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【日本の議論】真っ直ぐ立てない子供たち「まるでゴリラ」…足指に“異変”も 

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真っ直ぐ立てない子供たち「まるでゴリラ」…足指に“異変”も 

日本の議論更新

 東京都内の小学校の養護教諭の調査で、足の指先が地に着かない「浮き指」がある子供が8割を超え、体の重心を後部にかける子供たちが急増していることが分かった。バランスを取るために、膝を曲げ、猫背で歩く子供たちは、まるでゴリラのようにも見える。危機感を強めた学校現場では、足型の測定や姿勢体操を取り入れるなどして子供の姿勢改善に取り組んでいる。(村島有紀)

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全校朝会でふらふら

 「姿勢体操、始めまーす!」

 3月末の東京都品川区の区立戸越小学校。午前8時25分から始まった全校朝会は、姿勢体操から始まる。

 つま先で立ったり、つま先を持ち上げたり、両手を頭上に上げて立ったり…。片足立ちでバランスを取る体操では、数秒間でもがまんできず、バランスを崩したり、ケンケンを始めたり…。

 その後、校長先生の話が始まると、気分が悪くなったのか、途中退場する児童も。15分間の短い朝礼の間に、保健室に運び込まれた児童は3人もいた。真っすぐ立つことが難しいのか、重心をかける足を左右に頻繁に変えたり、上半身をふらふらさせたりする児童もいた。

 真っすぐ立っていられない原因の一因は、足指の形も関係しているとみられる。保健室を担当する小澤京子主任養護教諭が平成23年、児童全員分の足型を測定したところ、足の指が床につかない「浮き指」がある児童が81・7%に上った。同2年に測定した大田区の小学校児童の割合16・3%と比べ、約5倍以上。浮き指の子供が急激に増えていることがわかった。

 浮き指になる原因は、赤ちゃんのときに、つかまり立ちや、つたい歩きをしない▽幼児期や学童期に歩く距離が短い▽足の指を使う雑巾がけなどの運動をしなくなった-などが原因として考えられるという。

 「浮き指」があると、足の前方に力が入らないため、かかとに重心がかかり、バランスを取るために、体は膝を曲げ、腰が落ち、肩が前に出る猫背になりがちだ。

 「膝を曲げて、手をぶらぶらさせて歩くのは、ゴリラの姿勢。体つきはスリムで手足は長いのに、姿勢はよくない。進化というより退化している印象」と小澤教諭。23年の同小学校の調査では、足の裏のアーチが形成されない扁平(へんぺい)足の疑いがある児童も4人に1人(24・4%)に上った。

姿勢を正しく

 背中を丸め座る猫背の子供たちも増えている。

 教室を見学すると、背筋を伸ばして座っている児童がいる一方、椅子に浅く座り、背もたれにだらりと体重を預けたり、背中を丸めてノートを書いたり…とバラバラ。座り姿勢が乱れている子供の足は、つま先立ちをしていたり、上靴を脱いだり、足を組んだり…で、床にきちんと足を置いている子供は少ない。

 同小学校では、23年から、児童の健康増進の取り組みのひとつとして「姿勢指導」を始めた。小澤教諭が考案した姿勢体操を毎日行い、姿勢のチェックをするのだ。

 姿勢が悪いと、肩こりや腰痛なども引き起こし、長時間落ち着いて立ったり座ったりすることが難しくなる。

 昨年から同校で姿勢の指導をしている、虎ノ門カイロプラクティック院の碓田(うすだ)拓磨院長は猫背が増えた一因として「携帯型ゲーム機の普及や子供同士で走り回って遊ぶ環境が減ったために、昔の子供に比べて、猫背になりやすい要因が増えた」と指摘する。小学生でも、肩が凝ったり、首の筋を違えたりすることがある。いかに正しい姿勢を身に付けさせるかが課題だ。

 碓田院長が奨めるのが、骨盤を立てた正しい座り方。「大人でも、立っているときの姿勢はよくても座り姿勢が悪い人が多い。深く腰掛け、椅子の背もたれを利用して、骨盤を立てて座ることが大切。正しい座り姿勢が取れれば、立ち姿勢もおのずとよくなる」とアドバイスする。

 また、小澤教諭は、「グー・ペタ・ピン」と呼ばれる姿勢指導を開始。机とおなかの間ににぎりこぶし一つを入れて(グー)、足を地に着け(ペタ)、骨盤を立てた(ピン)姿勢を保つ呼びかけを、児童に行っている。

 小澤教諭は「家庭とも協力し、骨盤を立てて座る正しい座り方を指導したい。また、足を鍛えるには、走っていて急に止まる、鬼ごっこのような遊びがいい。子供たちに外で遊ぶよう促し、“良い足型”を持つ子供を増やしたい」と話している。