PR

参院選 今回も乱立の著名人候補者、当選はわずか…「“集票マシン”にしないで」 専門家からは苦言も

PR

雨の中、立憲民主党から初出馬した参院選の第一声を上げた元モーニング娘。の市井紗耶香氏(中央)。右端は斉藤里恵候補=4日、東京・新宿
雨の中、立憲民主党から初出馬した参院選の第一声を上げた元モーニング娘。の市井紗耶香氏(中央)。右端は斉藤里恵候補=4日、東京・新宿

 令和初の国政選挙だった参院選には、元アイドルやスポーツ選手など多くの著名人やタレントが立候補した。参院選の比例代表では候補者名を書いた票も政党の得票となる「非拘束名簿式」が採用され、各党は知名度を生かした票の掘り起こしを期待したが、擁立された候補者は政治の「素人」がほとんどで、実際に当選したのはわずかだった。専門家からは「単なる選挙時の“集票マシン”にすべきではない」と苦言を呈する声も上がる。

 「政治の世界に子育ての当事者が少なすぎる」。立憲民主党から比例代表に立候補したタレントの市井紗耶香氏(35)は、選挙戦でこんな訴えを続けた。一世を風靡(ふうび)したアイドルグループ「モーニング娘。」の元メンバーで、現在は4人の子供の母親。街頭で握手を求められることも多かったが、比例代表で獲得したのは5万票弱。当選はならなかった。

 立民は今回、市井氏のほか、漫才師のおしどりマコ氏(44)、人気アカペラグループ「RAG FAIR」元メンバーの奥村政佳氏(41)、元格闘家の須藤元気氏(41)ら多くの著名人を比例代表で擁立。福山哲郎幹事長は「当事者の声を国会に上げることができる多様性を持った候補者」と説明。党幹部は「党内でも賛否が割れるが、選挙に勝つためだ」としていたが、実際に当選したのは須藤氏のみだった。

 自民党も元F1レーサーの山本左近氏(37)=比例代表=やタレントのらくさぶろう氏(54)=愛媛選挙区=を、国民民主党もスリランカ出身のタレントのにしゃんた氏(49)=大阪選挙区=や俳優の乃木涼介氏(54)=神奈川選挙区=らを擁立。いずれも落選した。

 今や選挙の「風物詩」になっている有名人候補。名城大学外国語学部の鈴村裕輔准教授(政治史)は「投票率を上げる効果も期待でき、著名人の立候補は必ずしも悪いことではない」としたうえで、「選挙が終わったら放っておくというのでは、ただの“集票マシン”。各人の問題意識や特性に合った役職を与え、政界の作法を学ばせるなど、当選後もしっかりと面倒を見る必要がある」と注文をつける。

 明治大学の鈴木賢志教授(政治経済学)も、「世襲や官僚出身だけでなく、異なる土壌を持つ人材が出ることで政治に多様性が出る」と一定の評価をする一方、「政治に対する基礎教育が不足し国民が各政党の基本理念を理解できていない状況でタレント候補が出馬しているため、その候補が本当に党の理念に合っているのかが分からず、悪目立ちしてしまう」と指摘。

 「有権者の中には知名度だけで投票する人も出てきてしまう。18歳選挙権も導入されており、教育の場でもっと政党や政治家と関わる機会を増やすべきだ」と話した。

この記事を共有する

おすすめ情報