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難局続く改憲 国民退潮で道筋描けず

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 21日投開票の参院選は憲法改正の国会発議要件を満たす3分の2の議席を「改憲勢力」が維持するのは困難な情勢だ。とはいえ、この3年間に改憲議論が進まなかったように、3分の2を確保したからといって憲法改正に近づくわけでもない。自民党にとっては憲法改正で協力を期待していた国民民主党が退潮し、改憲議論を阻んできた立憲民主党が野党第一党の地位を固めたことが痛手となる。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は21日夜のフジテレビ番組で、参院選勝利による改憲議論の加速化に期待した上で「私の使命として、残された(令和3年9月までの党総裁の)任期の中で憲法改正に挑んでいきたい」と意欲を示した。

 17日間の選挙戦で首相は憲法改正の議論の是非に対する各党の姿勢を問うことを訴えた。参院選で「世論の支持」を得たとして、1年以上足踏みしている衆参両院の憲法審査会の議論を前進させる狙いがある。

 先の通常国会では、衆院憲法審査会での国民投票法改正案採決に立憲民主党が抵抗したことで、憲法本体について各党で議論する自由討議に進めなかった。自民党では秋の臨時国会でも立憲民主党が抵抗した場合、改正案採決を飛ばして自由討議を行うことの検討も始めた。

 ただ、その先にある憲法改正の国会発議にたどり着く道筋は描けていない。

 公明党はかねて、与党と日本維新の会だけの国会発議を否定している。自民党が憲法改正を実現するには「3分の2」の成否にかかわらず、日本維新の会以外にも野党の賛同が欠かせない。

 首相は21日夜のTBS番組で「国民民主党の中には改憲議論はしていくという考えを持っている方はいる」と指摘し、「そういう方に積極的に呼びかけていくべきだろう」と秋波を送った。だが、参院選で国民民主党は改選の8議席から減る見通しで、党分裂さえささやかれる。

 対照的に立憲民主党は改選の9議席から大幅に増え、国民民主党と拮抗していた参院でも野党第一党の地位を固めた。立憲民主党の枝野幸男代表は21日夜のNHK番組で、参院選後の憲法審査会で憲法の自由討議ではなく、国民投票時のCM規制の議論を求めていく考えを示した。

 憲法審査会を含めて国会では、与野党それぞれの第一党が協議して審議日程などを決める。自民党憲法改正推進本部の幹部は「野党内で『立民1強、枝野氏1強』が強まるだろう。憲法改正にマイナスだ」と懸念する。今後、立憲民主党次第では自民党が憲法改正を実現するためには会派の再編も含めて従来の議論の進め方を見直す必要がある。

 改憲議論には応じる姿勢の公明党も、改憲自体には消極姿勢を取る。山口那津男代表は選挙戦を通じて憲法改正には触れず、首相との乖離が際立った。21日夜のテレビ東京番組でも「いま全然国会で議論が深まっていないので、落ち着いた冷静な議論が必要だ」と述べ、改憲議論の加速化を目指す自民党を牽制した。(田中一世)

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