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【サッカー通信】弱くても勝てます? 2季連続で浮き彫りになる前後期制の“致命的欠陥”

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【サッカー通信】弱くても勝てます? 2季連続で浮き彫りになる前後期制の“致命的欠陥”

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柏に敗れ、うなだれる豊田(左から2人目)ら鳥栖イレブン。監督交代後、成績は低迷。来季、前・後期制に変更されると…=9月23日 サッカーのJ1に来季から導入される前後期制(2ステージ制)とポストシーズンの“致命的欠陥”が2季連続で浮き彫りになっている。昨季の大宮に続き、今季は鳥栖が前半戦で快走しながら中盤以降に失速。来季以降は極端に安定感を欠いたとしても、一時的な勢いに乗ってステージ優勝を果たせば、年間王者の目は残る。ルールは全クラブに等しく適用されるとはいえ、年間王者の権威が失墜しかねない事態だ。

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 来季からJ1に導入されるポストシーズン。年間王者決定戦のチャンピオンシップ(CS)とスーパーステージ(SS)があり、年間勝ち点1位はCS出場権を獲得する。SSはもう1つのCS出場権を懸けたトーナメントで、原則として各ステージの優勝クラブが年間勝ち点2位、3位とそれぞれ対戦。勝者同士の対戦を制したクラブがCSに出場する。

 CS、SSの出場クラブが重複した場合は下位の繰り上げはせず、SSに出場するのは最少2、最多4クラブと変動する。また、最終的な年間順位はCSの勝者を1位、敗者を2位、以下は年間の勝ち点で決め、上位3クラブがアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を得る。年間勝ち点が少ない3クラブがJ2に降格し、降格クラブはSS出場資格も失うことになっている。

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 今季の鳥栖を例に考えてみよう。来季の前期終了となる17節終了時で、鳥栖は勝ち点34の2位だった。首位浦和との勝ち点差はわずかに2。一時は首位にも立っており、来季以降であれば前期優勝は十分に射程圏内だった。しかし、18節から9月27日の26節までの9試合は3勝1分け5敗と勝ち点を伸ばせず、首位浦和との勝ち点差は9に広がり、順位を5位に落とした。

 昨季の大宮に至っては、今季の鳥栖以上の落ち込みをみせた。17節終了時の勝ち点36は首位広島と並び、得失点差による2位だった。直前の16節終了時には首位に立っていたが、18節以降は8連敗と6連敗を喫するなど3勝14敗と低迷。最終的には14位でシーズンを終えている。

 もちろん、今季の鳥栖には巻き返すチャンスが残されてはいる。それでも年間を通じて強さを発揮できないクラブが年間王者になれるかもしれない制度が、万人を納得させられるとはとても思えない。

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 そもそも新制度案を中心になって練ってきたJリーグの中西大介常務理事は「1シーズンが1番いい」と認めている。導入を決めた時点で最高責任者だった大東和美・前チェアマンも「1シーズンがベストだが、今、手を打たないと将来に大きな影響が出る」と述べ、苦渋の決断だったことを隠そうともしなかった。

 関心度でJリーグは日本代表に大きく後れを取っている。代表の主力が数多くプレーする欧州トップリーグへの注目は高まるばかりで、簡単にテレビ観戦できる時代でもある。新制度導入で優勝争いの回数を増やし、消化試合も減らすことで閉塞感の打破を目指したJリーグの狙いは分からないでもない。

 それだけにJリーグにはツキもないようだ。新制度導入を直前に控えて2季連続で起こった前期のサプライズクラブによる後期の失速。新制度の中で誰もが抵抗感を覚える致命的欠陥の1つだけに、来季に向けて繰り返し突っ込まれることは確実といえそうだ。

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