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【日中首脳会談】共同記者発表全文 安倍晋三首相「訪中楽しみ」李克強首相「両国の雨風は過ぎた」

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共同記者発表で発言する中国の李克強首相(左)を見る安倍首相=9日午後6時51分、東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影)
共同記者発表で発言する中国の李克強首相(左)を見る安倍首相=9日午後6時51分、東京・元赤坂の迎賓館(代表撮影)

 安倍晋三首相は9日、東京・元赤坂の迎賓館で中国の李克強首相と会談した。会談後に行われた共同記者発表での両氏の発言全文は次の通り。

 安倍首相「李首相の来日を日本国民を代表して心から歓迎いたします。李首相の最初の来日は20代の頃でありました。中国青年代表団の副団長として日本にいらっしゃいました。当時、外相を務めていた私の父が主催した食事会に、秘書官であった私も同席をいたしました。あの頃は私も青年でありました。30代、若々しい青年でありました。30年以上の時を経て、日中両国の首脳として、こうして並んで立つことは、当時は思いもよりませんでした。お互い年齢を重ね、外見は少々変わりましたが、気持ちは当時と変わらぬ若々しさで、日中関係改善への強い意欲とともに、今ここに立っております」

 「昨年秋、フィリピンのマニラにおいて、李首相と会談し、新たなスタートを切って以来、日中関係の改善に向けた勢いはどんどん増しています。そうした中、今回の李首相の公式訪問を機に、先ほどの首脳会談において、私たちは数多くの具体的な成果について合意いたしました。海や空での偶発的衝突を防ぐための連絡メカニズムを設置いたします。緊張を緩和し、相互の信頼を醸成することで、東シナ海を平和、協力、友好の海といたします。いままさに両国の防衛当局の代表者が覚書に署名しましたが、10年ごしの課題に結果を出すことができました」

 「社会保障協定は、日中両国間の経済交流を加速するものです。3.4兆円規模の投資枠を日本向けに設ける金融協力でも合意いたしました。日本のおいしいお米を中国の皆さんにもっと食べていただく。コメの輸出拡大に向けた措置も実現します。映画共同製作協定によって、大きなビジネスチャンスが生まれるとともに、両国民の文化面での相互理解が一層深まることが期待されます。首脳同士が直接、率直に具体的に語り合うことで、これだけの具体的な成果を上げることができる」

 「北京と東京は飛行機に乗ればわずか3時間あまりの距離です。李首相の公式訪問は8年ぶりとなりましたが、日中平和友好条約締結40周年の本年、首脳同士が容易に往来できる関係を構築したいと考えています。今回、私の訪中について李首相からお招きをいただきました。感謝申し上げるとともに、適切な時期に訪中できることを楽しみにしております。首脳レベルの頻繁な往来を通じて、この日中関係改善の流れを次なる段階へと押し上げていきたいと考えています」

 「競争から協調へ。日中関係を大きく発展させていくことによって、地域、さらには世界のさまざまな課題にともに、手を携えて大きな責任を果たしていくことができます。毎年1.7兆ドルとも言われるアジアの旺盛なインフラ需要、日本と中国が力をあわせてその需要に応えていくことができます」

 「今回、日中ハイレベル経済対話の下、省庁横断的な官民委員会を新たに設けるとともに、第三国において日中民間企業によるインフラ協力を具体的に進めていくため官民が一堂に集う新たなフォーラムを私と李首相のリーダーシップの下、設立することで合意しました。きたるべき私の訪中の際に、第1回のフォーラムを開催し、具体的な日中協力のプロジェクトをどんどん展開することでアジア各国の期待に応えていく考えであります」

 「今週、北朝鮮の金正恩(朝鮮労働党)委員長が再び訪中するなど北朝鮮情勢が大きく動く中、北朝鮮問題について時間をかけて話し合いました。北朝鮮には豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、経済発展をすることもできる。そのために累次の国連安全保障理事会決議をしっかりと履行し、日中が協調して行動していくことで李首相と一致しました」

 「拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的解決に向けて行動してまいります。北東アジアの平和と安定に今後とも日中両国がしっかりと責任を果たしていく、その決意であります」

 「昨年は延べ700万人を超える中国人観光客の方々が日本にお越しいただきました。李首相が長年尽力されてきた青少年交流も広がりを見せてきています。こうした両国民の交流を今回の李首相の訪日を機に、あらゆる分野で一層拡大していきたい。明日は李首相と共に北海道を訪れる予定でありますが、わが国が誇る美しい北国の春を地元の人々とのふれあいも含め、李首相にどうか満喫していただきたいと考えております。私からは以上であります」

 李首相「記者のご友人の皆さん、ご来場の皆さん、皆さまと会えてうれしく思います。まず最初に安倍首相や日本政府、そして日本側から私、中国側代表団の訪日のためになされた丹念なご準備と周到なアレンジに感謝を申し上げたいと思います。メディアの皆さまからの今回の訪問のためのご心労にも感謝をしたいと思います」

 「ここだけではなく、東京に向かう途中でも時々、皆さまの姿が見られました。そして首相もおっしゃいましたように30年以上も前に日本を訪れました。当時の安倍先生と多くの日本側の友人や青年の皆さまと会ってきまして、今やわれわれの顔が変わりましたが、その記憶は変わりなく頭の中に残っております」

 「その後も度々、日本を訪問してきましたが、最後に日本を訪問してから既に26年間もたちまして、また今回は中国の国務院総理として8年ぶりの訪日となっております。その時間は確かに長かったです」

 「一時期、中日関係は回り道を歩んできたことは否定できません。しかし、近来、中日関係には改善の兆しがあらわれ始め、そして持続的に安定し、前向きな体制を担っております。私が今回、日本を訪問することは、中日関係を再び正常の軌道に戻して、そして、中日関係の長期的、安定的な発展を維持し、また、大きな逆戻りが現れないないようにするためでございまして、中国側としては日本側とともに努力をしてまいりたいと思います」

 「先ほどまで安倍首相と会談し、2国間関係、および地域・国際問題も含む共に関心を有する問題について幅広く、率直に意見を交換して、また幅広い共通認識もできました。中日関係の改善と発展は、両国人民の利益になり、またアジアひいては世界の平和、安定と発展にも繋がると双方が認識を一致しております」

 「また、中国側としては、今年はまた中日平和友好条約締結40周年に当たりまして、この締約の精神をかみしめて、歴史を鑑とし、未来に向かうべきだというふうに認識しております。双方としては中日4つの政治文書の基本原則を順守し、また、歴史や台湾などの問題に関する双方の共通認識を順守して実際の行動をもって、互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないことを表し、両国関係の政治的基礎を守る上で両国関係の新たなる発展を求めていくことを確認しました」

 「それによって、両国人民や国際社会に中日関係に対する、より安定的に前向きな予期を与えることについても確認できました。両国指導者の相互訪問は両国関係にとりまして、非常に重要であります」

 「先ほど安倍首相からもお話がありましたように、私が繰り返して申し上げますと、中国側としては安倍首相が適切な時期に中国を公式訪問することを招請いたします。双方は政治的相互信頼を強くするだけではなく、実務協力を展開する必要もございます。われわれ双方の経済には高度な相互補完的な関係にありまして、われわれで、イノベーション分野において、対話、協力をすることができるというふうに確認をしました。それによって、技術の進歩や研究開発分野だけでなく、知的財産の保護につきましても議論ができます」

 「金融協力の安定と発展は双方の、双方向の投資の拡大や、サービス貿易の協力の増進にとって重要な役割を果たしております。中国側と日本側が討議をした上で、両国の通貨スワップ協定の調印に決定し、今や関連の機関には関連の案文の協議を加速させようと関連機関に指示をしているところであります。また、中国側からは、日本側に2千億人民元のRQFII(人民元適格国外機関投資家)の枠を付与することを表明し、それによって日本側の対中投資のさらなる利便化にもつながると思いました」

 「また、双方は、日本で人民元のクリアリングバンクの設立についても検討をしまして、中日の経済貿易協力は新たな段階に押し上げられようとしております。そして中国側としましては、日本側と第三国で協力を行う用意もあります。そのためにも、双方がしかるべきメカニズムを設立することで合意しました。その中にはハイエンドの産業が含まれるだけでなく、中国と日本が相互補完的な、経済分野において、また産業チェーンの異なる立場から第三国市場に対する、力強い協力の、競争力も含まれると認識しております」

 「そして双方は人的、文化交流のさらなる拡大でも合意をいたしました。双方で民間、国民の友好感情の増進や、相互理解の増進につながることをより多くすることを約束しました。われわれとしても、今年は平和友好条約締結40周年の際に多様な記念行事を開催し、また今後、数年間に予定される東京五輪、北京の冬季五輪のというチャンスを生かして、日本側と文化、教育、スポーツ、地方、青少年交流や観光交流などさまざまな分野において協力を行い、両国民の心の距離を縮めていきたいと思っております」 

 「さらに中国人民の日本人民に対する友好感情を表すべく、今回はわれわれからは日本側に新たに2羽のトキの個体を提供することを表明いたします。このような両国人民にも愛される動物を生かして、また日本側のトキの養育の改善にもつながることを楽しみにしております」

 「安倍首相がおっしゃいましたように、明日には共に北海道を訪れます。そこで一つの重要な行事というのが、中日省長知事フォーラムに出席することでございまして、このような地方交流が両国の上下の意思疎通において重要な一環であると思います」

 「また、中日は、世界主要な経済大国で、多国間貿易体系や、経済グローバル化の受益者とし、ともに国際貿易の自由化を守って、経済グローバル化の発展を推進することに合意しました。その自由貿易を土台にし、中日の経済協力、そして他国との協力の発展も、より一層増進させ、中日韓のFTA(自由貿易協定)の交渉や、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)協定の交渉のプロセスを推進し、地域経済一体化のプロセスを積極的に推進することで合意しました」

 「最近、朝鮮半島情勢には前向きな変化が現れました。南北首脳会談の成功を歓迎し、また、朝米首脳会談にも期待をしており、さらに、日朝の会談をも歓迎をし、それによって日本側の関心の関連の問題の解決をも歓迎をしたいと思っております。中国側としましては、引き続き建設的な役割を果たしていき、朝鮮半島の非核化の推進や、そしてこの問題の政治的解決の実現を加速させていくよう、引き続き建設的な役割を各国と共に努力をしてまいりたいと思います」

 「私が昨日、日本に到着しようとしているとき、飛行機の降下中は、まだ雨が降っていましたが、本日、安倍首相から歓迎の歓迎式を催しいただいたときには、すでに雨がやみました。中国の言い方で言うと、いい雨は時節を知って、春にあたって発生する、と。それもまた、すでに両国関係の波風が、雨風が過ぎ、われわれにはより良い未来が待っているということを意味しているかもしれません。中日関係がこれからも、平和、友好、協力の旅で再出航をするよう、また、中日関係の健全的な、長期的、安定的な発展をお祈りしたいと思っております。私からは以上です。ありがとうございました」

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