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【政界徒然草】首相の人事ににじむ「改憲解散」の可能性

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自民党役員会で、二階俊博幹事長(左)と話す安倍晋三首相=9月11日、東京・永田町の党本部
自民党役員会で、二階俊博幹事長(左)と話す安倍晋三首相=9月11日、東京・永田町の党本部

 安倍晋三首相(自民党総裁)が悲願の憲法改正に本気でかじを切った。党総裁としての任期が残り2年余りに迫る中、11日の内閣改造と党役員人事では、挙党態勢で改憲に臨む決意を示した。その布陣からは、秋の臨時国会で議論が進まなければ衆院解散も辞さない覚悟もにじむ。

党四役前面に挙党態勢

 「必ず成し遂げる決意だ」

 首相は11日、一連の人事を終えた後の記者会見で、憲法改正についてこう断言した。同日の党役員会でも「長年の悲願である憲法改正を、党一丸となって進めていきたい」と強調した。

 「これは解散まで視野に入れているな」。役員会に出席した党幹部は、首相の重い決意を感じ取ったという。

 これまで自民党は、一部の憲法族議員や首相側近を中心に改憲議論を進めようとしてきた。しかし、野党第一党の立憲民主党などは安倍政権下での議論に応じない姿勢を貫くなど、目に見える成果は生まれていない。昨年の臨時国会では、党憲法改正推進本部長を務めていた首相側近の下村博文選対委員長の発言が反発を呼び、国会審議の日程に影響が出る場面もあった。

 新たな布陣では、党四役を改憲の前面に立てた。とりわけ鍵を握るのが、留任した二階俊博幹事長だ。これまで改憲議論とは距離を置いてきたが、11日の記者会見では「安倍総裁の意向に従い党を挙げて努力を重ねたい」と首相に呼応してみせた。

 二階氏の側近は「首相に憲法改正を頼まれたのだろう。二階氏も敏感に首相の温度を感じ取っている」と語る。

 7月の参院選では、参院の「改憲勢力」が国会発議に必要な3分の2を割った。野党を議論の場に引き出すには、今まで以上に高度な駆け引きが必要となる。同時に、改憲に慎重な公明党との調整も進めなければならない。首相が「党内随一の政治的技術を持つ」と評価する二階氏の協力は不可欠というわけだ。

新内閣の布陣は解散も念頭?

 党や国会の人事でも「路線変更」を明確にした。党憲法改正推進本部長は下村氏を交代させ、細田博之元幹事長を再起用する。首相の出身派閥である細田派(清和政策研究会)会長で、自衛隊明記などの党改憲案をまとめた業績もある。改憲論議では野党や公明党との協調を重視するだけに、首相は温和な性格の細田氏を起用することで、野党が警戒感を解くことを期待する。

 国会議論の舞台となる衆院憲法審査会長は、佐藤勉元国対委員長を起用する方向だ。野党との調整を担う国会対策のベテランだ。一向に動かない国会審議を、なんとか前進させたいという意向の表れだろう。

 首相としては、野党との協議も見据えて打てる手は打った。それでも野党が態度を硬化させたまま秋の臨時国会が無為に過ぎればどうなるか。首相に近い党幹部は「解散を引く可能性は十分ある」とみる。総裁任期である再来年9月までの国会発議と国民投票を実現するには、これ以上の空転は許容できないからだ。

 新たに発足した内閣に目を向ければ、菅義偉官房長官や茂木敏充外相、加藤勝信厚生労働相、河野太郎防衛相ら「ポスト安倍」と呼ばれる面々が名を連ねている。将来のホープとして国民的人気が高い小泉進次郎環境相も初入閣した。互いの切磋琢磨(せっさたくま)を狙ったものだろうが、いざとなれば、いつでも解散を打てる布陣という点にも注目せざるを得ない。

(政治部 石鍋圭)

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