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【サッカー通信】英雄ランパードが古巣チェルシーに感動的な恩返し弾

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【サッカー通信】英雄ランパードが古巣チェルシーに感動的な恩返し弾

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試合後にチェルシーのドログバ(左)とたたえ合うマンチェスターCのランパード=マンチェスター(ゲッティ=共同) 開幕して間もないサッカーのイングランド1部プレミアリーグで、早くも今季のハイライトシーンが生まれた。イングランド代表でマンチェスター・シティーのMFランパード(36)が21日、昨季まで13年間在籍した古巣チェルシーとのリーグ戦で恩返しのゴールをゲット。マンC、チェルシー両クラブのサポーターから惜しみない拍手を送られた英雄の姿は、世界中のサッカーファンの心を打つ名場面となった。

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 優勝争いを占う強豪同士の大一番で、今季のリーグ戦初出場となるベテランが主役を奪った。後半30分過ぎにピッチに立っただけでスタジアムは異様な雰囲気に包まれる。しかし、それだけで終わらせないところが千両役者。0-1で敗色濃厚だった後半40分、左サイドからミルナーが送ったパスを右足で合わせて値千金の同点弾をもぎ取った。

 シーズン序盤とはいえ相手は開幕4連勝でホームに乗り込んできた首位チェルシー。敗れれば勝ち点差を8に広げられるゲームを落とすわけにはいかなかった。しかも、後半20分過ぎに2枚目のイエローカードを受けたサバレタが退場し、数的不利の中で奪った起死回生のゴールだった。

 ただ、マンCにとっては歓喜の瞬間も、昨季まで苦楽をともにしたチェルシーの元チームメートやサポーターにとっては落胆の瞬間である。祝福に駆け寄る新たなチームメートに囲まれても本人に笑顔はなく、現地メディアの取材には「言葉が見つからない」。アウェーに詰めかけたチェルシーサポーターが浮かべた悲喜入り交じる複雑な表情も印象的だった。

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 チェルシーの象徴であり続けた。2001年にウェストハムから移籍し、得点能力の高いMFとして昨季までプレー。クラブ史上最多得点記録保持者で、3度のリーグ優勝や11~12年シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(CL)制覇に貢献した。ワールドカップ(W杯)にも06年ドイツ大会から3大会連続で出場している。

 昨季はリーグ戦での2桁得点が10年連続で途切れるなど年齢的な衰えも指摘され、今季開幕前に米プロリーグ・メジャーリーグサッカー(MLS)のニューヨークシティへ移籍。MLSの新シーズン開幕前までの期限付き移籍でマンCでプレーすることになった。

 チェルシーを率いるモウリーニョ監督はランパードを主力に据えて04~05年、05~06年にリーグ連覇を達成。その後にイタリア1部のインテル・ミラノとスペイン1部のレアル・マドリードで指揮を執り、昨季からチェルシーに復帰した名将がランパードのゴールに対して残したコメントにも味があった。

 「私がフランク(ランパード)について話せるのは過去に彼が私にとってどのような選手で、私のキャリアにどのような意味を持ったかということだ。いくらでも話せるが、現在はシティーの選手で、私は他チームの選手については話さない」。痛恨の同点弾だったに違いないが、新天地で輝いた愛弟子に対する祝福の思いもにじみ出た。

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 同点のまま試合終了の笛が鳴り響くと、ランパードはチェルシーカラーの青に染まったスタンドの一角へ歩み寄った。チェルシーサポーターはマンCカラーである水色のユニホームを身にまとうランパードに戸惑いつつ、手をたたいて感謝の思いを伝える功労者に盛大な拍手で応えた。それはチェルシーを愛し、チェルシーに愛されたスーパースターにふさわしい美しい一コマだった。

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