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【安倍政権考】呆れた不見識…自民・野田聖子氏の「南シナ海は関係ない」発言に批判の嵐 首相目指す資格問う声も…

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呆れた不見識…自民・野田聖子氏の「南シナ海は関係ない」発言に批判の嵐 首相目指す資格問う声も…

安倍政権考更新

 もう首相の座は諦めたのだろうか? 自民党の野田聖子前総務会長が、南シナ海で中国が進める岩礁埋め立てなどを「直接日本と関係ない」と発言したことに対し、党内で厳しい批判が起きている。南シナ海は重要な日本のシーレーン(海上輸送路)である上、「国際法を無視して強引に領土・領海の拡張を図る中国への基本的認識があまりにも低すぎる」(党幹部)からだ。野田氏に近い議員ですら、「首相を目指す資質が欠けた…」とあきれている。

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 問題の発言は、11月4日放送のBS日テレ番組で飛び出した。野田氏は今後の日本外交について「日本に力を持ってして外交を進める余力はない。対話に次ぐ対話だ」と主張。特に南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で人工島造成や軍事拠点化を進める中国に対しては「南沙の問題を棚上げにするくらいの活発な経済政策のやりとりとか、互いの目先のメリットにつながる2国間交渉をしなければならない」と力説した。その上で「(南沙は)直接日本に関係ない」と言い放ったのだ。「南沙で何かあっても、それは日本に対してのメッセージでない」との見解も示している。

 言うまでもなく、日本は原油輸入の約8割を中東地域に依存しており、そのうち約9割が南シナ海を経由して運ばれてくる。経済産業省幹部は「南沙で有事があり、日本のタンカーが周辺を航行できなくなった場合、フィリピンの東側を大きく遠回りできたとしても輸送日数の長期化に伴う原油高は避けられない」と指摘する。南シナ海沿岸には東南アジア有数のコンテナ船のハブ港も多く、有事となれば工業製品を輸入する日本のビジネスモデルにも影響が出かねない。

 そもそも野田氏の発言には、軍事力と外交や経済がどういう相関関係をなしているのか、決定的な認識不足があると言わざるを得ない。

 平成27年版の防衛白書によれば、中国の国防費は5年連続で10%以上増えた。公表された国防費だけでも、1988年度から27年間で約41倍だ。中国が南沙で横暴な態度を取るのは、軍事力の整備に比例しているのは明らかだ。中国公船による尖閣諸島(沖縄県石垣市)での領海侵入や、東シナ海の日中中間線付近でガス田開発を進める姿勢にもつながる。

 野田氏は番組で「貿易や人的交流、科学技術の供与など、まず日本の得意分野で中国との溝を埋めるべきだ」とも指摘した。発言の背景には「安倍晋三首相が日中関係の改善に後ろ向きだったことへの不満」(野田氏周辺)もあるのだろう。

 しかし、日本の国益を損ないかねない振る舞いに目をつむり、優しく接するだけでは国民の安全は守れない。これは外交の基本中の基本だ。そもそも野田氏は、日米安全保障条約の役割をどう理解しているのだろうか。9月の自民党総裁選で野田氏の推薦人になることを了承したある議員は、今回の発言に「民主党の鳩山由紀夫元首相や、韓国の朴槿恵大統領と雰囲気が重なり、頭がクラクラした」と肩を落とした。

 野田氏は意見の多様性を否定しがちな党内をズバッと批判する一方、若手女性議員らへの世話、気配りを欠かさない人物だ。党内では「姉御」と呼ばれ、信望もある。安倍首相もそんな野田氏を見込んで、党三役に抜擢したのはわずか3年前のことだ。

 確かに、組織には「多様性」は必要だろう。しかし国民の安全に責任を持つ一国のトップリーダーを目指すなら、許される多様性の範囲にも限度がある。鳩山氏のように道理が通じない“宇宙”にこのまま行ってしまうと、簡単には戻れないだろう。

(政治部 水内茂幸)

 野田氏のBS番組での外交に関する主な発言は以下の通り。

 「今回、安倍首相が久しぶりに日中韓や、日中・日韓の首脳会談ができたことは本当にうれしく思っている。日本の将来を考えると、これだけ労働力(人口)がなくなるということは、力を持って外交を進めていく余力はない。対話につぐ対話が大切だ」

 「日本は何よりも科学技術をはじめとして、経済力も勝っている。そこを武器として取り組んでいかなければならないのでないか。中国も韓国も、私たちと同様に経済に不安を抱えている。そこが1つの突破口となる。それについて、南沙の問題を棚上げにするくらいの活発な経済政策のやりとりや、お互いの目先のメリットにつながるような2国間の交渉などをやっていかなければならない。大人の知恵として」

 --経済の関係が深くなっても、中国は埋め立てをやめないのでないか

 「そこは直接日本に関係ありません。あまりそんなに(南沙問題に)コミットすることはないわけで、むしろ日本ができることは、貿易または人的交流、科学技術の供与とか、そういう得意分野で中国との溝を埋めていくことが今一番に求められることだと思っている」 

 「今、確かに安全保障法制はできたが、まだまだ不完全。国民にとっても100%応援していただける環境にない。このまま自衛隊の人に無理やり何かをさせることは、逆に今後の自衛隊の動きを阻むことになる。それとリンクさせずに、ここは冷静に、南沙で何かあっても、それは日本に対してのメッセージでない。日本は独自路線で対中国、対韓国との日本らしい外交をしていくことに徹すべきだ」