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陸自水陸機動団、尖閣周辺に展開 離島奪還部隊、年度内にも

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 防衛省が、3月に相浦(あいのうら)駐屯地(長崎県佐世保市)で新設した陸上自衛隊の離島奪還部隊「水陸機動団」を今年度中にも海上自衛隊艦艇で定期的に東シナ海へ展開させ、訓練させる方針を固めたことが5日、分かった。鹿児島・沖縄両県の離島に配備する有事での初動対処部隊と連携を強化しつつ、尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺にも展開。中国の挑発への即応性を高めることで目に見える抑止力と位置づける。

 水陸機動団は南西方面の離島が占拠された場合の上陸・奪回を主な任務とする陸自初の水陸両用作戦部隊。作戦は水陸両用車AAV7とボートによる海からの上陸と、垂直離着陸輸送機オスプレイとヘリコプターによる空からの上陸の2通りがある。新設後、駐屯地内の訓練場でヘリを使った訓練や射撃訓練を行っているが、今年度中にも定期的な洋上展開訓練を始める。1回の洋上展開は1、2カ月間を想定している。

 海自のおおすみ型輸送艦に中核となる水陸機動連隊などが乗り込む。輸送艦は戦闘車両を上陸させるホーバークラフト型のエアクッション艇LCAC(エルキャック)やAAV7といった装備も搭載して東シナ海に展開。輸送艦にはオスプレイも離着艦し、洋上訓練に合流する。

 南西方面の離島侵攻に対する防衛力を強化するため、陸自は今年度末までに鹿児島県の奄美大島と沖縄県の宮古島に駐屯地を新設し、有事の際に初動対処を担う警備隊を置く。沖縄県の石垣島にも警備隊の配備を計画している。

 水陸機動団は洋上展開の期間中、これらの駐屯地にも展開し、警備隊と合同訓練を行ったり、島の地形や特性を把握したりする。

 輸送艦は水陸機動団を乗せた状態で尖閣周辺も定期的に航行する。尖閣から離れた場所を航行していても中国が尖閣に挑発を仕掛けてくれば、水陸機動団の人員と装備を搭載する準備に時間をかけることなく尖閣に緊急展開するという即応態勢を敷くことにもつながり、挑発を牽制(けんせい)できる。

 尖閣周辺で日本領海への侵入を繰り返している中国海警局は非軍事組織だったが、7月に機構改革で軍の指揮下に入った。海警局の船の運用が海空軍との連携が強化されることで、軍事作戦との線引きも不明確になることが懸念される中、尖閣をめぐる自衛隊の抑止力と対処力の強化は急務の課題となっている。

佐賀空港へのオスプレイ配備、即応性のカギ

 水陸機動団は日本版海兵隊と呼ばれ、母体の西部方面普通科連隊時代から初歩的な水陸両用訓練を米海兵隊に学んできた。実践的な訓練と運用も有効なものは米海兵隊を参考にすることは妥当だが、即応性と機動性を担保する上で不可欠なのが佐賀空港(佐賀市)へのオスプレイ配備だ。

 水陸機動団が洋上に展開する運用は米海兵隊の水陸両用即応群(ARG=アーグ)に準ずる。在沖縄米海兵隊の陸上部隊は定期的に海軍揚陸艦に乗り、ARGとして東シナ海などに展開し、訓練を行ったり、実任務に備えたりしている。

 米海兵隊は海兵空陸任務部隊(MAGTF=マグタフ)という編成にも基づいており、MAGTFでは陸上・航空部隊が運用の中核となる。航空部隊は陸上部隊の輸送を担い、「両部隊は日常的に合同訓練を行う」(自衛隊幹部)ため、近い場所に拠点を置くことが欠かせない。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設で米海兵隊オスプレイの新たな拠点は、陸上部隊も拠点を置くキャンプ・シュワブの同県名護市辺野古沖しか選択肢がないのもそのためだ。

 一方、防衛省は水陸機動団を輸送する陸自オスプレイについて、水陸機動団の拠点の相浦駐屯地から約60キロの佐賀空港に配備する方針だが、地元の反対で難航。米海兵隊オスプレイの整備拠点のある木更津駐屯地(千葉県木更津市)への暫定配備を検討しているが、相浦と木更津は約1千キロも離れており、水陸機動団とオスプレイの日常的な合同訓練もままならない。

 水陸機動団は突発的な離島侵攻では海自艦艇に乗る時間的余裕がなく、オスプレイで緊急展開することが想定され、防衛省には対処力の観点からオスプレイの佐賀配備の重要性を説明することが求められる。(半沢尚久)

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