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【野党ウオッチ】旧民主党勢力、10年目の再結集「失敗繰り返さない」は本当か

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衆参両院の会派を合流することで合意し、笑顔の国民民主党の玉木雄一郎代表(中央左)と立憲民主党の枝野幸男代表(同右)ら=8月20日、国会内
衆参両院の会派を合流することで合意し、笑顔の国民民主党の玉木雄一郎代表(中央左)と立憲民主党の枝野幸男代表(同右)ら=8月20日、国会内
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 立憲民主党や国民民主党などの旧民主党勢力が衆参両院で統一会派を組む方向で動き出した。平成21年9月に旧民主党政権が発足し、挫折と分裂、下野、党名変更、再分裂など度重なるゴタゴタを経て、ちょうど10年目の再結集になるが、合流協議は出だしから原発政策などで不穏な空気が漂う。内輪もめや政策不一致で瓦解(がかい)した旧民主党の繰り返しとなるのか。

 合流構想は、立民の枝野幸男、国民の玉木雄一郎の両代表が20日、「会派をともにする」ことで合意した。さらに野田佳彦前首相率いる衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」も合流の方向で、事実上、旧民主党勢力が総結集する。

 旧民主党政権は国民を失望させた。失敗の理由は数多くあるが、1つは憲法観や基本政策の違いを棚に上げた「寄り合い所帯」であったこと。もう1つには、年がら年中、党内対立でけんかばかりしていた「内輪もめ体質」が挙げられる。

 今回の合流に際し、両党幹部は「失敗は繰り返さない」と口をそろえる。

 「曖昧、玉虫色で、会派を組んでから何とかしようというのは、それこそ民主党の再来になってしまう。それは全くする気はない」(枝野氏)

 「大事なことは、単なる民主党の先祖返りにならないことだ」(玉木氏)

 ところが、早速合意内容の解釈をめぐるバトルが勃発した。立憲などが国会に提出済みの「原発ゼロ」法案などへの対応だ。

 枝野氏側は当初、同法案に国民が賛同し、協力することを譲れない条件として突きつけた。しかし、電力系労組の支援を受ける国民としては「原発ゼロ」は受け入れがたい内容だ。

 玉木氏は20日の党首会談で「(立民の)主張を理解し、相互に協力していく」と回答した。しかし、合意文書は「それぞれが異なる政党であることを踏まえ、それぞれの立場に配慮しあう」と記されただけだった。

 結局、国民は原発ゼロに賛成なのか、そうでないのか。

 「それぞれの立場に配慮する。それは片務的な話ではなく、互いの行動について両代表で確認した」

 玉木氏は21日の記者会見で、合意の「双務性」を強調。原発ゼロ法案への対応については「主張を『理解します』と申し上げた」と説明し、賛同や協力という言葉は使わなかった。

 国民の参院議員で、電力総連出身の小林正夫総務会長の物言いは、よりストレートだ。21日、記者団に「立民が原発ゼロを考え方として持っているということは理解した、という意味だ」と解説し、「(原発ゼロを)容認したわけではない」と明言した。

 これには、枝野氏も黙っていない。国民側の反応について23日、記者団に「協力いただけないなら党首間の合意違反だ」とあからさまに不快感を表明。「協力」の意味を問われると「協力は協力だ」とぶっきらぼうに繰り返した。

 もちろん、こうした党首間のやり合いは党内向けのポーズに過ぎず、玉虫色の合意内容は一種の政治的技術と見ることはできる。

 「原発ゼロ法案は国会提出済みで、審議入りの見通しもない。提出も審議もないなら国民側が賛否を明確にする必要はない」(国民関係者)という見方もある。

 「(世論は)野党間の争いなんか、もう夫婦げんか以上に食わないと思う。どうやって力合わせができるのかをずーっと見ている」

 玉木氏は30日、記者団にそう語った。互いの違いを尊重した「大人」の協力関係を築きたいということかもしれない。しかし、原発に限らず憲法改正に対するスタンスなど、立民と国民の間では基本政策に隔たりが少なくない。

 次の衆院解散・総選挙はいつあるか分からない。いくら内輪もめを避けたところで、選挙協力の土台作りのために基本政策を棚上げして結集だけを急いでいるのならば、やはり「選挙互助会」「数合わせ」のそしりを免れることはできないだろう。

(政治部 千葉倫之)

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