんな“つわものども”の命運を握っているのが、最新型パラシュート「13式空挺傘」だ。平成26(2013)年に陸自に導入されたことから、通称は「13傘(ひとさんさん)」という。

 13傘は純国産で、救命胴衣などを製造する藤倉航装(東京都品川区)が開発した。22年に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」のパラシュートを開発したのも藤倉航装だった。

 13傘の最大の特徴は、傘の部分の相互反発性だ。パラシュート同士が接触すると、傘内部の空気が漏れ、どちらか一方のパラシュートがしぼんでしまい隊員は命の危険にさらされる。これを防ぐため、緻密な空力計算と最先端素材を用いた。パラシュートが上下に重なっても上部に空気が流れる耐後流性も実現した。このため、13傘はパラシュート同士の接触を気にせず隊員を降下させることが可能になった。

 前世代の12傘の研究開発が行われたのは冷戦時代の名残が残る時期だ。広大な北海道に着上陸する旧ソ連軍を念頭に置けば、狭い地域に隊員を集中投下しなくても構わなかった。これに対し、中国による離島侵攻が想定される現在の戦略環境下では、面積の狭い島嶼部に空挺団を送り込まなければならない。その意味で、13傘は中国対応型パラシュートとも言える。

多用途ヘリUH60

 9月に東日本を襲った記録的な豪雨では、自衛隊による懸命の救助活動で一命を取り留めた人も少なくない。とりわけ、自宅や道ばたに取り残された被災者を上空から救う姿には、インターネット上で「自衛隊ヘリの神業」と絶賛する声が相次いだ。洪水による激流をものともせず任務を達成したのが、多用途ヘリコプターUH60JAだ。

 「多用途」というだけあって、UH60JAの役割は空中機動作戦や災害派遣など多岐にわたる。26年9月に発生した御嶽山噴火や16年の新潟県中越地震、23年の東日本大震災にも投入され、幾度もの修羅場をかいくぐってきた。