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ドキュメント新内閣…瞳潤む菅首相 岸田派議員は「カビ臭内閣」と揶揄

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第99代首相に選出され議場に一礼する自民党の菅義偉総裁=16日午後、国会・衆院本会議場(春名中撮影)
第99代首相に選出され議場に一礼する自民党の菅義偉総裁=16日午後、国会・衆院本会議場(春名中撮影)

 歴代最長政権が幕を閉じ、前首相の安倍晋三から第99代首相の菅義偉(すが・よしひで)(自民党総裁)へと7年9カ月ぶりに首相官邸の主が交代した。日本政治の節目となった16日の動きを追った。

■「国民に感謝」 午前9時前 安倍前首相

 東京・赤坂の衆院議員宿舎で暮らす菅は、普段通りの朝を過ごした。午前6時46分、秘書官を伴って周辺を40分近く散歩した。続いて、永田町の首相官邸の裏手にあるザ・キャピトルホテル東急のレストランで小一時間、朝食を兼ねて秘書官と打ち合わせを行った。

 8時44分に出邸し、玄関ロビーで待ち構えた報道陣に向かって頭を下げながら「おはようございます」と2度発した。

 その11分後、この時はまだ首相の安倍も官邸に入り、感極まった表情で記者団の取材に応じた。

 「経済再生、国益を守るための外交に一日一日、全力を尽くしてきた。全ては国民の皆さんのおかげです。感謝申し上げたい。一議員として菅政権を支えていきたい」

 ■穏やかな笑顔で去る 午後0時42分 安倍前首相

 9時3分に始まった最後の閣議で、安倍内閣は総辞職した。安倍は政権を支えた閣僚たちに謝意を述べ、予定時間をややオーバーして終了。福島県選出で法相だった森雅子は「感動的だった。福島(復興)のことにも言及してくれた」と語った。

 午後0時42分、安倍は官邸を後にした。玄関ホールでは菅ら官邸幹部や職員の総出の見送りを受け、女性職員に花束を贈られた。万雷の拍手で賛辞を贈られると、大きな重圧を抱えた7年9カ月に公の場ではあまり見せなかった穏やかな笑顔で、手を上げて応えた。

 ■目を潤ませ… 午後1時45分 衆院本会議で菅首相を指名

 菅を首相に指名する衆院本会議は午後1時開会。菅は秘書官、警護官(SP)、記者団ら大勢を引き連れ、本会議場に向かった。その数歩後ろには、かつての「首相候補の本命」で今は立憲民主党所属の小沢一郎が静かに歩いていた。

 「菅義偉君を内閣総理大臣に指名することに決まりました」。1時45分、衆院議長の大島理森が宣言すると、菅は硬い表情のまま立ち上がって5度、深々と頭を下げた。瞳は潤んでいた。

 本会議を終え、議場から出るマスク姿の安倍の表情は普段と変わりなく見えたが、ぞろぞろと続く記者団の姿はなくなっていた。

 ■「解散、明日でも結構」 自民・二階氏

 菅はその後もあわただしく、国会議事堂内の各会派の部屋へのあいさつ回り、新閣僚の呼び込み、皇居での親任式などに臨んだ。

 総裁選で敗れ、党政調会長の要職から外れた岸田文雄は「自民党の一国会議員としてしっかりと内閣を支えていきたい」と述べた。新内閣のネーミングを問われると「いいかげんなことを言うと評判を落とすので、丁寧に早急に考える」と慎重に答えたが、岸田が率いる岸田派(宏池会)議員はこう皮肉った。

 「(内閣の面々が)再任も多く、代わり映えしない。『カビ臭(くさ)内閣』だな。衆院解散・総選挙をやるような陣容にはみえない」

 与野党議員は菅がいつ衆院解散を打つのかと臆測をめぐらせている。幹事長の二階俊博は首相指名後、NHKの中継インタビューでこう語った。

 「首相自身が熟慮して判断すればいいことであって、党はいつ解散があっても対応できるように準備を整えている。明日からでも結構ですよ」

 総裁選での菅勝利の立役者として新政権で影響力を増す二階の言葉は耳目を集める。(田中一世)=敬称略

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