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【政界徒然草】石破氏の側近に二階派が刺客か 波紋ブログも懸念材料

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自民党の石破茂元幹事長(奥原慎平撮影)
自民党の石破茂元幹事長(奥原慎平撮影)

 自民党石破派(水月会、19人)の会長代行を務める山本有二元農林水産相の地元・衆院高知2区に、高知県の尾崎正直知事がくら替え出馬する意向を示した。尾崎氏は自民党の公認を目指し、党内で「拡大路線」を進める二階派(志帥会、46人)に近づいている。公認争いを仕掛けられそうな石破派は派の結束を呼びかけるが、防波堤となるべき会長の石破茂元幹事長の求心力の低下もあり、どこか緊張感に欠けた対応が続く。

公認争いに発展か

 「体を張ってでも山本氏は守らねばならない」

 石破氏は周囲にこう漏らし、5日の石破派幹部会では、党執行部に高知2区は現職の山本氏の優先を求める方針を確認した。

 尾崎氏は8月21日に国政転出を表明した。その後の行動は早かった。

 9月3日に党高知県連会長の中谷元・元防衛相を伴い、首相官邸に安倍晋三首相を訪問した。関係者によると、次期衆院選で高知2区で出馬を目指す意向を伝えたという。

 6日には自民党本部1階に陣取り、出入りする所属議員にあいさつを重ねた。さらに7日は、二階派が福島県郡山市のホテルで開いた夏季研修会に講師として出席した。尾崎氏は11月24投開票の県知事選に出馬せず、知事を退任後、二階派に入るもようだ。

 二階派は、旧民進党出身の細野豪志元環境相=衆院静岡5区=や鷲尾英一郎衆院議員=同新潟2区=を入会させ、派の拡大路線を鮮明にしている。いずれの選挙区も他派の若手議員が支部長を務めるが、二階氏は意に介さない。

 一方の山本氏は、金融担当相など要職を歴任した当選10回のベテランだ。平成29年の衆院選で旧民進党出身の無所属議員に敗れたが、周囲には「現職は自分だ。尾崎氏は(公認を得られる見込みもなく)フライング気味だろう」と語るなど、選挙区を譲る気はない。首相も、尾崎氏との面会は「事前に県政報告のために来るとしか聞いていなかった」と山本氏に伝え、安心させたという。

 山本氏が所属する石破派は、二階派から「公認争い」という戦いを挑まれそうになっているが、権力闘争や政略にうとい「政策型」の議員が多いためか、派内の危機感は薄い。

 石破派の中堅は「5年もたてば、二階さんの影響力も低下する。尾崎氏は力を借りて党に入っても、その後は悲惨だろう」と語る。別の中堅も「二階派のいつもの作戦だろう」とひとごとのような見方を示す。

守るべき領袖は存在感が薄まり…

 ここは領袖の政治力が問われる場面だが、石破氏の党内での影響力は低下の一途をたどっている。11日の内閣改造・党役員人事では、「ポスト安倍」候補と目される岸田文雄政調会長や菅義偉官房長官の続投が決まった。ライバルとなりそうな茂木敏充経済再生担当相や河野太郎外相も日の目があたるポストに収まりそうだ。

 他方、石破氏は昨年の総裁選で党員票で全体の45%を獲得し、地方人気の高さを示した。ただ、安倍政権と距離を置き、批判を重ねる手法に眉をひそめる党関係者は少なくない。石破派も新規加入がなく、党総裁選の出馬に必要な20人の推薦人を自前で調達できない状態が続いている。

 加えて、石破氏は8月23日、自身のブログで、韓国による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の背景には政府の戦争責任への向き合い方が不十分なためだと持論を展開し、インターネット上で批判が殺到する事態となった。

 石破氏は9月1日、記者団から戦後総括の具体的なあり方について問われると、「内容について言っているわけではない。日本人の手できちんと(戦後総括を)やることが必要だということを申し上げたつもりだ」と述べたが、具体論には踏み込まなかった。

 ブログは党内でも波紋を広げた。無派閥の中堅議員は「首相候補とされる石破氏が『日本は戦争責任に向き合ってこなかった』と唱えたら、文在寅(ムン・ジェイン)政権による反日キャンペーンの補強材料になりかねない」と懸念する。この中堅は、党幹部にブログの修正を要請できないかと相談したという。

 高知2区をめぐる公認権争いは、尾崎氏が知事を退任後に過熱するとみられる。石破氏は派の領袖としてきちんと子分を守ることができるかどうか。それは、「ポスト安倍」を目指すために必要な「求心力」を測るバロメーターともなる。

(政治部 奥原慎平)

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