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【G20議長・安倍首相会見詳報】(上) 首相「『大阪トラック』でWTO改革に新風吹き込む」

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記者会見に臨む安倍晋三首相=29日、大阪市(ロイター)
記者会見に臨む安倍晋三首相=29日、大阪市(ロイター)

 大阪市で開かれていた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の議長を務めた安倍晋三首相は29日午後、会場となった大規模展示場「インテックス大阪」で記者会見し、「さまざまな課題について一気に解決策を見いだすことは難しい。それでも多くの分野でG20諸国の強い意志を世界に発信することができた」と強調した。記者会見の詳報は次の通り。

 

 大阪の地に世界中からリーダーをお迎えし、わが国が初めて議長国を務めるG20サミットを開催できたことを大変うれしく思います。世界は結束できる。そう信じて、精いっぱい議長役を務めた。さまざまな課題について、一気に解決策を見いだすことは難しい。それでも、本年のサミットで、多くの分野でG20諸国の強い意思を世界に発信することができたと思っています。どの国にとってもWinWin、そして未来に向けて、持続可能な成長軌道をつくる。私の思いはその一点でした。

 今、世界経済には貿易をめぐる緊張から下振れリスクがあります。こうした状況に注意しながら、さらなる行動をとり、G20は力強い経済成長を牽(けんいん)していく決意で一致しました。

 グローバル化が進む中で、急速な変化への不安や不満が国と国の間に対立も生み出しています。戦後の自由貿易体制の揺らぎへの懸念に対し、私たちに必要なことは、これからの世界経済を導く原則をしっかりと打ち立てることです。自由、公正、無差別、開かれた市場、公平な競争条件、こうした自由貿易の基本的原則を今回のG20で明確に確認することができました。

 他方で、WTO(世界貿易機関)の改革は避けられない。グローバル化、デジタル化といった近年の動きにWTOは必ずしも対応できていない。ビッグデータ、AI(人工知能)、第4次産業革命が急速に進む時代にあって、付加価値の源泉であるデータについて新たなルールづくりが必要であり、今回のサミットの重要なテーマでした。

 今回、トランプ米大統領、中国の習近平国家主席、ユンカー欧州委員長をはじめ、多くの首脳たちとともにデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラストの考え方のもとに新しいルールづくりを目指す「大阪トラック」の開始を宣言しました。プライバシーやセキュリティーを保護しながら、国境を越えたデータの自由な流通を確保するための国際的ルールづくりをスピード感をもって進めていきます。これは、WTO改革の流れにも新風を吹き込むに違いありません。

 世界経済の8割を占めるG20は持続的な成長のために大きな責任を有しています。地球環境問題は一部の国々の取り組みだけでは対応することが困難な課題であり、世界が共に取り組んでいかなければなりません。一昨年のハンブルク、昨年のブエノスアイレスでのG20サミットにおける努力の上に、環境と成長の好循環、実現に向けて世界が共に行動していくことが重要であるという認識で、G20として一致できた意義は大きい。

 海洋プラスチックごみも一部の国だけでは解決できない課題です。そうした中で、G20が結束して、新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有できたことはこの問題の解決に向けた大きな一歩であると考えています。その実現に向けた具体的実施の枠組みでも合意した。わが国は、これまでの技術や経験をフル活用し、途上国の廃棄物管理や人材育成支援を行い、世界の取り組みに、日本らしい貢献をしてまいります。

 国際社会のさまざまな課題に首脳たちが直接話し合うことで、解決策を見いだすことができる。国と国の間の問題も、その解決に向けて歩みを進めていくことができる。このサミットの機会を生かして、私も20人を超えるリーダーと会談します。本日もこの後、ロシアのプーチン大統領と首脳会談を行う予定です。EUとの首脳会談では、東北の安全な農産物、水産物について規制緩和への大きな動きがありました。被災地の復興に協力してくださる、多くの国々に改めて感謝申し上げます。

 世界の大きな関心である米中貿易摩擦について、一昨日、習近平国家主席と、昨日はトランプ大統領とそれぞれ話をしました。私からは、世界第1位、第2の経済大国が建設的な議論を通じて、安定した経済関係を構築していくことが極めて重要であると申し上げました。こうした貿易摩擦や地域情勢について、このG20の機会を生かして、首脳同士が直接会って、胸襟を開いて、話すことで歩み寄っていける。日本としてできる限りの役割を果たしていく考えです。

 グローバル化は、経済の成長を後押しする一方、そこから生じる格差の拡大にもG20はしっかりと向き合い、成長の果実を社会の隅々にまで浸透させなければならない。教育の充実は持続可能な経済成長への最大の鍵です。全ての女の子は少なくとも12年間の質の高い教育にアクセスできる。そうした世界を目指していく決意をG20の首脳たちと確認しました。日本はこれからも途上国における女子教育の拡大に役割を果たしていく考えです。2020年までの3年間で少なくとも400万人に上る、途上国の女性たちに質の高い教育、人材教育の機会を提供していきます。

 世界では対立ばかりが強調されがちななかにあって、共通点や一致点を見いだしていく。日本ならではのアプローチで、この大阪サミットでは世界のさまざまな課題に対し、G20が一致団結して力強いメッセージを出す、そして、具体的な行動へと移していく大きなきっかけにすることができた。

 最後となりましたが、今回のサミット開催に当たり、多大なご協力をいただいた地元の皆さま、「人情の街」大阪らしい温かいおもてなしで迎えていただいたことを心から感謝します。

=(下)に続く

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