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【法廷から】「死ね!」「アホ!」-法政大活動家の訴訟で飛び交う怒号 中核派系支援者に順法精神なし 廊下でも罵声浴びせ…

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「死ね!」「アホ!」-法政大活動家の訴訟で飛び交う怒号 中核派系支援者に順法精神なし 廊下でも罵声浴びせ…

法廷から更新

 「死ね、あほ、ぼけ」。判決が言い渡されると傍聴席から怒号が飛び、法廷内は騒然となった。無期停学処分を受けた法政大学の男子学生が処分の無効などを大学側に求めた訴訟の判決が6月に東京地裁であった。中核派系活動家らと行動を共にし、学内での講演会の妨害活動や教職員に対する侮辱的な発言を繰り返していた男子学生。大学の処分は懲戒権の乱用だとして裁判で“闘い”を続けてきたが、敗訴判決を受けて支援者らの怒りは収まらなかった。

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「公安警察帰れ」

 「原告の請求をいずれも棄却する」

 東京地裁4階にある419号法廷。6月29日午前11時半に開廷し、矢尾渉裁判長から判決が言い渡され、1分もたたないうちに閉廷した。

 民事訴訟の判決言い渡しは通常、主文のみ。しかし、支援者らにとっては予想外の出来事だったのか、一瞬静寂に包まれた後、傍聴席に座っていた支援者の中年男性が3人の裁判官に向かい突如、怒号を浴びせた。

 「説明ないんかい、ぼけたれ」「あほんだら、くそぼけ。説明しろ」「ばかにしとるんやろ」

 表情を変えずに席を後にする裁判官ら。ほかにも複数の支援者が、裁判所職員から法廷の外に出ていくように催促されたが、怒りを抑えようとはしなかった。

 法廷の外の廊下には警戒のため30人ほどの裁判所職員が待機。これほどの厳戒態勢は暴力団関係者の裁判などを除いては、東京地裁でもあまり見かけない。

 支援者らは廊下でも裁判所職員に対して「インチキ裁判官、呪い殺してやる。子供、孫の代まで恨んでやる」「判決文がなぜないのか」「中核派は(裁判所職員)お前らを労働者として認めないぞ」などと叫び続けた。

 さらに彼らの怒りをヒートアップさせたのが、裁判所職員の後方の離れた所から監視していた捜査員の姿を見つけたときだった。「公安帰れ」と複数の支援者らが怒鳴り声を上げ続けた。取材していた記者にも身分を明かすよう詰めより、裁判所職員に制止される場面もあった。普段は静かな裁判所の廊下。この日は騒然とした状態が10分ほど続いた。

授業中に拡声器で演説

 そもそもどういう裁判だったのか、判決を基に振り返ってみる。

 男子学生は平成22年4月に法政大学国際文化学部に入学。新歓期間中に中核派系全学連委員長を務める男性らと知り合った。「ロシア革命史などを理解したい」との思いから、男性が所属していたサークル「社会科学研究会」の勉強会に参加するようになった。

 大学側は当時、このサークルが所属する上部団体「文化連盟」について「組織的に大学の業務妨害を繰り返す学外者を中心にした集団である」と認識していた。このサークルの所属者についても「教職員や他の学生に対して、授業妨害を始めとする迷惑行為などを繰り返してきた」としている。大学側は19年から、この団体の公認を取り消した。

 男子学生はその後、教職員らから学生証の提示を求められたり、ビデオカメラで撮影されたりして、「社会科学研究会の関係者との接触で、監視の対象とする大学の対応は不当だ」と考えるようになった。男子学生はさらに、全学連の関係者らとビラの配布や演説などにのめり込んでいった。

 24年10月には、学内で開かれた放射線の専門家による講演会で、出席を認められず約30分にわたり教室の出入り口付近から大声で侮辱的な言葉を投げかけ続けた。退去させられた後も教職員に「主体性ゼロのクズ人間が」などと暴言を繰り返した。

 他にも別の学生の写真を無断でインターネット上に掲載したり、キャンパス正門前で全学連の関係者らと授業中にも関わらず拡声器を用いた演説などを繰り返した。

「原告の行為は正当化されず」

 事態を重く見た大学側は24年10月、講演会での男子学生の言動やこれまでの迷惑行為、規則違反などから「大学の名誉を著しく毀損(きそん)した者」、「大学の秩序を乱し、学生としての本分に著しく反した者」に当たると判断。臨時教授会で採決の結果、無期停学処分が決まった。

 原告側は「講演会では出席を拒絶され学ぶ権利を侵害されたため教職員に抗議したもの。正当であり、講演会も中断していないので行為の責任は重大ではない」と主張。さらに、「大学のさまざまな措置が不当であると考え書面を差入れたが、一切回答がないので(正門での演説の)抗議をするほか手段がなく、非は大学側にある」などとも訴えた。

 しかし、判決では講演会の行動について、「原告の言動によって『妨害された』『集中できなかった』などとの授業アンケートの回答があり、授業の妨害に当たるというべきだ」と判断。また、「他の学生の学ぶ権利を犠牲にし学内の秩序を乱してまで、授業中に演説などの活動する以外に大学の不当を訴える方法がなかったというような事態は認められず、原告の行為は正当化されない」とした。

 その上で、矢尾裁判長は「処分は社会通念上著しく妥当性を欠くものでないから、裁量権の逸脱又は乱用にあたるということはできない」と結論づけた。

 処分理由の一つとなった講演会の最中、男子学生は「教授と国家権力に守られてやる授業楽しいか。さぞ楽しいよな。批判的な学生がいねえもんな」などと発言し妨害した。しかし、この講演会を聴講していた学生が終了後のアンケートで示した言葉はどう届くだろうか。

 「プロの活動家の妨害もあり大変残念であった。学問の自由との兼ね合いもあり難しいだろうが、厳しい対策がとれないものかと感じた」。男子学生への批判者は確かにいた。