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【政界徒然草】「派閥政治の何が悪い」 二階派、ポスト争奪戦で存在感誇示

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自民党臨時総務会を終え記念撮影に臨む新執行役員の(左2人目から)下村博文選対委員長、鈴木俊一総務会長、安倍晋三首相、二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長=11日、東京都千代田区(萩原悠久人撮影)
自民党臨時総務会を終え記念撮影に臨む新執行役員の(左2人目から)下村博文選対委員長、鈴木俊一総務会長、安倍晋三首相、二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長=11日、東京都千代田区(萩原悠久人撮影)
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 11日の内閣改造・自民党役員人事で、二階俊博幹事長率いる二階派(志帥会、46人)が存在感を示した。懸案だった二階氏の幹事長続投を勝ち取っただけでなく、入閣を待ち望んでいた衛藤晟一1億総活躍担当相と武田良太国家公安委員長を閣内に押し込んだからだ。派は勢いづいているが、そのぶん他派は警戒感を強めている。二階派の膨張は、今後の「ポスト安倍」レースの構図にも影響を与えそうだ。

 「(内閣改造は)政府にとって大きな仕事だ。その中で2人が選ばれたことは大変うれしく思う」

 二階派の河村建夫会長代行は11日昼、東京・平河町の二階派の事務所で、入閣が内定した衛藤、武田両氏を祝福しながら頬を緩ませた。事務所には派の所属議員が多数集まり、盛大な拍手に包まれた。

 官邸の呼び込みに向かう議員を派を挙げて見送ることは、内閣改造当日の恒例行事となっている。河村氏は「日頃から精進すればチャンスは必ずくる。われわれが一致団結することによってその力は何倍にもなる」と結束を呼びかけ、閣僚経験のない入閣待機組や若手にも奮起を促した。

悲願だった幹事長続投

 二階派にとって、今回のの人事は相当神経をすり減らすものとなった。焦点はもちろん二階幹事長の続投の有無だ。

 与党の幹事長は党の人事や資金、選挙の公認権を握り、絶大な影響力を誇る。二階氏は80歳と高齢で、かつ就任から3年が経過。細野豪志元環境相ら野党だった議員を自派に取り込んだり、他派の現職議員がいる選挙区に自派の候補をぶつける「拡大路線」も目立つようになり、他派からは交代を求める声もあがっていた。

 とりわけ、「二階交代論」が強かったのは、岸田文雄政調会長率いる岸田派(宏池会)だ。岸田氏は「ポスト安倍」に向けた求心力を高める狙いも込め、首相に幹事長への登用を直談判した。首相も一時期、当選同期で親しい岸田氏の幹事長就任を検討したとされる。

 二階派では、二階氏が党則を改正し、安倍首相の総裁連続3選への道を開いたことなどをあげ「二階氏が外れたら党内のパワーバランスが崩れる」(ベテラン)などと他派を牽制してきた。二階氏も、近い関係にある菅義偉官房長官と連携を強化。自身も「ポスト安倍」の一角にあげられる菅氏は、岸田氏の影響力拡大を警戒していることもあり、最終的に首相に二階氏の続投を直言したという。

 続投が決まった二階氏は11日の記者会見で、首相が目指す憲法改正について「われわれは総裁のご意向に沿って、党を挙げて憲法改正に向けて努力を重ねて参りたい」と強調。首相の総裁連続4選についても「もし総裁がそういう決意を固めたときは、国民の意向に沿う形で、党を挙げて支援していきたい」と言い切った。

 首相を徹頭徹尾支える姿勢を示し、他派に付け入る隙は与えない-。会見の様子をテレビで見た自民党関係者は「最近元気がなさそうな様子もあったが、今日は眼光がいつにも増して鋭かった」と語った。

悩みは「ポスト安倍」候補不在

 当然、党内からは二階派の影響力がさらに強まることに警戒する声があがる。

 ある閣僚経験者は「幹事長を3年もやるとカネが集まるようになる。二階さんはそれを自分の派閥のために使っている。ちょっとやりすぎだ」と眉をひそめる。

 二階派の「拡大路線」への反発も強い。

 7日に福島県郡山市で開かれた二階派の研修会では、次期衆院選で高知2区からの出馬を目指す尾崎正直高知県知事が講師として招かれた。研修会では、尾崎氏が大勢の出席者に名刺を配り続けており、関係者は「不出馬を決めた高知県知事選(11月24日投開票)の後に、尾崎氏が二階派に入る可能性が高い」と語る。

 衆院高知2区は自民現職の山本有二元農林水産相=衆院比例四国=の地盤だ。山本氏は警戒感を強めており、自身のブログで「知事が何党から出馬されるかは知らないが、私は、自民党議員として次期衆院選に誠実謙虚に取り組んでいく」と対決姿勢を鮮明にした。所属する石破派(水月会)も現職優先を訴える方針だ。

 二階氏はこれまでも野党出身議員を派に引き込み、所属議員の選挙区が重なる岸田派などと衝突してきたが、本人はどこ吹く風。7日の研修会では「派閥政治に文句を言う人がいるが、何も知らない人が言っていることだ。派閥政治の何が悪い」と一蹴した。

 一見順風満帆にみえるが、派の将来には不安要素もある。衆目が一致する総裁候補が見当たらないのだ。首相は今回の内閣改造で、「ポスト安倍」といわれる面々をちりばめ、派閥同士の競争を促したが、そこに二階派の議員はいない。首相の総裁任期はあと2年で切れる。派の影響力を保つためにどういう戦略を描くのか。まだ将来の青写真はみえない。

(政治部 広池慶一)

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