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【希少がんと共に生きる】進次郎氏への祝辞 がんについて語り合ったあの日のこと

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安倍晋三首相と菅義偉官房長官へ結婚報告を終え、記者団に答える小泉進次郎衆院議員(左)と滝川クリステルさん=8月7日、首相官邸(春名中撮影) 
安倍晋三首相と菅義偉官房長官へ結婚報告を終え、記者団に答える小泉進次郎衆院議員(左)と滝川クリステルさん=8月7日、首相官邸(春名中撮影) 
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 新聞各紙の8日付朝刊に、国立がん研究センターが発表したがんの生存率の記事が載った。

 前日の7日、この記事を書いていた同僚記者から資料を借りた。案の定、筆者が患っている小腸がんのデータはなかった。希少がん患者の生存率をはじき出したところで、患者数がそもそも少ないため、あまり意味がないのだ。参考までに大腸がんのステージ別5年生存率を見ると、筆者と同じステージ4は18・7%。

 実に低い。通院する同センター中央病院の担当医がステージ4の小腸がん患者の5年生存率について、10%程度と言っていたことを思い出し、少し暗い気分になった。

× × ×

 そんな中、永田町発の明るいニュースが7日、全国を駆けめぐった。自民党厚生労働部会長の小泉進次郎衆院議員とフリーアナウンサーの滝川クリステルさんの結婚だ。突然の発表に、多くの国会議員が度肝を抜かれた。

 その小泉氏とがんについて意見交換したことがある。

 小泉氏が厚労部会長に就任した昨年10月、厚労省担当の筆者は衆院議員会館の事務所に入ろうとした小泉氏に「実はがんでして…」と声をかけた。すると「話を聞かせてほしい」と事務所に招き入れられたのだ。

 「僕を通じて何を訴えたいか」と聞いてきたため、「患者は医者としっかりコミュニケーションをとって、民間療法に頼らず標準治療を受けてほしい、ということですかね」などと語ったのを覚えている。

 抗がん剤の副作用は決して楽なものではない。吐き気、手足のしびれ、しびれからくる痛み、喉に石がつまったようなあの違和感など挙げればきりがない。しかし、がん患者はその苦痛から逃げずに、標準治療を受けてほしい。エビデンス(科学的根拠)のない怪しい民間療法がはびこる中、そんなものにだまされて命を落とすことは絶対に避けてほしい。この思いは今でも変わることはない。

 当時、四六時中マスクをしていたが、マスクをしている人の中にはがん患者が少なからずいるということも説明した。抗がん剤の影響で免疫力が落ち、風邪など感染症になりやすいためだ。

 平成28年12月に国立病院機構水戸医療センター(茨城県茨城町)で小腸がんの手術をし、29年1月に抗がん剤治療を始めるため国立がん研究センター中央病院(東京・築地)に行った際、無防備だった筆者は「マスクは必ずしてくださいね」と看護師に言われた。今年1月から休薬したのを契機に、マスクもやめたが、約2年間、マスクを手放すことはなかった。

 ただ、いつもマスクをしていることに対し、周囲から奇異な目で見られているのではないかという思いがあったのは事実だ。「奇異な目で見ないでくださいね」といわんばかりに、マスクの話をしたわけだ。

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 筆者の話に熱心に耳を傾けるその表情は今でも忘れられない。その後も永田町ですれ違う度に「体調はどうですか」と気遣ってくれる。そのことに、いつも感謝している。

 小泉氏は数年前に亡くなったおばのがん告知に立ち会ったことがある。幼くして実の母と離れた彼にとって、おばは母親代わりだったという。それだけにショックだったに違いない。がんに関するあるシンポジウムで「動揺した。動揺するときに、一緒に動揺してくれる人がいると、動揺しないようになる。それが仲間」と語っていた。小泉氏にとってがんは人ごとではないのだ。

 がんや取材を通じて知った小泉氏に対する印象は、人を思いやる優しさを持った、実に真面目な政治家ということだ。真面目というより「生真面目」と表現したほうがよいかもしれない。つまり好感度は高いのだが、隙を見せず、どこか堅いのだ。ただ、そのことは自身でも分かっているのだなと、首相官邸のエントランスで7日に行った滝川さんとの「ぶら下がり」での発言を聞いて思った。

 「政治の世界って戦場なんですよ。いつ命を落とすか分からないですね。常にどこかこわばって、緊張感を持って、警戒心を解かず、鎧(よろい)を着たまま寝るというか…。でも彼女といると、この場所は鎧を脱いでいいんだな、武器を置いていいんだな、無防備でいいんだ。そういう風に思えた。理屈を超えた」

 ごちそうさまです。末永くお幸せになられることをお祈り申し上げます。

(政治部 坂井広志)

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