PR

N国党台頭で再注目、NHK受信料って何?

PR

 視聴していないのに、なぜNHKに受信料を支払わなければならないのか。「NHKから国民を守る党」(N国党)の国政進出を機に、こうした議論が熱を帯びている。受信料制度を「合憲」とした最高裁判例や放送法などを根拠に、国民に受信料の支払いを求めるNHK。これに対し、一部では「支払いは法で義務化されていない」との意見もある。そもそも放送法とは、受信料制度とは何か。双方の主張に耳を傾けた。

理解求め3日連続放送

 「きちんと受信料をお支払いいただいている方が不公平に感じないように…」

 8月9日夜、NHKは総合テレビで受信料制度への理解を求める番組を放送した。出演したのは視聴者業務を統括する松原洋一理事。3分間の放送の中で、受信料支払いは放送法に基づき「受信規約」で定められていると説明したほか、平成29年に最高裁が受信料制度を「合憲」と判断したことも紹介した。NHK広報局によると、同番組は一部地域を除き9日から3日連続で放送された。

 番組に先立つ7月30日には、受信料制度に関する文書をホームページ上で公表。放送法などを引き合いにし「『受信料を支払わなくてもいい』と公然ということは、法律違反を勧めることになります」と断じた。

 一連の対応について「特定政党を意識したものではない」とするNHK。しかし、タイミングなどを考えれば「NHKをぶっ壊す」とうたい、7月の参院選で議席を得たN国党への“反論”の意味合いがあるのは明らかだ。

最高裁判決背景に

 放送法はテレビやラジオの放送事業の健全な発達を図るための法律だ。放送による表現の自由などを掲げるほか、64条1項で《NHK放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、NHKと受信についての契約をしなければならない》と規定。簡単に言えば、テレビが家にある人は、NHKと受信契約を結ぶことが法的に義務付けられている。

 受信料制度をめぐり、最高裁は29年12月、「表現の自由を実現するという放送法の趣旨にかなうもので、合憲」との初判断を示した。最高裁判決を背景に、NHKの受信料収入は30年度、7千億円を初めて突破している。

「契約するも払わず」の根拠は

 一方、放送法の曖昧さを指摘する声も少なからず存在する。

 「放送法で(受信料の)支払いは定められていない。法で義務化されていないのに『法律違反』というのはおかしい」。こう疑問を呈するのは、市民団体「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表の醍醐(だいご)聡・東京大名誉教授。「受信料について示されているのはあくまでも受信規約に過ぎない」と述べ、NHKの解釈を「強引」と批判する。

 確かに放送法64条で定めるのは契約義務までで、受信料支払いはこれとは別に、NHKとの契約によって生じる債務とされる。NHKが受信料不払いの世帯や企業に対して訴訟を起こしているのも、契約に基づいて債務履行を求める性格のものだ。

 法で受信料の支払いが明文化されていない曖昧さが、「契約するも払わず」のよりどころになっているとも言える。

政府はスクランブルに否定的

 時の人となったN国党の立花孝志党首が、こうした法制度の穴を突き受信料不払いを改めて明言すると、大阪市の松井一郎市長も「NHKが国会議員の不払いを認めるなら大阪市も支払わない」と発言。大阪府の吉村洋文知事もこの方針に追随するなど、受信料をめぐる議論はいまだ落ち着きそうにない。

 一方で災害報道や選挙報道をはじめ、NHKにはクオリティーの高い確かなコンテンツが多いとの意見もある。

 政府は8月に閣議決定した答弁書で、N国党が公約に掲げる受信料を支払った人だけが視聴できる「スクランブル放送」について否定的な見解を明示。また、NHKと受信契約を結ぶ人は「受信料を支払う義務がある」ともし、受信料制度は国民に広く根付いているとの立場を崩していない。

 ただ醍醐氏は、現状のNHKのあり方に関し「強引な受信料徴収への怒りや不満が(国民に)ある」と主張。「視聴者の批判に真摯(しんし)に耳を傾けるべきだ」と求める。

 誰しもが納得し、受信料を支払いたいと思える公共放送の姿とは何か。メディアのあり方が問われる今、NHK自身の努力や姿勢が問われそうだ。

この記事を共有する

おすすめ情報