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答弁安定、菅首相吹っ切れた メモ差し入れ減 野党は及び腰

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衆院予算委員会で答弁する菅義偉首相=8日午後、国会・衆院第1委員室(春名中撮影)
衆院予算委員会で答弁する菅義偉首相=8日午後、国会・衆院第1委員室(春名中撮影)

 与党内で一時不安視された菅義偉(すが・よしひで)首相の国会答弁に安定感が生まれつつある。8日の衆院予算委員会では、野党が新型コロナウイルス対策などを重ねて質問したが、首相が大きく崩れることはなかった。政府の感染抑止策がようやく一定の効果をあげつつあることを踏まえ、首相が「吹っ切れた」(自民党幹部)との見方も出ている。

 「何としても感染拡大を阻止し、雇用を守り、事業を継続させることを最優先に取り組む」

 首相は予算委で「菅総理、菅総理」と何度も連呼しながら質問を重ねた立民の山井和則氏に、落ち着いた口調でこう切り返した。

 今国会は新型コロナの感染者数が急増する中での召集となり、首相は野党に緊急事態宣言を再発令したタイミングの遅れを指摘され、序盤から苦戦を強いられてきた。1月下旬には頻繁にせき込むなど体調不良も重なり、与党からも「覇気がない」などと今後の政権運営を不安視する声が上がっていた。

 首相が気力を回復した最大の要因は、先月に宣言を再発令後、東京都の新規感染者数が11日連続で千人を下回るなど、状況が好転しつつあることが大きい。

 国内でのワクチン接種も、今月中旬から医療従事者を対象に始まる。新型コロナ対策に明るい兆しが見え始めたことを受け、自民党幹部は「首相は吹っ切れた。国会では自分の言葉で語るようになった」と安堵(あんど)の表情をみせる。

 これまで、首相の国会答弁は、感情をあらわに国民に感染防止策の徹底を呼びかけたドイツのメルケル首相ら海外の首脳と比較され、「メモの棒読み」などと批判されてきた。

 ただ、8日の予算委では、緊急事態宣言を出す時期について「悩みに悩み、苦しみに苦しむ中で判断をした。『後手後手』という批判も十分承知している」と感情に訴えるように説明した。首相周辺によると「メモに頼りがち」との印象を払拭(ふっしょく)するため、秘書官のメモの差し入れも極力減らしているという。

 もっとも、首相が落ち着いて答弁しているのは、主要野党がコロナ禍で激しい追及に及び腰になっていることも大きい。この日は、立民の川内博史氏が質問に立ったが「新型コロナは本当に難しい問題だ。さまざまな決断をされていることに敬意を表したい」と首相を気遣う場面もあった。

 ただ、首相を取り巻く情勢が劇的に改善したわけではない。首相の長男が関与したとされる総務省幹部の接待疑惑などの火種は残っており、首相の正念場は今後も続きそうだ。(永原慎吾)

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