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岸田氏、改憲布陣先頭に 自民、もろ刃の剣も

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 安倍晋三首相(自民党総裁)は11日の内閣改造・党役員人事で、悲願の憲法改正に向けて挙党態勢を組む方針だ。続投が固まっている二階俊博幹事長や岸田文雄政調会長ら党幹部に改憲を担わせる布陣を敷くとみられる。岸田氏としては、改憲で実績を作ることができれば「ポスト安倍」に近付くが、自身が率いる岸田派(宏池会)には9条改正に否定的な声もあり、もろ刃の剣になる可能性もある。

 「そういうことも踏まえてしっかりやります」

 首相は3日夜、幹事長などの党幹部を改憲に関与させるべきだと電話で訴えてきた自民党ベテラン議員にこう応じた。

 首相に近い中堅議員も「首相の頭の中心に憲法改正があるのは間違いない。人事でも反映されるだろう」と語る。

 背景には、遅々として進まない憲法論議への危機感がある。

 自民党は昨年、憲法9条への自衛隊明記を含む4項目の改憲案をまとめた。しかし、野党第一党の立憲民主党などの抵抗もあり国会に示すことすらできていない状況だ。先の通常国会では、衆院の憲法審査会で実質的な審議が行われたのは1度だけだった。

 首相の党総裁任期は残り2年余りだが、このペースでは任期中の改憲実現はおぼつかない。首相はこれまで、自身に近い党憲法改正推進本部長の下村博文元文部科学相や、衆院憲法審の与党筆頭幹事を務める新藤義孝元総務相らに党の改憲論議や野党との交渉を担わせてきた。しかし、党を挙げて改憲に取り組む姿勢を示すためにも党三役の参加を期待する声が党内には広がる。

 自民党関係者は「野党と高度な政治的駆け引きをするには党三役を前面に立てるしかない」と語る。

 そこで浮上しているのが岸田氏に改憲を担わせる案だ。政務調査会で改憲を扱ったり、岸田氏が憲法改正推進本部長と政調会長を兼務したりすることが取り沙汰されている。

 岸田氏は首相と当選同期で関係が良く、折に触れて首相の改憲への強い思いを感じてきた。政調会長として取りまとめを主導した参院選公約には、早期の憲法改正を目指すと明記。岸田氏自身、「国民の理解を得ながら必要な改正は行うべきだ」との立場だ。

 岸田氏が前面に出ることで、保守色の強い首相へのアレルギーを隠さない野党との調整だけでなく、国民的な議論が進むとの期待感もある。

 「ポスト安倍」に意欲を示し、首相からの“禅譲”を期待する岸田氏にとっても、「改憲で結果を出せばプラス」(岸田氏周辺)になるうえ、課題となっている発信力も強まる。

 ただ、懸念材料は岸田氏が率いる岸田派46人の結束を維持できるかどうかだ。岸田派には伝統的にリベラルというイメージがあり、実際、派内には9条への自衛隊明記に慎重論が根強い。

 特に名誉会長を務める古賀誠元幹事長は否定的だ。古賀氏は現在も派内に強い影響力を持っており、岸田氏周辺は「これからがいばらの道だ」と身構えている。(石鍋圭、田村龍彦)

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