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【スポーツ異聞】リストラが始まった凋落サムスン…スポーツ支援も打ち切りで「韓国はラグビー代表を編成できない」

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リストラが始まった凋落サムスン…スポーツ支援も打ち切りで「韓国はラグビー代表を編成できない」

スポーツ異聞更新

 韓国最大の財閥、サムスン・グループが傘下のスポーツチームに対する厳しいリストラに取り組み、韓国スポーツ界に衝撃が走っている。韓国紙・朝鮮日報(電子版)が1月7日で報じた。すでにラグビー部の廃部が決定。このほかにテコンドー、卓球、レスリング、バドミントン、陸上なども廃部の可能性があるとみられ、韓国が今後、国際大会で活躍できるか危機感を募らせる。グループの総売上高が韓国の国内総生産(GDP)の20%近くを占めるといわれるだけに、少額のチーム維持費と対比して「やり過ぎ」などの批判が相次いでいるというが、企業にどっぷりと依存した韓国スポーツ界の現状が垣間見えた格好だ。

 朝鮮日報によると、韓国ラグビー協会が1月6日に開いたラクビー部存続を求めた記者会見は悲壮な雰囲気が漂ったという。そして、高校生選手が五輪に出場する夢を持ち続けられるようサムスンのサポートを要請すると、会場から大きな拍手が起きたと伝える。

 「韓国経済を1社で支えている」と評される財閥企業の筆頭であるサムスン。しかし、ロイター通信が昨年10月30日に報じた2014年の第3四半期決算の経常利益は、前年同期比60.1%減の4兆1000億ウォン(約4305億円)で3年ぶりの低水準と決して良好とはいえない。特にグループの中核企業であるサムスン電子が安価な中国製スマートホンの台頭や、アップルの新製品などに押されて世界の各市場でシェアを落とし、14年7~9月期の営業利益が前年同期比で59.6%減になったのが不振の要因に挙げられている。

 これに伴い、サムスン・グループは昨年11月26日、石油化学のサムスン総合化学とサムスントタル、防衛産業のサムスンテックウィンとサムスンタレスの計4社を韓国中堅財閥のハンファグループに売却。厳しいリストラに着手している。

 サムスン工業傘下のラグビー部の廃部はその一環。「造船業界で深刻な不況が続く中、廃部は少しでも経費を節減するためのの決定」と朝鮮日報は報じる。ただラグビー部の場合、年間予算が20億ウォン(約2億2000万円)と比較的少なく、「年間数兆ウォンの売上高のある大企業としては非常にけち」だとの批判が出ているという。一方で、昨年8月には国際オリンピック委員会(IOC)と4年間で推定1億ドル(約119億円)といわれるスポンサー協定を2020年まで延長している。

 1995年1月に創部されたラグビー部は韓国のラクビー振興に重要な役割を演じたという。その結果、97年には7人制のワールドカップでアジア初のベスト8に進出。アジア大会では98年、2002年に7人制と15人制で優勝し、結果を残してきたほどだ。それが「サムスンの支援が途切れれば、韓国のラグビー界はたちまち立ち消えしかねないのが現状」にあり、さらに「廃部により韓国代表はチームを編成できるか不透明な状況に追い込まれそうだ」と朝鮮日報は指摘する。

 韓国テニス界をリードしてきたサムスン証券テニス部も、同証券が昨年470人を解雇するなどリストラを進めるため、存続は難しいとみられている。

 朝鮮日報は「サムスンが突然『経費削減』を理由にマイナースポーツへの支援からあっさりと手を引いたことで、韓国のスポーツ界は少なからず動揺している」と現状を伝えつつ、「スポーツを通じた社会貢献も、今後は『人気種目』や『ビジネスにとってプラスになる種目』に限って行うとする決定が今回下されたわけだ」と結論づけて批判する。

 だが、それは一部の財閥だけが儲かる格差社会の構図が批判されている韓国で、スポーツ依存で未練たらたらの報道は主張に背反しないか。

 この点に関して、スポーツ振興が1企業にあまりにも依存し過ぎている韓国スポーツ界の現状がうかがえる。日本でも以前、長引く不況で企業スポーツのチーム解散が相次いだ時期があった。企業依存の反省からクラブチームなど設立形態に工夫を凝らした新たなチームが誕生し、活躍する土壌が醸成されてきた。韓国スポーツ界が日本のように変遷を遂げられるかは不透明だが、変容しない限り、生き残りの道はなさそうだ。