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【高木桂一の『ここだけ』の話】「赤旗」についにAKB48が登場 内山奈月さん「憲法は奥深いものだなぁ…」 狙いは無党派層取り込みか…

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【高木桂一の『ここだけ』の話】「赤旗」についにAKB48が登場 内山奈月さん「憲法は奥深いものだなぁ…」 狙いは無党派層取り込みか…

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AKB48の内山奈月さんんが登場した「しんぶん赤旗」日曜版9月28日号 日本共産党の機関紙『しんぶん赤旗』日曜版に人気アイドルグループAKB48の内山奈月(なつき)さん(19)が登場し、「共産党がついに国民的アイドルグループの一員を広告塔にすることに成功した」(自民党関係者)などと永田町でひそかに話題となっている。共産党関係者によると、同党からの強いアプローチに内山さんサイドが応じたというが、無党派層、わけても若年層への支持拡大に向けて共産党が展開するソフトイメージ戦略を象徴している。

 政党、それも衣の下に鎧(よろい)をまとう革命政党と、人気アイドルグループのメンバー。いかにも距離がありそうな両者が「接点」をもったのだから、その“意外性”のインパクトが小さいわけがない。

 内山さんが登場したのは赤旗日曜版9月28日号のインタビュー記事。過去には赤旗日曜版にインタビューなどで加山雄三さん、仲代達也さん、中村雅俊さん、野際陽子さん、佐藤浩市さん、釈由美子さん、藤原紀香さんら著名芸能人がしばしば登場してきたが、AKB48のメンバーは初めてである。

 関係者によれば、共産党から内山さんへのインタビューの申し込みを受け、AKB48グループの総合プロデューサー、秋元康氏が熟慮の末にゴーサーインを出したという。

 タブロイド版の赤旗日曜版が3面の丸々一ページを割いた内山さんのインタビューのテーマは、これまた意外なお堅い「憲法」である。記事では「憲法は国民の味方」「一言一句、吟味して書かれている 非常に奥の深いものなのだなぁ」という内山さんの言葉が見出しとなっている。

 内山さんといえば、高校3年生だった昨年6月、AKB48研究生の武道館コンサートの際に、ステージ上で憲法条文を暗唱してファン、聴衆の度肝を抜いた。今年7月には憲法学者の南野森・九州大学教授とともに憲法入門書といえる『憲法主義 条文には書かれていない本質』(PHP研究所)を上梓(じょうし)し、AKB48では「憲法キャラ」とされている。

 今年6月の第6回AKB48選抜総選挙で12749票を獲得して63位にランクインし、「なっきー」の愛称で親しまれている。今は慶應義塾大学経済学部1年生で、本人も赤旗のインタビューに「『知的キャラ』として名前があがるようになったらいいなぁ」と語っている。

 ともあれ、憲法9条改正は絶対阻止する叫ぶ共産党のことである。憲法問題をめぐって主張、スタンスがまったく異なるタレントに触手を伸ばすわけがない。

 インタビューの趣旨は、内山さんが憲法本を書き下ろした「思い」を聞くという触れ込みだが、同党が国民的アイドルグループのメンバーに白羽の矢を立てた狙いは透けて見えてくる。

 赤旗のインタビューの中で内山さんは、安倍晋三内閣が閣議決定した憲法9条の解釈変更による集団的自衛権行使容認に関して「国民一人ひとりがこの変更について、どのようなものかをきちんと考えて意見をもつことが大切ではないかと思いました」と話し、こう指摘している。

 「内閣がしていることを国民が知らないということが、一番問題なのではないかと思います」

 インタビューをした赤旗の板倉三枝記者が、内山さんの「憲法のセンセイ」である南野教授が憲法解釈変更と集団的自衛権行使容認について「あまりに重大な問題」としている発言を持ち出し、“誘導質問”した影響もあるのだろうか。

 どうも内山さんには、安倍政権が国民に十分に説明をすることなく、集団的自衛権行使のために「解釈改憲」に走ったと映っているらしい。安倍政権の取り組みを「国民が知らない」と決めつけるのは了見が違うだろう。

 しかし内山さんのインタビュー記事が、安倍政権の外交・安全保障政策を「暴走」と激しく攻撃し続ける共産党にとって、格好の“宣伝材料”になっていることは間違いない。

 “内山さん効果”について、共産党広報部は「党内外から『AKBが赤旗に出るなんて、すごいことだ』などと歓迎する声が多数寄せられている。反響は極めて大きい」とホクホク顔だ。

 ちなみに同じ赤旗日曜版9月28日号最終面の「ひと」の欄には、『聖母たちのララバイ』などのヒット曲をもつ、歌手の岩崎宏美さんが登場している。岩崎さんも赤旗のインタビューに応じたようだ。

 一方、同党が11月1~3日に東京都江東区の夢の島公園で開く「第40回赤旗まつり」の野外コンサートに、『舟唄』『雨の慕情』などのヒット曲で知られる大物演歌歌手、八代亜紀さんが出演することが決まっている。赤旗読者と党員を増やせ-と党勢拡大に躍起の共産党には、八代さんを“客寄せパンダ”にして無党派層を取り込む戦略があるようだ。

 また、共産党は昨年6月、政界を引退した自民党の古賀誠元幹事長、今年5月にも同じく政界から身を引いた加藤紘一元幹事長を、それぞれインタビューの形で赤旗日曜版にデカデカと登場させ、憲法改正や集団的自衛権容認問題をめぐって安倍首相を厳しく批判する声を載せた。共産党にはずばり「保守派でさえ反対することを推し進める首相」というイメージを拡散させる戦略があることは、同党関係者も認めている。

 それにしても「国民的アイドル」に「演歌の女王」「元自民党重鎮」…と、共産党がこのところ、無党派層を取り込むために切り出すカードは幅広い。

 むろん天皇制も自衛隊も頑として認めようとしない革命政党だ。どうあがいても本質が変わらない限り、国民の間で支持が大きく広がることはない。共産党は共産党なのである。

(政治部編集委員 高木桂一)

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