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緊急事態「西村-尾身ライン」が連携 西村氏「あと1カ月接触制限では経済持たない」

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西村康稔経済再生担当相(左)、政府対策本部諮問委員会の尾身茂会長(右)(春名中撮影)
西村康稔経済再生担当相(左)、政府対策本部諮問委員会の尾身茂会長(右)(春名中撮影)

 新型コロナウイルス対策となる緊急事態宣言の発令や解除にあたり、政府が重視したのは感染拡大防止と経済活動の維持という相反する課題の両立だった。西村康稔経済再生担当相は4月末、政府対策本部諮問委員会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)に「極力8割」の接触削減が長期化することへの危惧を伝え、尾身氏は同委に経済の専門家を入れるよう提案した。政府が方針を決めるにあたり、この「西村-尾身ライン」が緊密に連携した経緯が分かってきた。

■毎日最低1時間話し合い

 政府は連日、首相官邸で幹部が集まり新型コロナをめぐる「連絡会議」を開いている。西村、尾身両氏は改正新型インフルエンザ等対策特別措置法が成立した3月中旬以降、連絡会議の前に大臣室で「毎日最低1時間、極力2時間」(政府関係者)話し合い、西村氏は結果を会議で報告した。

 4月7日、政府は東京都などに緊急事態宣言を発令した。政府には経済への悪影響を懸念し慎重論もあったが、医療崩壊を危惧した西村氏は早期に宣言を発令するよう安倍晋三首相に進言。尾身氏も東京などの医療の逼迫(ひっぱく)について「悪夢、映画に出てくるような緊迫感、恐怖感があった」と振り返る。

■「解除の方が難しい」

 政府筋は「宣言発令よりも解除が難しい。特に感染拡大防止に注力する専門家との調整に苦労した」と語る。政府は5月4日、期間を月末まで延長した。専門家には「1年間延長してもよい」などの強硬論もあったという。

 首相や西村氏は経済活動を長く止めれば国民生活が崩壊しかねないと危機感を持っていた。「経済を早く回すべきだ」と訴える政府高官もいた。

 調整役を担った西村氏は4月末、尾身氏に、8割の接触制限があと1カ月続いたら「経済がもちません」と伝えた。尾身氏は新規感染者が急速に減っている状況に理解を示し、期限を待たずに解除を検討する方針が固まった。諮問委に経済の専門家を加えたのも尾身氏の提案だ。

 5月31日を期限としていた宣言の全面解除を25日に前倒ししたのも、西村、尾身両氏の判断が大きい。

 近畿3府県を解除した21日、東京も「直近1週間の新規感染者が人口10万人当たり0・5人程度以下」という目安に近づき首相は21日の全面解除も模索した。

■「必ず減る」と首相に伝達

 ただ、西村氏は25日に直近1週間の新規感染者数が最少となる可能性を考えていた。西村氏は経済団体に7、8日を休業するよう要請し、事実上の大型連休明けが11日となるよう調整したからだ。最大潜伏期間とされる2週間後は25日だ。

 尾身氏は重症急性呼吸器症候群(SARS)や新型インフルエンザ対策に携わった経験から「国民がこれだけのことをやってくれているので必ず減る」と首相に伝えた。最終的に24日の連絡会議で首相は「全面解除でいこう」と明言した。

 「命と経済」の両立を目指した両氏の評価は今後に委ねられる。流行の第2波、第3波も予測されるだけに、引き続き手腕が問われるのは間違いない。(沢田大典)

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