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金髪に特攻服「スーパークレイジー君」 異色の市議誕生 埼玉・戸田

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街頭で支持を訴える西本誠氏。「スーパークレイジー君」の通称氏名で立候補を届け出た=1月30日午後、埼玉県戸田市のJR戸田公園駅前(内田優作撮影)
街頭で支持を訴える西本誠氏。「スーパークレイジー君」の通称氏名で立候補を届け出た=1月30日午後、埼玉県戸田市のJR戸田公園駅前(内田優作撮影)
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 1日未明に開票結果が確定した埼玉県戸田市議選(1月31日投開票)で、異色の新議員が誕生した。金髪に特攻服姿で訴えを重ねるという独自の選挙戦を展開した歌手の西本誠氏(34)だ。市選挙管理委員会へ届け出た通称氏名は芸名の「スーパークレイジー君」。何から何まで型破りな新議員は、選挙戦で何を呼び掛け、どう議会活動に臨もうとしているのか。

 「勝つと信じてはいたが、最後までひやひやした。子供たちの応援がなければ当選できなかった」

 西本氏は1日、市役所で当選証書を受け取った後、こう感慨を口にした。

 「子供たちの応援」の意味するところは後述するとして、市議選は、定数26に対し36人(現職23人、新人13人)が出馬する激戦だった。西本氏は、得票数25番目(912票)という薄氷を踏む勝利ではあったが、強固な支持基盤を持つ公明党の公認候補ですら落選した戦いにあって、「徒手空拳」で当選を手にしたことは快勝と評価していい。

 西本氏が大きく注目されたのは、昨年7月5日に投開票された東京都知事選への立候補だった。366万1371票を獲得して再選を果たした現職の小池百合子氏に対し、西本氏の得票は1万1887票。それでも、持ち歌に合わせて特攻服姿でダンスを披露する特異なパフォーマンスは話題を呼んだ。

 西本氏は宮崎県出身で、20代で上京し、クラブ従業員や介護職員を経験した。10代のころは少年院に入っていた時期もあるという。

 西本氏は、都知事選出馬の動機について「売名のつもりだった。軽いノリだった」と明かす。だが、会員制交流サイト(SNS)で西本氏のことを知った若者が街頭演説の会場に集まるようになり、選挙戦で訴えを繰り広げることのおもしろさにのめり込んだ。

 「弁護士や医師の候補の話なんて、みんな聞き飽きている。僕みたいな人間のほうが若い人から支持される」

 都知事選の後も選挙への思いはくすぶり続けた。そんな中、親族や親友が住んでいた戸田市で市議選が行われることを知り、昨年秋から地固めを始めた。

 金髪、特攻服姿で街頭演説に臨むスタイルは都知事選の際と同じだったが、主張を真剣に聞いてもらいたいという思いから、ダンスパフォーマンスは選挙戦最終日を除いて封印した。地道に有権者に声をかけ、「教育格差是正」「市内のバリアフリー化促進」「新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた中小企業への支援拡充」などの公約を訴え続けた。

 特に力を注いだのは小中高生への呼びかけだった。通学路に立って積極的にビラを渡すと、「スーパークレイジー君に会った」といった子供たちの投稿がSNSにあふれ、「子供が喜んでいたので投票した」という有権者もいたという。

 選挙戦で痛感したのは、有権者の「投票のやり方がわからない」「どんな議員がいるか知らない」という政治への無関心だった。

 「自分のような人間が議員になれば政治への興味を持たせることができる。全国で一番注目される市議会にしたい。みんなに注目されれば、市議会にも緊張感が出る」

 議会では、仕立てに約20万円かけたという特攻服の着用は見送るが、「スーパークレイジー君」の名前で政治活動を行うつもりだ。

 「自分には固定観念がないから、いろいろな人の話を素直に聞ける。教育分野を中心に働きたい」と意気込みを語った。

(内田優作)

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