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【G20議長・安倍首相会見詳報】(下) 首相「多くの首脳から緊張緩和への努力に強い支持があった」

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 大阪市で開かれていた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の議長を務めた安倍晋三首相は29日午後、記者会見し、自身のイラン訪問について「多くの首脳から緊張緩和への努力に強い支持があった」と述べた。記者会見の詳報は次の通り。

 

 --世界経済のリスクを緩和するための処方箋を示すことができたか。G20の枠組みをどう改善すべきか。また、世界貿易機関(WTO)改革はどのようなスケジュール感で進めていくか

 首相「世界を取り巻く主要な課題について、意見の対立ばかりが強調されているといってもいい。意見の違いが強調されることによって政治的な意味を持ってくる。ある主張をしていると、その主張が通らなければ、政治的に負けたのではないか。実質とはだんだんかけ離れて、例えば、いろんな言葉を取った、取らないという結果になってしまう。その結果、共通の解決策が得られにくい状況になっているとの指摘もある。

 しかし、貿易や地球環境、防災といった課題については一部の国だけで対応することは困難だ。世界経済の約8割を占めるG20の国々が一堂に会して、共に課題解決に取り組んでいくことは大変意義が大きい。そのため、今回のG20サミットでは、日本は議長として、G20の持つ力を最大限に発揮するために多国間の対立を際立たせるのではなく、共通点、一致点に光を当てていく。粘り強く共通点を見いだすアプローチをしていく。そして、世界をより良い世界にしていくため結果を出していくことに力を入れました。

 多くの国々は、このアプローチに賛同していただいたと思っています。同時に、この2日間を通じ、議長国としての責任の重さを改めて痛感したところです」

 首相「貿易については、戦後の自由貿易体制が揺らいでいるのではないかとの懸念がある中で、これからの世界経済を導く原則をしっかりと打ち立てることです。今回のサミットでは、自由、公正、無差別、開かれたマーケット、公平な競争条件といった自由貿易体制を支える基本的原則について一致することができた。そもそも私たちが求めていたのは、この原則のはずです。今回のサミットでは、本来、私たちは何を求めていたのかとの原点に立ち返って、今まで意見の違いばかりがあおられてきた結果、原則の確認ができなくなってしまわないように、今回はしっかりと原則に立ち戻り、かつ大切な原則を確認することができたと思います。

 また、AI(人工知能)やビッグデータが急速に進歩する時代になって、信頼性の下に自由なデータ流通を確保するための新たなルール作りを、米国、中国、EU(欧州連合)をはじめ、多くの国々の首脳らとともに『大阪トラック』としてスタートすることができました。

 現在のWTOは、グローバルなデジタル化に十分対応できていない。今回の成果は、WTO改革に新風を吹き込むものとなりました。来月にも大阪トラックの最初の会合を開催します。来年には実質的な進展を得られるようスピード感を持って進めていきます」

 首相「今回のG20では、海洋プラスチックごみ対策も大きなテーマとなりました。新興国、途上国を含む世界の主要国が『大阪ブルー・オーシャン・ビジョン』を共有したことは、世界全体で海洋プラスチックごみ対策を進めるに当たって大きな意義があります。また、その実現に向けた具体的な実施枠組みにも合意できました。わが国は海洋プラスチックゴミ問題の解決に向けて、引き続きリーダーシップを発揮し、積極的に貢献をしてまいります」

 --日本はプラスチックゴミを大量排出している。首相は日本の国内事情にまずどう対処するつもりか

 首相「大阪ブルー・オーシャン・ビジョンですが、海は世界共通の財産です。海洋プラスチックゴミによる汚染から、私たちの美しい海を守るためには、世界全体での取り組み、日本も含む世界全体での取り組みが必要であります。新興国、途上国を含む世界の主要国からなるG20が、『大阪ブルー・オーシャン・ビジョン』を共有したことは世界全体で海洋プラスチックゴミ対策を進める上で大きな意義があると考えます。

 加えて、今回のG20では、その実践に向けた具体的な実施枠組みにも合意できました。各国が継続的に情報を共有、更新しながら対策を実施することを通じ、G20としての、さらに世界全体での実効的な対策を着実に進めていきます」

 首相「日本としては先般、海洋プラスチックゴミゼロを実現するためのアクションプランを決定しました。重要なことは、いかにプラスチックゴミの海洋流出を防ぐかであり、規制が唯一の方法ではありません。日本から大量の海洋プラスチックゴミが海に出ているというのは誤解であります。もちろんプラスチック製品は日本はたくさん作っていますが、日本から大量のプラスチックゴミが出ているのではなく、日本から出ているものは限られていると思います。

 適正な廃棄物管理、海洋ゴミの回収、海で分解されるバイオプラスチックのイノベーションなど、あらゆる手段を尽くしていく。また、これまでの日本の経験と技術をフルに活用し、途上国の能力構築などの国際貢献にも取り組んでいきます。例えば、廃棄物管理の人材を世界で2025年までに、1万人育成します。

 今回のG20大阪サミットでは、プラスチック汚染から私たちの美しい海を守るため世界が一致して大きな一歩を踏み出すことができたと思っています。わが国はこの問題の解決に向けて引き続き今回の議長国としてふさわしい貢献をしてまいります。

 --米国とイランの緊張感の高まりについてどのような議論があり、G20として緊張緩和に向けて何ができると考えるか。また日本としての役割は。

 首相「今回のサミットにおいては、イラン情勢に関し、各国が強い関心を示していました。私も各国首脳との会談の中で、先日のイラン訪問の話を紹介し、各国からはホルムズ海峡付近における船舶への攻撃事案や米国の無人機撃墜事案など地域の緊張が高まっていることを懸念する声が相次ぎました。中東における緊張感が高まる中で、各国が緊張緩和に向けた取り組みを続けているわけですが、先般、私自身がイランを訪問し、大統領、そしてハメネイ最高指導者と会談を行ったところです。

 私の訪問については、フランスのマクロン大統領をはじめ、サウジアラビアの皇太子など多くの方々から緊張緩和への努力について強い支持がありました。今後も国際社会と連携をしながら緊張緩和に向けて努力をしていきたい。

 この地域の緊張緩和は世界の繁栄、平和に極めて重要であることは認識が一致しているわけでして、それぞれがそれぞれの役割を果たしていく。日本は伝統的にイランと友好関係があるわけですし、米国との同盟関係もあります。欧州との信頼関係もある中で、日本の役割を果たしていきたい。そう簡単なことではありませんが、日本は日本の役割を果たしていきたいと思っています。

 --来年の議長国はサウジアラビアが議長国だが、期待は。さまざまな課題があると思うが、サウジの首脳に今回の大阪の教訓をどう生かしてほしいか

 首相「日本は今回、議長国として、意見の違いよりも共通点を見いだすことができるように努力を重ねてきました。特に気候変動問題については意見の大きな違いがありました。より良い地球を次の世代に残していくという基本的な認識は、どこも、もちろん米国もEU(欧州連合)も、日本も、途上国も同じ認識を持っている。結果を出していくことが大切です。まずこの共通利益のもとに、対立ではなくて、G20でしっかりと共通のメッセージを発しなければ、本当に私たちは責任を果たしているとはいえないという危機感を共有することができました。

 さらなる局面において、トランプ米大統領をはじめ米国にも、あるいはフランスのマクロン大統領やドイツのメルケル首相をはじめEU側にも、また中国やブラジルや多くの国々も大変な協力をいただきました。首脳間でのやり取りも行いながら、最後は一致点を見いだすことができた。

 つまり、努力をしていけば私たちは団結することができる。より良い世界をつくっていくために私たちは団結することができる。このことを次の議長国であるサウジアラビアにも引き継いでいただきたい。大阪首脳宣言を採択する上で大変な困難もありましたが、多くの国の協力によって乗り越えることができた。

 G20の国々は経済においても大きな力を持っていますが、それは同時に大きな責任を担っているということであり、この責任をかみしめながら最後の瞬間まで努力を重ねることではないかと思います。ぜひサウジアラビアも強いリーダーシップを発揮していただきたい。大阪首脳宣言を土台として議論を発展させていただきたいと思います」

 首相「日本も11月末まで議長国として、その後も来年のリヤドサミットの成功に向けて全面的に協力していきます。サウジアラビアは『サウジビジョン2030』を打ち出し、これまでにない改革に精力的に取り組んでいると承知をしていますが、G20の議長国は世界が直面する課題に対処するためのメッセージを発出する上で大きな役割を果たします。リヤド・サミットの成功を心からお祈りしております」

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