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【スクリーン雑記帖・予告編つき】「エベレスト3D」で描かれた遭難者の難波康子さん 「彼女が日の丸を立てるシーンが好き」と監督

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「エベレスト3D」で描かれた遭難者の難波康子さん 「彼女が日の丸を立てるシーンが好き」と監督

スクリーン雑記帖・予告編つき更新

 1996年5月、世界最高峰のエベレスト(8848メートル)で8人の登山者が遭難死した実話を映画化した「エベレスト3D」が6日から公開されている。商業登山のパイオニアのロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)率いるツアー隊と、スコット・フィッシャー(ジェイク・ギレンホール)が率いる隊が登頂に挑戦するが、参加者の体調不良や登頂を断念させられないガイドの心理もあり、下山が遅れて嵐に見舞われてしまう。

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 エベレスト登山は商業化され、ガイドが顧客を連れて登るツアー隊で山頂付近が大渋滞に巻き込まれてしまうという商業登山の実態も描いており、実に興味深い。

“紅一点”の難波さん

 ホールのツアー隊には当時47歳のOL、難波康子さんも参加していた。遭難事故直前にエベレスト山頂に達し、日本人女性として田部井淳子さん(76)に次ぐ登頂者2人目になった。世界7大陸の最高峰を制覇した日本人女性としても田部井さんに次いで2人目だった。難波さんと同じ隊にいた登山家兼ライターのジョン・クラカワーが事故の詳細を書いたノンフィクション「空へ 悪夢のエヴェレスト」(ヤマケイ文庫)によると、「(難波さんは)頂上を照準に捉えた途端、これまでになく活気づいてきた」という。

 難波さんを演じたのは女優の森尚子。名古屋市出身で英国を中心に活躍している。マイナス30~20度の極寒の中で撮影した森は「難波さんと同様、キャストでは紅一点だったのでとても緊張しました」と振り返る。来日したバルタザール・コルマウクル監督は「ベースキャンプとのやり取りのテープが残っていて、彼女が登頂したことをみんなが本当に喜んでいたのがよく分かった」とほほ笑む。「『何で山に登るのか』と聞かれて哲学者でもないのに偉そうなことを言う登山家がいる。彼女は6つ登ったから7つ目を登ると語る。それが私の心に一番響きました」

 難波さんはクラカワーと登頂を果たした下山中に悪天候のため遭難死する。映画化にあたり監督は難波さんの夫に話を聞いた。

 「彼女は遭難してもしばらく生きていた。もし救助隊なり誰かがくれば助かったかもしれない。ご主人は『どうして連れて帰ってきてくれなかったんだ』と言えないことがつらかったと言っていました。遺体は山に残したままにするのが通例だが、ご主人は遺体を運ぶ手配をして荼毘に付したのです」

 監督にはお気に入りの難波さんのシーンがある。「物静かで自分を表に出さない彼女が頂上で日の丸を立てるシーンがすごく好きなんだ」

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