産経ニュース for mobile

【スポーツ異聞】「ヨネックス」と契約で「売国奴」批判された中国バドミントン“レジェンド”…日本メーカーにスポンサードされると「裏切り者」と罵る中国世論

記事詳細

「ヨネックス」と契約で「売国奴」批判された中国バドミントン“レジェンド”…日本メーカーにスポンサードされると「裏切り者」と罵る中国世論

スポーツ異聞更新

 ギクシャクする日中関係が、スポーツ界にも暗い影を落としている。バドミントン男子で北京、ロンドンの両五輪で金メダルを獲得し、バドミントン界でレジェンド的な存在となっている林丹(31)が日本の大手メーカーと契約したことで中国内で批判が渦巻いているという。本人は2020年東京五輪まで現役を口にするが、今回の契約で中国代表を辞める気ではないかともささやかれる始末。しまいには売国奴を意味する「漢奸」呼ばわりされ、これまで積み上げてきたアスリートとしての「栄光」を踏みにじられる屈辱にまみえている。

 中国の三大スポーツサイト・網易によると、林丹は昨年10月にヨネックスと契約すると発表。契約期間は10年で、契約金は1億元(約19億円)という大型契約だった。中国代表チームは09年、ヨネックスから中国の大手メーカー、李寧(リー・ニン)へ契約を変更。にもかかわらず、林丹が歴史など複雑な問題で関係がこじれる日本メーカーと契約したことで、中国の偏狭的な民族主義者から「恩知らず」「愛国心がない」「小日本の代弁者」「もうあなたを支持しない」などと批判を浴びている。

 過去に中国のトップ選手として、NBAで活躍した姚明が1億6000万ドル(約192億円)を提示したトヨタとの契約を固辞。またアテネ五輪110メートルハードル金メダルの劉翔はCMに出る三原則で最も重要視する要件として、日本に関係したコマーシャルは金額にかかわらわず一切断る-というのがあると聞く。

 現在の日中関係は、尖閣諸島を巡る対立を契機に首脳会議をはじめとした外交が機能しない緊張状態に陥っている。歴史問題を反日プロパガンダに最大限利用して攻勢をかけ、関係改善に苦心する状況だ。

 中国で日本華字紙・日本新華僑報が、復旦大歴史学部のフォン・ウェイ教授による「ヨネックスとスポンサー契約の林丹は漢奸ではない」と題した記事を掲載。スポーツと政治は別物とし、冷静な判断を呼び掛けた。

 中国報道を伝えるポータルサイト、レコードチャイナは、現在の中国で何かと他人を漢奸呼ばわりする人を(1)本気で愛国心に燃えて日本を憎んでいる人(2)売国奴扱いされないよう自分を守るために他人を批判する人(3)他人を漢奸呼ばわりすることで社会への不満を発散しようとする人-と分析。そして、「必要なのは冷静な観点だ。林がヨネックスの契約を勝ち取ったのは彼の努力の賜物だと素直に認めることが必要なのだ」と正論で批評している。

 冷静な観点ができれば、現在のこじれた日中関係はないはずだ。それだけデリケートな問題に昇華している「空気」が漂う。網易は昨年12月15日に「林丹の記者会見が延期」と報じた。それによると、林丹は今回の契約について記者会見を開いて詳細を説明することを約束したとする。

 そのうえで同12日に、15日に会見を開くとメディアに連絡があったが、14日に中止が発表されたとする。このドタバタぶりに「契約問題はかなりこじれていると見るべきだろう」と推測していた。

 会見は1月7日になってやっと開かれた。中国紙・中国新聞によると、北京工業大学で行われた会見で、林丹は16年リオデジャネイロ五輪に向けて全力で備えることを明らかにした。さらにヨネックスとの提携が「イメージキャラクターではなく、バドミントン普及のための協力だ」と語った。